あらすじ
そもそも、教養は
なんの役に立つのか?
「教養を身につけることが大事だ」とは、よく言われる。
しかし、そもそも私たちはなんのために教養を身につけるのか? 教養はいったいなんの役に立つのか?
現代の「知の巨人」が教える、変化の時代をよりよく生きるための学びの極意。
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Posted by ブクログ
教養とは学問である。
学問とは世界の仕組みを明らかにするものである。
それゆえに今抱えている問題は、先人たちの知恵の結集で解決できる可能性が高い。
ただ全ての問いに答えがある訳ではなく、
答えがない問いに自分のオリジナルアンサーを導き出すことができるのも先人たちの知恵が必要。
知恵に共感するもよし、疑って自分の視点を持つも良し。
教養が身につけばあらゆる角度でものごとを見ることができ、あらゆる立場の人とコミュニケーションができる。
革命とは前提を疑問視し新しい概念を生み出した活動のことである。
教養がある人は理性によって行動し0から1を生み出すこともできる。視野が広く、世界や人々との共存ができる。
教養がない人は本能によって行動し、利用されたり搾取される。視野が狭く、世界や人々から孤立する。
Posted by ブクログ
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アインシュタインだってエジソンだって、学校の成績は下から数えたほうが早かった。 学校の枠からはみ出して、いつも余計なことを考えていた。だから、世界を変えるような 理論や発明を生み出せたのですね。 学校の勉強がよくできるタイプの人は、「答えのある問題」の正解をすばやくみつける ことに慣れすぎているのかもしれない。学校ではほめられる。でもそういう能力は、「答 えのない問題」でいっぱいの実社会では、じつはあまり役に立ちません。上司からふられ た仕事を要領よく終わらせることはできるかもしれない。でも、斬新なアイデアを出すこ とは難しい。 そもそも世の中には、「答えのない問題」のほうが、ずっと多い。およそ問題は、答え がない、と覚悟しなければいけない。
マルクス経済学は、たったひとつの「正解」があると考えました。それに、疑問符がつ けられました。この疑問が力をもてば、マルクス経済学の基礎が崩れます。そこで、ソ連 は崩壊してしまった。 中国は、ソ連の影響で社会主義国家となり、共産党の一党独裁を続けています。でも経 は、資本主義になっている。マルクス経済学はやめてしまった。だか。 党かどうかよくわからない。
戦後、朝日新聞は、これを深く反省した。そこで、つとめて良心的な新聞になのだので す。何かにつけ政府に噛み付くのは、それはそれでバイアスではある。 これは責められるべきものではない。各紙に「編集方針」があるでしょう。朝日には朝 日の、読売には読売の編集方針。それだってバイアスです。 そこで当然、何が紙面に書かれているかにはずいぶんと違いが出てくる。 つまり、新聞に書かれているものは「事実」ではあるが、それをどう報じるか、どう評 価するかには、各社それぞれの考え(バイアス)がある。そう思って新聞に接するのが正 しい姿勢です。 たとえば朝日新聞。良心的な紙面づくりで、信頼をえている全国紙です。 その朝日新聞が、戦前は、戦争行け行けドンドンの新聞だった。戦争の旗振り役だっ た。今からは想像もつきませんけれど。 まあ、朝日だけでなく、当時の新聞はおしなべてそうだった。
本は基本的に、一人の著者が書いている。ということは、その本は、その著者のバイア スに従って書かれていると思って読むのが正しい。個性的な本に、どんなバイアスがある かを発見することが、読書の醍醐味のひとつと言ってもいいでしょう。 いろんな本を読むごとに、いろんなバイアスを知っていく。こんなバイアス、あんなバ イアス、⋯。完全にバイアスフリーになることはできないけれども、いろんなバイアスを 知れば知るほど、いろんなものの見方ができるようになって、そこから自分なりの考え方
歴史は、大事です。 自分が生まれるまえの出来事について知らないと、自分の家族や、大事な人たちのこと がわからない。自分たちが生まれる前の出来事について知らないと、この社会のなりたち ほの世代の人びとがどんな苦労をしたのか、わからない
