平川克美のレビュー一覧
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グローバリズムの問題点についての議論。
著者はグローバル化とグローバリズムは別のものだと考えている。
グローバル化は世界が小さくなってきていると言うことで避けがたい歴史の必然であるが、グローバリズムとはアメリカに代表される多国籍企業が国家という枠組みを超えて富を簒奪するためのイデオロギーだと考えている。
論点は株式会社資本主義の問題点をアメリカの歴史から見て考え、租税回避や新自由主義の欺瞞などについて批判している。
最大の問題点は株式会社資本主義が常に成長を求め利益を追求し、とどまることを知らないという点であり、議論は明快で十分納得できる。経済学者の故飯田経夫教授が言っていた「足るを知る」とい -
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確かに、企業や政治家や評論家などがアホの一つ覚えのようにグローバリズム、グローバリズムと言っているのにはうんざりする。
そういう事象が進行しているのも事実だろうけど、それが全てではもちろんない。
ローカルなことや、多様なことがなくなったらこの世はどれほど退屈でつまらない世界になるのだろう。
鎖国をしていた時代、日本は小さな藩という地域社会がたくさんあり、総体として高いダイバーシティを実現していたように思うし、それが日本という国の強さになっていたように思う。
この本では世界規模でのグローバリズムをテーマにしているが、日本国内においても東京グローバリズムが蔓延し、地域社会からゆっくり命を吸 -
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あまりにも哲学的な経営者・平川克己が、経済成長という神話に取りつかれた現代の問題を論じています。
著者は、経済、医療、教育など、あらゆる分野が、ビジネスのフレームワークの中で語られるようになり、そのフレームワークからこぼれ落ちたものに目が向けられなくなりつつある現状を批判します。こうしたフレームワークの中で、人びとはあらゆる問題について喧しく論じていますが、それは「考える」というよりも、経済を持続的に成長させることが何よりも正しくそれによってあらゆる問題が解決されるという「神話」によって「考えさせられている」という側面があります。著者は、盟友である内田樹と同様、こうした問題に対する鋭敏な感覚 -
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ネタバレエマニュエル・トッドら人口学者らの調査の中で、民主化の進展と識字率の上昇によって女性の社会進出が旺盛となり、同時に出生率が低下していくことが指摘されている。即ち際限なく人口が減り続けるということはなく、必ずどこかで止まる。社会の適正人口で均衡するということである。また、出生率が低下し人口が減少していく社会は決して暗いものではなく、寧ろ社会の適正人口に向かい出生率が自然回帰するプロセスであるともいう。経済もその社会に応じた適正規模というものがあるのであって、必ずいつかはその右肩上がりが止まる時が到来する。今こそ我々は経済成長という呪縛を解き放ち、右肩上がりが止まった後の社会の作り方を冷静かつ具体
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自分がよく読んでいる内田樹氏のご友人。
自分が都市計画制度を所管している時代には、経済界、大臣などの政治家から厳しく規制緩和を求められ、併行して、経済学者からも厳しく叱責された。
なんとか自分なりにかわしたり、つじつまを合わせてきたが、この低成長時代が20年も続き、欧米とも経済の調子が悪い自体になって、平川さんのように、経済成長を求める時代は終わったという主張がでてきた。
ちなみに、池田信夫さんのような経済学者は激しく罵倒していることも知っている。
しかし、地道に身の回りの生活の環境をよくしていく、身の回りから小商いをきちんと起こしていくという主張は、経済成長一辺倒の現在の -
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ネタバレこの本の注意すべきところは、経済成長そのものを悪だといっているわけではないということ、また現実的な代替案を述べているわけではないということである。
経済を成長させるといったことを前提に議論を続けることにいったん疑問を持つ。そもそも経済成長を妨げる要因に市場の縮小であったり少子化があげられたりする。だがこれは原因と結果が逆転してはいないか?経済が成長し社会が成熟してきたからこそ少子化が進んできたのではないだろうか。そうであるなら人口減少していくのは当然のこととしてこれからの社会の設計をすべきではないか、というのが筆者の主張である。 -
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[ 内容 ]
金融危機は何を意味するのか?
経済は成長し続けなければならないのか?
なぜ専門家ほど事態を見誤ったのか?
何が商の倫理を蒸発させたのか?
ビジネスの現場と思想を往還しながら私たちの思考に取り憑いた病と真摯に向き合う。
[ 目次 ]
序章 私たちもまた加担者であった
第1章 経済成長という神話の終焉(リーマンの破綻、擬制の終焉 宵越しの金は持たない―思想の立ち位置 専門家ほど見誤ったアメリカ・システムの余命 経済成長という病 グローバル化に逆行するグローバリズム思想 イスラムとは何でないかを証明する旅 「多様化の時代」という虚構―限りなく細分化される個人)
第2章 溶解する商の倫 -
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内田教授のお友達平川氏の著書ということで読んでみた。繰り返しが多かったりちょっと読みにくい所はあるけれど(まとまった論文というわけではないから仕方ないが)、全体として面白かった。いつ頃からか世の中で(主にマスコミを通じて)当然のように前提として語られることに決定的な違和感を感じるようになった。簡単に単語を羅列すれば、曰く、経済成長、説明責任、自己実現、多様化、効率化などなど。経済分野のみならず、教育や医療までもがそうした文脈の中に引きずり出されている。この本で著者はそうした状況ににズバリと切り込んでいる。特効薬などどこにもなく事態の打開は厳しいけれど、次のような言葉をしみじみかみしめる。(金融