友井羊のレビュー一覧
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密室にまつわる5編の作品が載っている。
第一話は「このトリックの問題点」。密室事件にまつわる白玖の推理と俺(真中)の、麦ちゃんをめぐる突飛な行動が面白い。
第二話は「大叔母のこと」。すでに亡くなっている天才ケーキ職人だった大叔母が残したもの(遺産)を主人公である女性とその彼氏の二人で、密室での盗難事件を解いていく。
第三話は「神秘の彼女」。突然枕元に現れた盧遮那仏像の話。現実と夢が交錯する。同室の玄馬先輩の仮想の彼女と工学部の美人女子大生鴻巣の意外な関わりが面白い。
第四話は「薄着の女」。女優として少しずつ仕事が増えていく中で、過去の繫がりが引き起こした殺人事件。どう逃げ切るか。
第五話は「世 -
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『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』の八巻目ですね。
友井羊さんの心温まる、日常の謎の名作です。
今回は四話。春夏秋冬の季節での物語ですが、時系列はどうやら連続では無いようです。
目次
第一話… 春待つ芽吹き
第二話… 真夏の島の星空の下
第三話… 秋に君の言葉を聞きたい
第四話… 答えは冬に語られる
第一話は、山菜取りに出掛けた『スープ屋しずく』の一行が、謎の遺言に遭遇する。
第二話は、奥谷理恵が、沖縄に旅行した時に、不思議な出会いを経験する。
第三話は、麻野の娘の露の友だちが、学校であらぬ疑いを受けて、露は理恵に頼んで解決を試みる。
第四話は、麻野の亡くなった -
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料理 × 謎解き × ドラマ
と内容盛りだくさん!
時代の社会背景と料理を絡めて描いているので想像してたよりも内容に深みがあって引き込まれたし、時代を越えてつながる人間ドラマに感情を揺らしながら読み終えました。
1人の女性の生い立ちを追いながら、レシピの話だけに留まらず、日本という国が辿ってきた食の歴史や、女性の生き方にも触れられていておもしろかった。
こういう時代を遡って少しずつパーツが埋まり、繋がりを感じられる構成好き。
料理研究家としての道を歩んできた理由、祈りにも近い「想い」を知って胸がいっぱいになった。
改めて読み返してみて涙ぐんでしまった。
良き読書時間でした。
『日本 -
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シリーズ8作目。スープ屋しずくでシェフとして働く麻野。麻野の娘の雫。常連客の理恵。
彼らのまわりで起こる不思議な謎や出来事を麻野の推理で解決していく。
麻野は幼い頃に辛い過去(是非、1作目から読んでください)があり、妻を亡くしている。娘の雫は悪意や嘘を敏感に察知する子。そして理恵は麻野に恋心を抱く。
こんな魅力的なスープ屋が近くにあったら間違いなく常連客になるだろう。種類豊富で栄養たっぷりの美味しいスープ。しかも朝は焼きたてパン付き!心が疲れてしまった人達が優しいお味のスープに元気をもらい癒される。やっぱり美味しい食べ物は気持ちを明るくしてくれるね。
悩んでいる人達に真摯に向き合い、時には諭し -
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ネタバレ料理×ミステリーで人気のある友井羊さん、初読み。
タイトル「100年のレシピ」にあるように、
この1冊で100年を語る、壮大な物語だった。
しかも斬新!
高名な料理研究家 大河弘子さん、満100歳を迎える!
で、翌日この世を去る……(えっ?!)老衰で眠るように逝かれる。
5つの章では年代がどんどん過去にさかのぼっていく。
令和、平成、昭和のバブル期、戦後、そして戦前から終戦。
視点は他者で、ある出来事かおこり、その謎を大河弘子がときあかす。
最終章では大河弘子自身が語ってくれる。
時代設定がちがうから別の話……と思わせておきながら、最初からのながれに沿っていて、あぁ〜ココと繋がった!と