過去のことがらは、多すぎる。細かすぎる。すべてを語ることなどできない。すべてを 知ることなどできない。だから、大事なことを語る。当時の人びとにとって大事なことを 語り、いまの人びとにとって大事なことを語る。 すると、政治が大事です。政治は、その時代の人びと全体に関わることを、決めるから 。
文学とは何かというと、人間の心の機微や人生の奥深さを描くものでした。 主人公がいて、そのほかの人物がいて、何か出来事が起こって、物語が進んでいく、と いうのはロールプレイングゲームに似ているけれども、ゲームには人間の内面が描かれて いない。描かれていたとしても、キャラクターがワンパターンだ。 その点、文学はフィクションだけれど、そこに描かれている人間の姿、心の動きや行動 は実社会のそれとおなじです。だから文学は、人間というものを、その本質から理解する 手助けになる。
そうなると、相手を理解するためには何かしら「補助線」が必要だ。数学の図形問題で は、補助線一本引いただけで答えが見えてくることがありますね。それと似た役割を、人 間関係において果たすのが文学なんです。
本の学びを深めるために大事なのは、正解はなんだろうか、でなく、自分はどう読む か。そして、ひとはどう読むだろうかと、ほかの解釈に関心を持ち、それを突き合わせる ことです。ほかの読み方に触れると、そうか、自分の読み方と違うのか、と軌道修正する こともある。なるほど、そういう視点を加えることもできるのかと、自分の読み方が発展 することもある。 こういう試行錯誤の繰り返しが、本の学びを深めることなのです。
速く読む必要なんてない 学びの基本は「本による学び」です。 人に学ぶ、ネットを駆使して学ぶ、などもありますが、まず、本を読まないで「学ぶ は始まりません。 ところが、読書が苦手です、というひとがよくいる。 どうしたらよいでしょう。 まず、読書(とくに、大人になってからの読書)と、学校の勉強とは、まったく別物だ とわかってください。教科書もない。誰に言われるでもない。ただ自分の興味で、読みた いから読む。いやなら、読まない。宿題もない。作文もない。テストもない。まったくの 自由。それが、大人の読書です。
実用書は、教養書ではありません。 実用書は、すぐ役に立つ。教養書は、いつ何の役に立つのか、まるではっきりしない。 教養書は、読むために読む本なのですね。 ということは、教養書は、読んで楽しく、面白いほうがいい。面白くない本は、続かな い。ほかのひとが何と言おうが、自分が楽しく、面白く読めることが大事です。よって、 楽しくも面白くもない本は、読まなくていい! これが、結論です。 でもちょっと、フォローしておこう。 どんな本を「楽しくて面白い」と思うかは、年齢とともに、そして、読書の経験ととも に、変化して行きます。子どものころ食べられなかったピーマンやニンジンが大きくなっ て食べられるように、昔だめだった本が、なんだ、こんなに面白いのか、と思うことがあ るのです。だから、あきらめないように。
もうひとつは、いろいろな分野の本を読む。本は、食べ物の栄養と同じで、パランスが あるのです。文学、歴史、哲学、美術、⋯。科学、ノンフィクション、伝記、⋯。ライフ スタイル、ファッション、子育て、⋯。どの分野にも、よい本がいっぱいです。 それから、逆のようだが、ある方向を掘り下げる。哲学の本をいろいろ読むとか、特定 の著者をまとめ読みするとか。興味の向くままに、深追いします。 そうなると次第に、本を読む動機が「そこに書かれていることによってプラスを得たい
教養を正しく学ぶ 教養の3条件 教養を学ぶのには、目の前の目的がない。「この問題を解決するので、この本を読む」 というものではない。とにかく、何でも読む、何でも知る、のが教養かもしれない。 だからと言って、巨大な教養の森にいきなり分け入るのは、無謀というものです。 では、どうしたらいい?道しるべが必要です。ポイントは3つ。これを、今後のガイ ドにするといいでしょう。 1、バランスよく学ぶ 2、「ほんもの」に触れる 3、納得して、楽しむ
