橋爪大三郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
水戸光圀が歴史上果たしたオーガナイザーとしての役割には眼を瞠らされる。
市井の学者である下河辺長流に万葉集の註解を依頼したことが、結果として契沖の「万葉代匠記」を生み、その仕事が本居宣長に決定的な影響を与える。
朱舜水を江戸に招聘するのを聞いた伊藤仁斎が、朱舜水に手紙を書き、教えを乞う。
江戸時代を代表する12人の思想家たち一人ひとりの人生と思想の核心の記述も面白かったが、当時の交通事情の中でも彼らが繰り広げる交流のあり方がとても興味深かった。
ただ、この企画の範囲ではないものねだりを承知で言うのだが、思想の記述に深みが足りない。せめて次の読書への道しるべを示してくれていたらと思う。 -
Posted by ブクログ
構造主義の入口の入口。それくらい簡単に読める。
でも、構造主義の奥行きと広がりがデカすぎるので、むしろわからないことが多いことが自覚できる。哲学ってそういうもんだろうと思うし、そこが楽しい。
私なりの構造主義の感触↓
・真なるものはない。唯一あるのはどこからそれを眺めているかの視点の違いとその関係性。 だから、今までの西洋哲学の発展⇔発展途上の図式は間違っている。
・真なるものが無い世界でも、その関係性には共通的なことや分類できることがあり、それが構造主義の言う構造。
・構造に良い悪い、善悪、発展と発展途上というような二元論的かつ一方向の流れは無い。故に、あるがままを肯定する力と、それでも構 -
Posted by ブクログ
おー、橋爪大三郎さんが読書についての新書を出したのかー。橋爪さん、20世紀末頃糸井重里とかとよく深夜テレビに出てたなー。構造主義についての新書、学生時代に読んだなー、じゃあ久しぶりに読んでみっか、程度のノリで手にとった。
内容はいたってまとも。でも別に新たに学ぶことはなかった。かといって、反対したくなるようなことが書いてあるわけでもない。あえていうと、例としてLGBTの話題をあげる箇所があるんだけれど、当事者としてあんまり気持ちいいとりあげ方じゃなかったな。あと、大著者というのは、社会学者の橋爪さんにとってはあの人たち、ってだけであって、各々が自分の専門性や関心に基づいて選べばいいんじゃな -
Posted by ブクログ
なんとなくタイトルの印象だけで読んでみた。人類学方面から構造主義を唱えた第一人者であるレヴィ・ストロース視点の分かりやすい導入から始まる。
もちろん、これをいっぺん読んだだけで私が構造主義を一端に説明できるようになったかと言われたらそういうわけではない。
令和の世の中では、体系立てて物事を考えたり、抽象化して応用したり、それを言語化することがトレンドとして持て囃されている。その素地を作ったのがこの構造主義なのだろう。実際、この本ではソシュールによる言語学についても触れられている。
それらが普遍的な構造(Structure)として、パターン・ルールとして無意識化で成り立っている。かなり納得 -
Posted by ブクログ
きっかけ
面白くて眠れなくなるシリーズに近いやつで寝る時用にいいかなと思って読んだ本
内容
なんとなく当たり前にある言葉について改めて丁寧に説明している
感想
語りが耳元で囁きかけてくるような丁寧さでかつ教えてくれるので今までに読んだことのない感じだった。
おわりにで対象が中高生向けみたいなこと書いてあって語りかけてるのは対象年齢に合わせてなのか〜と腑に落ちた。
憲法、私有財産、宗教の各章はすごいぼんやりと理解できなかったことが説明されていて記憶に残った。
特に上議員と下議員が衆議院参議院で説明されていて、アメリカの方が理解しやすいと思った。
最後と読書案内はより社会学を学びたい人向けのお -
Posted by ブクログ
違和感のある箇所が多い。
「なんで?」という書き込みを多数した。
その根本の原因は、
「人びとが大事にしているものを、価値という。それが大事であるわけを、意味という。…人間が人間らしく生きるのに、不可欠なものである。」
という、著者の人間観・社会観。
「考えるとは、言葉にすること」といった、言語への偏重した愛着。
言語が意味や価値を生み出し、社会を支えているという、言語への過剰な信頼感。
言語文明が崩壊することによって、意味や価値が消え去った後に、それらから自由な、この世の本当の美しさが残るのではないか?
