橋爪大三郎のレビュー一覧
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「権力」を歴史的・多角的に再考しつつ、著者の権力論で結ぶ形。
「歴史的・多角的な再考」の部分は、コンパクトに概要がまとめられていて、勉強になる。たいへんありがたい。
⚫︎ホッブスの社会契約論『リヴァイアサン』
⚫︎旧約聖書のストーリー
⚫︎マルクス主義
⚫︎マックス・ヴェーバー
⚫︎ミシェル・フーコー
⚫︎民主主義のなりたち
⚫︎民主主義の代替案
⚫︎人権(自然法)
⚫︎憲法と憲法制定権力
などなど、今後、他の本を読んでいる時に、復習として読み返したい。
現代社会の前提となっている「社会契約説」は、キリスト教ロジックの応用であり、「民主主義」は、人々の意思に合致するためでなく、神の意志に合致するためにあった、「制度」というより「文化」と呼ぶべきものである。
対極的なのが、中国(儒教)の考え方。「人が人を支配するのは正しい」という「政治がきちんと機能すれば、人々は幸せに暮らせる」という基本理念である。
「自由が人々を幸福にする」という、神に従う西欧と、「政治が人々を幸福にする」という、人に従う中国。
そして、西欧型の権力理論を取り入れながらも、空気に従う日本。
思想の歴史的な積み重ねが、現代を作っている。
特にこのあたり、学ぶことの面白さ、スリリングさを感じる。
しかし、著者自身の権力論のページには、
「なんで?」「ほんとに?」「疑わしい!」といった、多数の書き込みをした。
橋爪大三郎独特の、短文言い切り、何度もリピート、論理の階段飛ばしの文体は、根拠不明な主張が目立って、飲み込めないことが多い。
僕自身の興味の本丸は、「なぜ、人は人に従うのか?」「なぜ、それを当然のように受け入れているのか?」なのだと思う。
この問いに答えを出すのは、心理学か?脳科学か?生物学か?進化論か?何なんだろう。
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Posted by ブクログ
2022年刊行だから、少し前。
大きく、イスラムとアメリカのこと。
ウクライナとロシアのこと。
中国と西洋資本主義国のことが語られる。
対談を読んで考えたことなので、分かっていない部分も多いと思う。
一つは、ロシア(プーチン)のジレンマのこと。
どこからも歓迎されない大国の疎外感。
今尚、ウクライナとの戦争は続いていて、私を含めて世界中の人はそれを知っている。
けれど、終わらない。終わらせられないということ。
一つは、中国の成功のこと。
二人は、中国式の資本主義がある程度の成功を収めているのは、特異な事象だとして、それでも今後は中国とアメリカが中心になるという図を描く。
それは、中国か西洋かという問題ではないと橋爪さんは割と強めに語る。
結局、中国の人件費、それから品質なんかを我々はある意味、低く見ている部分がある。
そしてそれを、利用しようとしてきた。
そうした態度は、中国の在り方を肯定してきたことと同様で、モラルの観点から間違ってるとも言う。
利用してきたものが、無視できない力を蓄えた時、今度は我々の在り方を問い直さなくてはならない時が来る。
ネットを見ていると、いわゆる爆買や品位に対する負の感情が多く見られる(ような気がする)。
けれど、搾取という意味で、直接的でないだけで、同じようなことをしてきたのではないか。
そんな我々を支持してくれるのは、誰なんだろう? -
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基礎篇の1〜3章は、読まなくていいな。
応用篇の4章、5章が、この本のキモだ。世の中に多くある「本の読み方」本とは一線を画する。橋爪大三郎の本はハズレがない。
4章。まずはトピック・センテンス・メソッド。最初からやけに改行の多い本だなと思っていたがそういうわけか。この本の仕掛けの種明かしでもある。
次に著者の思想の「構造」「意図」「背景」。具体例として、マルクスとレヴィ・ストロースの解説がある。これが滅法わかりやすい。著者によれば、『資本論』の構造は数学、意図はリカードへの対抗、背景はヘーゲル弁証法。資本論だけで一冊書いてくれないかな。