教養に触れるのは、まず、楽しいから。楽しいから学んでいるうちに、結果的に、答え のない問題に自分なりの答えを出す準備が整うのです。要するに教養は、どこまでも自分 のもの。自分が納得して、楽しめれば、それでいいものなんです。 ちょっと教養がついたかな、と思うと、そのことを誰かに認めてもらいたい、という心 理になるひとがいます。けれどもそれは、やめておこう。みっともない。それに、その程 度ではまだまだ教養が足りないことは、まる見えです。教養は自然ににじみ出るもの。そ うでなければ尊敬されません。
Posted by ブクログ
教養とは何か、なぜすぐに役に立たない教養を学ぶのか、どうして古典を読むのか。あるタイミングで読んでおいて、少しでも意識しておくと少しは立派な大人、立派な日本人になれるかもしれない。
Posted by ブクログ
深井龍之介さんがMCを務められているPodcastで橋爪先生のことを知って読んでみました。内容がすべて正しいとは思いませんが素晴らしい内容でした。若い方(高校生くらい)が橋爪先生の考えを知っておくと、更に有用だと思います。ネット情報についての先生の考察はなるほどと唸ってしまいました。
Posted by ブクログ
すごくいい本だった。日経新聞の書評で、1年前ぐらいだったと思うが、5つ星の評価で絶賛されていた。確かに素晴らしくよかった。まず、書き方だが、話し言葉で書かれている。おそらく口頭筆記で書かれたのだろう。これがわかりやすい。とても読みやすく、何度でも繰り返して読みたいと思う。
Posted by ブクログ
学生のうちに知っておくべき学びの本質が易しく説明されている。特に、出版、放送、通信がネットに統合されていく中で、玉石混交の情報の海から「本」にあたる本物を見つける姿勢を持てという指摘には考えさせられる。
Posted by ブクログ
教養とは人間が考えてきたことの全てであり,必要な知識を取り入れることとは違って,いつ役に立つかは分からないけれども自分の選択や自由が広がることにつながると信じて知っておくことが教養。
そして,教養を身につけるのは自分のため,そしてその結果として周りの人たちと手を携えることができ,よりよい社会の構築へと繋がっていく。
とても優しく,力強い橋爪さんの言葉。
民主主義という言葉が頻繁に出てくるのは,橋爪さんの経験と今の社会に対する危機感の表れなんだろうと思う。一人一人が教養を身につけることが結果として民主主義のを支える力となるという考えには共感しかない。
ただ,1番は自分のため。まずは楽しみながら学んでいこうと思う。
Posted by ブクログ
教養って何となく身につけておくべき最低限の知識や常識のことだと思っていた。もちろんそういう概念でもあると思うが、もっと奥が深いものだと感じた。今すぐに役には立たないし何の役に立つかは分からないが、いずれどこかで役に立つのが教養という著者の考えは興味深い。
Posted by ブクログ
最低限必要な教養として、政治・経済・社会・歴史など、広く・浅くでも大切だと感じさせられました。
学びたい・知りたいと思う気持ちから、本によって読解力を鍛えたり、ネット情報の真偽、自分で考える大切さなど、向き合い方が読みやすく書かれています。
人生を豊かにする第一歩として、参考になる本だと思います。
Posted by ブクログ
教養をつけたい、というより本を読んだらいいことあるらしいがよく分からん、という人にオススメしたい一冊。
本との適切な距離感を大事にしながら読書するのがいいですよーみたいな解釈を知れるいいきっかけになりそう。
全編を通して、細かな表現ゆれや思想の偏りは気になるけども、そこも合わせ飲みつつ読むことが大事。
なるほど教養とはこういうものなのかと理解が進むきっかけになると思うし、本を読むモチベーションにもつながりそうです(私自身はもともと読書が好きなのでこの本については内容に概ね同意です!という立場でございます)。
この本を読んで面白いと思った人には「乱読のセレンディピティ」という本も合わせてオススメしたい。おもしろいよ!
Posted by ブクログ
「あとがき」に記載があるように著者と編集者との会話を語り下ろしによって出版化したもの。テンポ良く数時間で読める。個々のテーマに賛否はあるも最終的に教養は自分が納得して楽しむものとのメッセージには大いに共感する。
Posted by ブクログ
教養とはなんなのか?
