橋爪大三郎のレビュー一覧
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現代の戦争は核兵器の存在を大前提にしてその対応を考えるべきだが、何故か日本では所謂核アレルギーが蔓延っているためか、実質的な議論が出来ない状態にあることを、様々な事例から検証している.小生、現役時代、自衛隊の装備品の開発に携わっていたので、自衛隊や米軍の実態を垣間見てきたが、表立って核を取り上げる見解に触れたことはなかった.国連が国際平和の要となるべく作られたものの、今日の安全保障理事会の現状をみると、実質的に機能していない.NATOを拡大した形の西側同盟の創出を提案しているが、日本がその中でイニシアティブを取って活躍できるように、憲法を含めた国内体制の整備を検討する時期に来ていると痛感した.
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同じく構造主義に関する基礎的事項の説明がある『寝ながら学べる構造主義』(内田樹)を最近読んだためどうしてもそちらとの比較論になりがちなわけではあるが, 極力目を瞑ってほしい
ちなみに結論から言うと解りやすさと話題の広範さについては『はじめての構造主義』が勝ると感じた
まずは数学, 何よりも数学, 構造主義を論ずるには数学は不可欠なのだ
本著ではユークリッド幾何学以降のさまざまな幾何学を位相変換の概念なども交えながら, 簡単に紹介しただけではあるが個人的には大変刺激的であった
対してそのような内容は内田氏の書著では全く触れられておらず, 私自身も数学がこれほど密接に現代思想に関わっているのかと -
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アメリカという国家の成り立ちから現代までにおけるプロテスタントをはじめとする様々なキリスト教宗派の伸展の様子、それによりもたらされたアメリカ社会の特性が、ケンブリッジ版『アメリカの宗教の歴史』の記述による”二次創作”で述べられていく。覚えきれない・差異を把握できないほど多様な宗派があること、それでもそれらの基底に流れるものが公定教会から政教分離を導き出したアメリカの人々の行動様式のもとになっていることはなんとなくわかった。最後の巨大ショッピングモールのようなメガ・チャーチの話題や国それぞれの宗教的なものによる統治の方法とアメリカとの差異が面白かった。
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死についての本というより、キリスト教・仏教・イスラム教・儒教・神道などの各宗教の考え方を教えてくれる本。
個人的には、合理主義者が合理的に説明できない偶然の空白を埋めるために神を信じるという説明がめちゃくちゃ納得。日本人からすると一神教の考え方ってどうも馴染みがないけど、そう考えるとなんかわかる。
何かの宗教に入信しよう、とまでいかなくても、死の捉え方含め自分の中の整理を固めておくことが善く生きることに繋がるのだと思った。
ー自分の死を引き受けるには、どれかひとつの考え方を選択しないといけない
ひとつの考え方を選択するからほかの選択のことがよりよく理解できる
ー自分で決めて、そのよう -
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ヴィトゲンシュタイン本。むずかしい・・
前期:論理哲学論考→世界と言語は1対1に対応している。
↓
後期:言語ゲーム→「そうではないのかもしれない・・」
ある規則に従った、人々の振る舞いのことを言語ゲームと呼ぶ。
言語は私的ではなくパブリックであり、人々の間の振る舞いの一致を司る。
机を指さして、「これが机だ!(直示的定義)」と世界が決まっているわけではなく、
一定の特徴を持った群を「これを机と呼ぶことにしよう」として、そのように振る舞うこと。
その「環世界」を傍からみる、エイリアン的または幼い子供は、最初何をしているのか理解できない。
そのうちに、あぁ、彼らはあれをツクエと呼ぶのだな。その -
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教養をつけたい、というより本を読んだらいいことあるらしいがよく分からん、という人にオススメしたい一冊。
本との適切な距離感を大事にしながら読書するのがいいですよーみたいな解釈を知れるいいきっかけになりそう。
全編を通して、細かな表現ゆれや思想の偏りは気になるけども、そこも合わせ飲みつつ読むことが大事。
なるほど教養とはこういうものなのかと理解が進むきっかけになると思うし、本を読むモチベーションにもつながりそうです(私自身はもともと読書が好きなのでこの本については内容に概ね同意です!という立場でございます)。
この本を読んで面白いと思った人には「乱読のセレンディピティ」という本も合わせて -
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いま起きているロシア、ウクライナ問題をよく知りたくて購入。序盤は中東の戦争の話から入り、中盤からようやくウクライナの話題に。広い範囲の社会学的な論点で今起きている問題を捉えようとしている大澤さん、橋爪さんの対談は無知な自分にとってとても勉強になった。
特に途中で挙げていた、酒井啓子さん?の「すべての宗教問題は、宗教的な事情からではなく政治的な理由によって起こる。その吐口と理由づけとして宗教が用いられている」というような話に感銘を受けた。まさにその通りだと思った。
国家間の対立全般例えられることかもしれないが、今回のロシアの抱える大きなルサンチマン、お互いに歩み寄れない西側諸国とロシアの対立