橋爪大三郎のレビュー一覧
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ヴィトゲンシュタインの言語ゲームの入門編の序、的な一冊。学生時代、言葉が先か、モノが先か、という議論で盛り上がったのを思い出した。言葉で世界を表現しているとふだんは思っているけれど、言葉はそうやって世界を映す鏡ではなく、言葉そのものが出来事だ、という考え方は面白い。ことばは「ふるまい」であり、それがもともと確定した意味を持っているわけではなく、言葉を交わす中で一定のルールが見えてくる、という捉え方。
事実と規範を分け、いったん世界は事実でできている、と基礎固めしてみる。その後を自分の頭で考えていくのは難儀だけれど、それが哲学の面白さなのだと思う。もう少し「分かってみたい」と思わせてくれる本。難 -
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「おどろきの中国」が面白かったので、こちらも読んでいた。
タイトルと内容は、ちょっと違う感じで、内容はウクライナ戦争を真ん中にはさみつつ、中国、ロシア、そしてそれに対する西側の対立の話しかな?
いろいろな話しがあって、もちろんウクライナの話もあるわけだけど、それはほとんどロシアとの関係ででてくるもの。ウクライナ戦争もそれ自体というより、ポスト・ウクライナ戦争について考えるための前提くらいな感じが出てくるところかな。
西側的な資本主義と中国的な資本主義の対立というところに話は進んでいく。それを中立的に、あるいは相対主義的にどっちもどっちとするのではなく、価値判断をしつつ、はっきりと西側?に -
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Q&Aで構成されている本書を気楽な読み物として手に取ったが、哲学の深みに導く内容であり読み疲れた。社会の成り立ちにつき、深い思考を積み重ねたヴィトゲンシュタインの論説を準えながら、彼が提唱した言語ゲームなる考え方を紐解いていく。例として、ある椅子を見て、イスという言葉が浮かび、それは細かな定義を超越して人々に共通の理解をもたらす。ここに言語ゲームの本質があり、彼は人々の一致したふるまいに帰着させる。この言語ゲームの思考訓練として練習問題が繰り出されるが、そこに何の意味があるのかいい加減飽きたところに、突然現代の問題、国際法に関する理解の問題が提示される。この部分の掘り下げこそが、言語ゲ
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著者が、ネットはまだ発展途上でそこに書かれている情報は基本「ごみ溜め」の情報と言ってしまうと、オッと今現在の教養について語れるのかなと思ってしまう。それだけ「ごみ」情報でも氾濫している中で真実を読み取る嗅覚が身についていることが教養だと思ってしまう。私の尊敬する先輩が本を買ったらまずページを開いてインクの匂いをかぐと言っていたことを懐かしく思い出しながら、でも本の著者もネットに書き込みをしている人も真剣に書いている人は同等数存在すると思う。通信費だけでネットを通じて、世界中に自分の考えを表現できる平等性があること、それが今の可能性であり、将来を開くものだと思う。
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ネタバレ中国は西洋より早くに国として成立したので、西洋的国家概念には当てはまらない。
古代から一貫して支配層は文官。
毛沢東は史上もっともラディカルで、利己主義を徹底した(伝統的な儒教すら破壊しようとした)。
そんな毛沢東を中国人が否定しないのは、伝統的な皇帝システム(天と天子というシステム)の形式が無意識的に残っているから。
日本人は日中戦争が「何であるのか」を意味づけられていないので、いくら誤っても中国側は納得できない。
さらに、日本は戦争当事者世代と現在の世代のあいだの連続性を設定できていないので、過去について謝れない。
日本は米中関係の付属物にすぎず、情勢を正しく分析して最善の選択をし続け -
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ネタバレ「”不倖せの再生産”は避けようと、心の奥底で誰もが感じている」と説く。言い得て妙な表現です。
今、感じる。やっぱり息苦しい、ちょっと違う、なんかずれている、どうして責められるの、どうすればよかったの、ちょっとした不満が重なって積もって沈んで…。自分の中に潜む”こうではない”社会。
「働き方改革は正しくない」と説く。8時間以上働きません、勉強しません。そんなことをしていると、使い物にならない人材ばかりになる、と。たぶん、その通りかな。量が質を凌駕するではないけど、制限してはいけなかったと、この歳になって感じる。
「カタカナ語、絵文字は知的堕落だ」と説く。二言もありません。反省です。
「ノブ