について、優しく答えてくれる本。
若いビジネスパーソンが対象なのかもしれないが、「色々本を読んではいるが、教養が身についたのかどうかわからない」という私みたいな人には、おススメです。
印象に残った点は下記の通り
・本の学びを深めるために大事なのは、正解探しではなく、自分はどう読むか。また、他の人はどう読むかという、他の解釈に関心を持ち、突き合わせて、自分の読み方を発展させる。
・古書はいつ役立つかわからないから、読むときの動機は、読みたいから読む。
・古典の但し書きをしっかり読む。
・知識は人を介すことで、薄まったり歪曲されたりしやすいので、主張が成り立つための前提を押さえる。
・外国語を学ぶ本当の意義は、自分の思考を相対化するため。
・考えないために暗記する。考えるべきことに集中するため。
Posted by ブクログ
教養とは何かという定義が良かった。
なるほど、それが教養か。
学ぶことは本来楽しくなければならない。
学校が勉強嫌いを生み出していると言われれば
反省しかないなぁ。
Posted by ブクログ
教養とは、目的はないけれど、それを知りたいから、自分の頭で考えるための材料を得たいから学ぶものなんだ。
昔から暗記は得意だったけど、暗記で終わらせてはいけないことはこの世の中数多あるんだな。
哲学、天文学、脳科学、数学、歴史、その他諸々全部なんて到底無理だけれど、ここではこういっているけれど、他の学問ではどういう考え方をしているのか、とか自分で考え、自分なりの答えを見つけるみたいなことをひたすらやり続けて、生きたい。
Posted by ブクログ
◾️概要
人間にとって教養とは何で、どうやったら身に付けられるのかが丹念に記載されています。教養を学ぶ3条件は、バランスよく学ぶ、ほんものに触れる、納得して楽しむです。
◾️所感
教養とは何か、なぜ学ぶべきなのか、学ぶにはどうしたらいいか、知るため、読みました。教養とは、ありあわせの知識を組み合わせて、現実の問題を解決する知性である。これまで人間が考えてきたことの全てです。教養を身に付けるのは自分の喜びのため、そして人々が手を携えてよりよい社会をつくり出すためだというのが分かりました。
Posted by ブクログ
二十代後半になり、知識教養の類が無いことに絶望していました。
「そもそも教養ってなに?」って人はここから入るといいと思いました。
宗教や政治的運動、思想、歴史、それぞれ密接にかかわり合い今日の世界を作っていることがわかりました。
それらの、みんなが知るべき雑学をひっくるめて教養と言ってるんですかね。
特に啓蒙思想に関してですが、今まで聞いたことはあったけど意味がわからなかったので、非常に勉強になりました。
これから教養を磨こうという気になりました。
Posted by ブクログ
教養とは、人がこれまで考えてきたこと全て。
これを学ぶ余裕がないと、進歩できない。
例えば、イスラムでは宗教の教えを
中国では科挙のための過去の知識を
学ぶなめに精一杯で、学ばなかった。
Posted by ブクログ
教養とは、これまで人間が考え結論を出してきたことの全て。その中で、歴史の洗礼を受け今に受け継がれてきたものを、私たちは教養として身につけることができる。答えのない問題に直面したときには、この教養がもっとも役に立つ。
政治や歴史や社会を知っておけば、「いざ」というときに何とかできる人間になる、ということだと思います。
Posted by ブクログ
教養とは今まで人間が考えてきたことのすべてである。
各カテゴリに関しての考え方の大枠を示してくれている。
加えて、教養の身につけるステップを大まかに示しているので多少なりと学びはあった。
少し違う観点だと
巻末にアウトプットを推奨する記載があり、
これについては勉強系の実用書全てに書かれているので真理なんだと。
Posted by ブクログ
著者が、ネットはまだ発展途上でそこに書かれている情報は基本「ごみ溜め」の情報と言ってしまうと、オッと今現在の教養について語れるのかなと思ってしまう。それだけ「ごみ」情報でも氾濫している中で真実を読み取る嗅覚が身についていることが教養だと思ってしまう。私の尊敬する先輩が本を買ったらまずページを開いてインクの匂いをかぐと言っていたことを懐かしく思い出しながら、でも本の著者もネットに書き込みをしている人も真剣に書いている人は同等数存在すると思う。通信費だけでネットを通じて、世界中に自分の考えを表現できる平等性があること、それが今の可能性であり、将来を開くものだと思う。