というのが、僕の夢想的な世界認識である。
本当に人間社会は、高度な知的文明なの -
-
Posted by ブクログ
タイトルからは予想できませんが、これは日本史に関する対談本です。
一般に知られている歴史的事実をテーマにとりあげ、なぜそうなったのか?を語り合うのだけど、著者ふたりが詳しすぎて、「一般的にはこうだけど」の部分が既に初耳ということも少なくない。
詳しい人が読んだらもっと楽しめたと思う。
たとえば、
・日本の親族構造は父系とも母系ともみなしがたい、太平洋諸島と共通するもの。
・縄文文化もシベリア方面から来たと思われるが、南方の要素もある。
・日本語も、文法は北方系だけど、母音は南方系。
・これらを見ると、誰かがまとまってやって来てほかの連中を追っ払った、ではなく、いろんな人々がやってきて時間をか -
Posted by ブクログ
生成AIの登場は、文書による官僚主義があらゆる社会活動のベースとなっている現代において、自ら文書を生み出すツールが出現したということであり、大きな変革が訪れると著者は予測する。
軍では、これまでは平時と有時で体制を使い分けていたが、有時でも瞬時に文書作成と情報共有がなされるのであれば平時同様の意思決定が可能になるという変革が訪れる。
企業ではこれまで現場部門の省力化・効率化が進められ本社機能は非効率なままであったが、バーチャル管理職などのビジネスソフト導入により本社の情報整理と意思決定機能が省力化される。
教育では同い年が集められ学級単位で画一的に行われてきた授業が、個々人の理解度に応じた個別 -
Posted by ブクログ
『(前略) その大澤さんが、やっぱりキリスト教だよ、と言う。キリスト教を踏まえないと、ヨーロッパ近現代思想の本当のところはわからない。現代社会もわからない。日本人が、まず勉強すべきなのは、キリスト教ではないだろうか。
まったくその通り!と私も思った。
「キリスト教入門」みたいな本なら、山ほど出ている。でもあんまり役に立たない。
「信仰の立場」を後ろに隠して、どこか押しつけがましく、でもにこにこ語りかける。さもなければ、聖書学あたりの知識を、これならわかるかねと上から目線で教えをたれる。
人びとが知りたい、いちばん肝腎なところが書かれていない。根本的な疑問ほど、するりと避けられてしまっている。
-
Posted by ブクログ
生成AIが組み込まれた日本社会はいかに変化するのか?
著者の考える近未来予想図
・会社は「経営者と現場」で回る!中間管理職は不要に
・教育現場で”学年制”が消滅、大学は文科省から解放へ
・移動の自由&世界共通法でフラットな国際社会が実現
人類が長く夢見た格差のない社会は実現するのか?
生成AIがビジネスを変えるように、教育、学校を変えるだろう、質の高い教育をすべて人に届けるのに有利な技術だ、という考え。
印象に残ったのは、現在無料のChatGPT、OpenAI2022年11月に公開、資金を提供しているのはマイクロソフト社、又、グーグルもメタも多額の費用をかけて大規模言語モデルの開発を急いでい -
Posted by ブクログ
世界を知るには宗教から。と思い常々宗教を学びたかったため読んでみた。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教について成り立ちから詳しく説明されている。ぶっちゃけ、宗教入門の本はあるけどどれから読んでいい?どの宗教から学ぼう?…と難しい部分があるものの、本書であれば世界を代表する宗教について解説されているため一定カバーできそう。
キリスト教、仏教はなんとなくわかったが、私はイスラム教の話が全然頭に入って来なかった、、横文字がダメすぎて…仏教も成り立ちはよく分かったけども、その後宗派がどんどん増えていくところがかなり難解に感じた。1回じゃ理解できない。これ講義で聞いてた学生の方々は理解できた