友井羊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
スープ屋しずくシリーズの第三弾
主人公の理恵としずくのオーナーが店以外の場所でも出かけるという、2人の関係が少しづつ近くなってきたように感じた本作。
本作の中で印象深かったのは、第四話。
妻を亡くした六朗が突然娘の前から姿を消す。
しばらく連絡はとっていたものの、どんな生活をしていたのか知らなかった娘のもとに、六朗が亡くなった知らせが届いた。
姿を消したあと、六朗がどんな生活をしていたのかを娘と常連客と一緒に巡る。
というストーリー。
わたしはまだ大事な人を亡くしたという出来事がないので、想像が甘くなるところだと思うが、もし大切な人が亡くなったらあなたはどんな行動をとるのだろうか?
-
Posted by ブクログ
オフィス街の一角にあるスープ専門店。ランチとディナーのみの営業だが、実は朝のスープセットが存在する。ひっそりと営まれる朝ごはん。
第1話 タウン誌編集部で働く理恵は、一時的に化粧ポーチがなくなり、その事で同僚を疑ってしまう自分が嫌になっていた。そんな時にしずく屋さんの朝営業を知る。
第2話 理恵の同僚伊予は、友達で先輩の椎名が彼女に去られて食べられない状態であるのを知る。一緒に彼女を探しながら、なんとか食べさせたい伊予は椎名をしずく屋に誘う。
第3話 ふくちゃんのお姉ちゃんは元モデルで美人。お母さんも美人。自分がふっくらしていると思っているふくちゃんはダイエットしようと頑張るが、ついつい -
Posted by ブクログ
スープ屋しずくの謎解き第2弾。
本書では4つの話があるが、3話が『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』に掲載されたもの。最後の1話が書籍化書き下ろしとなっている。
なので、2冊目から読んでも前3話は比較的内容は分かると思われる。
特に印象に残ったのは、3話目の『山奥ガール』
伊予の友人がジビエの美味しさから狩猟に興味を持つという話。
この話の中で、猟師になるにはどのぐらいの準備がいるのか、狩猟のルールがなど細かく書かれている。
特に今年は全国的にクマの出現が多く、猟師も少ないといった話を聞く。
時には食のために、時には駆除のために動く猟師は、人間と山との橋渡しをす -
Posted by ブクログ
食事のメインにはなりにくいけれど、あると嬉しいのがスープ。
ちなみに食事におけるスープの役割としては
・消化を助ける
・栄養バランスを整える
・体を整える温度調節機能
・ご飯とおかずを繋ぐ
・心理的な安心感
という働きがあるよう。
そういえば、このスープ屋しずくに来店するお客は、疲れた人が多い。そして、しずくで食べた後はほっこりした気分になることが多い。
なので、スープが作品を繋ぐ要になっているのは間違いないだろう。
個人的には3話目の「ふくちゃんのダイエット奮闘記」が印象的だった。
読み進めていくと感じる違和感を、最後にしっかりと回収していく。しかも、終わり方がモヤモヤしない、わたし -
Posted by ブクログ
昔読んだ記憶があったが、内容を忘れていたので再度購入・再読。描写は細かくそれでいて堅苦しくない軽い文体で非常に読みやすい。「謎」のクオリティーに関しては著者の他の作品で信頼出来ると確信していたので不安はなかったが、この作品も例に漏れずこちらの認識を2度3度と裏切ってくれる心地よささえ感じられる。
個人的には第5話「わたしを見過ごさないで」のまんまと著者の思惑通りに騙され続ける感覚も好きだが、「あぁ、やっぱりこの作者好きだな」と思わせてくれたのは第3話「ふくちゃんのダイエット奮闘記」だろう。食事に関する描写も巧みなので腹が減る。夜も深い時間にこのレビューを書いているがスープでも作ろうか……いや -
Posted by ブクログ
ネタバレHKさんのおすすめ。
勤め先の近くに朝食にスープを食べさせてくれる店がある。
それだけでも贅沢な感じなのに、
美味しくて体に良くて、
しかもパンとドリンクがフリーとは。
お店として大丈夫なのか心配してしまう。
案の定、店主の生み出すスープは採算ぎりぎりらしく、
ちゃらいバイトと思いきや、実は店のあるビルのオーナーから文句を言われている。
だが、店主が幼い頃、母親のために亡くなった姉のふりをしていたとか、
その店主を気にかけて救い出してくれた警察官が亡き妻だったのは予想外だった。
それと、意外だったのは、
店主の娘が「刺されちゃえば良かったんだ!」と言っていたこと。
娘の親友の母親が、親友 -
Posted by ブクログ
『夜食』
なんていい響きの言葉なんでしょう。
夕食ではなく、夜食。
受験や残業などで食べることもあるけれど、何となく小腹がすいて深夜に食べる食事。
少し罪悪感があったりして、それが一層美味しくさせる。
そんな夜食にまつわるアンソロジー本です。
ちょっと謎めいた作品もあれば、友情や愛情や家族にまつわるもの、仕事にかかわるもの。
どれにも共通するのは『夜食』、そしてどの話も読むと温かくなれるかもしれません。
夜食の時間に読み進めると楽しい読書になりそうです。
どの話もとても良かったですが、たぬきおむすび、ファミレス夜食、インスタントラーメンの話は特に気に入りました。
美味しそうな夜食だと思ったら