Posted by ブクログ
教養とは「今まで人間が考えてきたことのすべて」だ、と言い切って、「教養」に触れることへの意義付けや誘いを行っている。よいところもあるが、引っかかるところもある。
【よいところ】
教養とはどういうものであるのかについて、著者の考えをいろいろな角度からまとめている。
・学校の勉強は答えのある問題に対して、早く解答を見つけ出す訓練であり、教養はそうではなく問題を見つけ出すものである。
・教養は教えてもらうのではなく、獲得するものである。
・すべてのものには「バイアス」がかかっていることを意識することが大事である。
・教養は、学ぶことそのものが目的になってもよい。
・本というものは、自分がどう読むかによる。正解はない。
【よくないところ】
上に挙げたようによいところはあるのだけれど、個人的な意見ではあるけれども疑問があるところというか、賛同できないところもちらほらと。
① ネットに対するバイアス
「ウェブは、噂話のかたまりです」と一刀両断するというのはあまりにも新しいものに対する受容性がない。内容の信頼性が課題であれば、それを高める方法を見つけるべきであり、またその方法はいくらでもある。
「権威にもとづかない(出所がはっきりしない)ようなことは、議論に組み込むべきではない」というのは一方的で、あまりに読者のことを信頼していない。さらには「本による「学び」と比べると、ネットによる「学び」は、がくんと質が落ちる。そもそも「学び」にもなりません」とまでいうのは明らかにおかしい。
また紙の辞典を強く薦めているのだけれど、百歩譲ったとしても辞典に関しては明らかに電子の方が優れている。検索性、リンク、携帯性、共有性。辞典こそ電子化にもっとも向いているといえる。ネットというだけで拒否反応を起こしているようでいただけない。
警鐘を鳴らすのはよいのだが、あまりにもバイアスがかかっている。すべてのものにバイアスがかかっていることを意識すべきだと言うからには、自分にもそのことを当てはめて考えるべきだろう。
② 本にかける覚悟
著者は次のように書く。
「本と、ネットの文字情報は、違います。本は、どれも、著者が覚悟を決め、時間とエネルギーを注いで、書き上げた作品です。出来、不出来はあるかもしれないが、不出来なものは、著者の能力の限界です。著者にやる気がないわけではない。だから本を読めば、著者の思いが伝わってくる。それに感応して、ぶれない思いで、本から「学ぶ」ことができる」
なるほど、それはとてもわかる。でも、この本自体が手間を省くことを想定した語り下ろしであることがあとがきでわかってがっくりした。語り下ろしが覚悟を決めていないとは言わないが。それとも、新書は本ではないのだろうか。
③ これが必読書か
著者は必読書として12冊を挙げている。それは以下の通りだ。
■ 政治の必読書
『日本人のための憲法言論』(小室直樹)
『職業としての政治』(マックス・ヴェーバー)
『全体主義の起源』(ハンナ・アーレント)
■ 経済の必読書
『経済学』(サムエルソン)
『雇用、利子および貨幣の一般理論』(ケインズ)
『資本論』(マルクス)
■ 社会の必読書
『「空気」の研究』(山本七平)
『上司は思いつきでものを言う』(橋本治)
『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(宮台真司)
■ 歴史の必読書
『聖書 聖書協会共同訳』(日本聖書協会)
『言葉と物』(ミシェル・フーコー)
『げんきな日本論』(橋爪大三郎、大沢真幸)
いくら何でも統一感がなさすぎないかと。政治と経済はわかる。社会と歴史はそれはないのではと思うのだがどうだろう。聖書は歴史なのか。自著も入れているが、いくら何でも厚顔な気も。また、教養ということをいうならば、少なくとも自然科学と文学のカテゴリも入れるべきでは。そのときは『種の起源』は入れてほしい。聖書を入れるのであれば。
また、「古典の解説書」を読むべきと何度も書いているのだから、もし必読書を挙げるのであれば著者が考える適切な解説書を挙げるのが普通だろうとも思うのですが。
④ これは ジョークなのか