5章。「本を覚えるのではなく、本のことを覚える」。至言だね。ぼくも読書メモ作る癖がついちゃってるけど、結局メモなんか見ないもんな。
6章〜8章は普通の「本の読み方」本とそんなに変わりがない。暗記重視の学校教育の批判、教養を身につけることの意味、ネットと本の違い。まあそんなところだ。
それでもやっぱり普通の本とは違う。
たとえば、こんなことが書いてあった。言葉には万人に共通の論理(理性)と、ひとによって違う前提(価値)の2種類がある。相手と自分で前提が違うと、争いになる。だから争いになったらまずやるべきは、前提の違いを明らかにすることだ。
この隠れた前提を明らかにするためには読書が役に立つ、みたいな話だったと思うが、それよりもこの議論の運び方だ。読書は何の役に立つのか、なんていうあやふやな問いに対しても、これだけ明確な論理で答える。他の著者ならこうはいかない。橋爪大三郎の本でしか味わえない爽快さだ。
この本の明快な文体に影響されて、トピック・センテンス・メソッドで感想を書いてみた。一文も短くした。まあ読みやすくはある。でもどうにもぎこちない。『理科系の作文技術』、読まなきゃな。 -
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レヴィ・ストロースの構造主義を初心者向けに解説してくれている。数学や言語学に着想を得た人類学や神話学は、斬新で読む者を惹き付ける。終盤の読書案内も手厚く、読んでみたいなと思わせてくれる本ばかり。
未開の民族だから劣っている、文明が発達しているから勝っている、といった西洋文明主体の価値観に一石を投じたレヴィ・ストロースの構造主義。人類の文化は、それぞれの社会が持つ秩序の中で形成されていく。なので、そこに優劣の発想を持ち込むのは無意味である。
数学や科学、言語学といった記号の世界と、奇妙に対応を見せる人類の営み。個々の学問の持つ世界の広大さ、同時に、それぞれの学問が繋がりを得て一体になっていく感覚を味わうことができた。 -
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25歳以上も齢の離れた2人の中国研究者による対談。
手頃な分量で内容も平易だが、中身は濃く、本質を突く。
現在の習近平中国共産党政権が、世界史的にみてもいかに異質な存在か。
例えば、
「資本主義経済を軍事力によって制圧した集団が政府を樹立し、権力を握っている」
「中国共産党は世界最大の裏社会だ」(共産党幹部の発言)
「なぜ中国共産党は権力を持つのか、それは、中国共産党が権力を持つからだ」
共産党統治の正当性を支えた中国独立、経済発展が威力を失い、国力が衰退に向かう中、その正当性の保持は危うい。
習近平政権が台湾統一を目指しているとの観察は遠藤誉氏と同じだが、同氏が武力統一はないとしているのに対し、本書はそれを否定しない。
一方、人民解放軍か戦える軍隊なのかについては、内部腐敗などから疑問を呈する。
毛沢東、周恩来、鄧小平、江沢民、胡耀邦と習近平・習仲勲親子らの関係、評価は概ね遠藤氏と同じ。特に毛沢東、鄧小平に対する思いというか恨みつらみが習近平の治世の原動力となっていることはもっと認識されて良い。
集団指導体制という政権継承の仕掛けを自ら壊し、超一強体制となった現政権崩壊後に来るのは混乱、混沌でしかないのか。 -
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キリスト教を通じて西洋社会の成り立ちを理解することが、現代を知る上で重要になる、という前提のもと、
•多神教と一神教の神様の違い
•イエスとは何者なのか
•科学技術や哲学との関連
•権力とキリスト教の距離について
などなど、様々な切り口からキリスト教について議論が進められていく。
対話形式なので読み易く、智の巨人たちのあそびみたいな空気を感じられて面白かったです。
同じ一神教でも、聖書を読み解く視点や見解に多様性があるキリスト教と、ムハンマドがほぼ直接神の言葉を受け取ることから聖典に多様性や多義性は入りようがないイスラム教という違いがある。
ただ、キリスト教社会が寛容かと言われればそうではなく、その時々で最も力を持つ者の解釈が正統となりそれ以外は異端とされるなど、権力との関係も独自性があるという面も興味深い。