最後を締める言葉が何と「あなたもそんな、2チャンネルの生き方をしてみませんか」。あれだけネットをくさしておいて、これはジョークなのか。もちろん「教養がある人は、ラジオ局で言えば、AM放送のほかにFM放送のチャンネルを持っているようなものです」とその前に書いているので、ジョークでないというのであればそのことだというのはわかる。でも、その譬えもあまりにもできがよくない。そもそもこの本のターゲットがどの層なのかわからないけれども、AMとFMとやら何のことやらわからない人も今ではたくさんいる。そもそもAMとFMを持ってチャンネルとは言わないし、複数のタイプのインプットというのであればAMとFMはあまりにも似すぎている。「日常のやりとりは、雑音にかき消されがちで、AM放送」と書くが、いまはたいていはradikoでネット経由で聴くのだよ、たぶん。そういうことも含めて現代においては教養というのではないのだろうか。
⑤ そしてこのタイトル
『人間にとって教養とは何か』というタイトルはあまりにも大仰すぎないか。このタイトルを付けるのであれば、語り下ろしにするべきではないのではないか。この内容だと『私にとって教養とは何か』くらいな気がするのだが。
【まとめ】
以上、後半はちょっと遊び心込みなのでご容赦を。ちょっと引っかかるところはぽろぽろありつつも、語り下ろしなのでこれくらいかな、と。
Posted by ブクログ
「誰もが自由に学べる時代」学校の本来あるべき姿は「競争試験」ではなく本書にある「資格試験」であるべきだ。人をランク付けする場ではなく、できる才能を引き出し、伸ばし、より好奇心を持たせるような場になってほしい。「記憶」だけの今の日本の入学試験は「応用力不足」「思考力不足」「創造力不足」になりがちな養育だと思う。人は必ず人並み以上にできる何かが得意なはず。
Posted by ブクログ
教養とはなんぞ?
と悩んでいたところに出会った一冊。
ざっくり読んだ後の感想は
教養とはこの社会に対してバランスよく知識を持ち、自分なりの考えを持てることなのかなと。
このバランスよく、というのが難しい。
教養を身につけようと、古典作品の解説書を読んだとて、解説者が偏った知識や考え方を持っていると、必然的に古典作品の解釈も偏ってくるわけで、それに気づけないと、自分も古典作品本来の主旨ではない、偏った解説を「正しい」知識として受け取ってしまう。
それを防ぐために、良書に出会うこと(できれば原作を読む)、そして偏った知識に出会った時に自分で判断出来ることが大切。
学生時代にちょっと相談しただけで
アレとコレ読んでみなよ、と答えてくれた恩師を思い出すような本でした。
面白くて一気に読めたし、難しいから、と避けていた古典作品を読むのを背中を押してくれました。
Posted by ブクログ
いつどこで役に立つか分からないけど
過去の叡智の積み重ねを知ることが
未来の自分の糧になる
知らない事を知る事はとても楽しい
興味の赴くままに読書していこう
Posted by ブクログ
社会学者の著者が教養について、成り立ちや必要性や身につけ方などを読書や辞書など自身の経験などをもとに書いた一冊。
欧州で主に発展した教養について答えのない問題を解決するためのヒントを得るために小さな問題を解決することを学ぶ学校の勉強の意味や古典や辞書の読み方など様々なことが書かれており勉強になりました。
バイアスを知ることで多角的な視点を得ることができ思い込みで判断しなくなることや様々な教養を得ることで人生の質が向上することなども知ることができました。
そんな本書の中でも文学や歴史に触れることで得られるものや暗記のすることの意味や外国語を学ぶ意味やネットでの情報の取捨選択などについては印象に残りました。
本書で答えのない問題が多い社会での生き方を学ぶとともに楽しく継続して教養をつけていく方法や様々な媒体からの取得法を学ぶことができました。
本書で学んだことを活かして自分を発展させていきたいと感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
まず、まえがきを読んで読点が多いなぁという印象。
橋爪さんの癖なのか、声に出すと渡部陽一さんのような語り方に似ているのかな?なんて、そんな雰囲気を感じる文面。
割と断定的に「○○は〜である。」と書き連ねていくから、なんでだろう?と思うところもありながら、ちょこちょこ突っ込みながら読むとさらに幅が広がるかなぁ。
子供になんで勉強するの?と聞かれた時、この本通りの答え方をするならば大人には理解できても、子どもはしっくり来ないかもしれない。だけど、国語、算数、理科、社会それぞれの勉強する意味は橋爪さんの考えに同意する。
教養の師匠の様な方だからこそ断定できる言い方なんだろうなと節々から感じる。