橋爪大三郎のレビュー一覧

  • 中国共産党帝国とウイグル

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    知の巨人たちによる対談。中国共産党"帝国"の成り立ちやその性格、そして周辺との関係性がよくわかる。
    どうしても西洋的な価値観で考えてしまう我々日本人にとって新鮮でありつつ、分解すれば理解できる中華の思想。それは東的(共産主義的)なものもあれば、広く東アジア的価値観も通底しており、宗教・イデオロギーの対立で浮き彫りになるものもある。
    終盤で説明されていた近代の日本の動きも、長く東アジア中国文化圏で行われていた征服王朝の概念で整理すると納得がいった。
    そして後書きが非常に濃厚で、面白かった。

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    2023年08月02日
  • 核戦争、どうする日本? ──「ポスト国連の時代」が始まった

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    現代の戦争は核兵器の存在を大前提にしてその対応を考えるべきだが、何故か日本では所謂核アレルギーが蔓延っているためか、実質的な議論が出来ない状態にあることを、様々な事例から検証している.小生、現役時代、自衛隊の装備品の開発に携わっていたので、自衛隊や米軍の実態を垣間見てきたが、表立って核を取り上げる見解に触れたことはなかった.国連が国際平和の要となるべく作られたものの、今日の安全保障理事会の現状をみると、実質的に機能していない.NATOを拡大した形の西側同盟の創出を提案しているが、日本がその中でイニシアティブを取って活躍できるように、憲法を含めた国内体制の整備を検討する時期に来ていると痛感した.

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    2023年08月01日
  • トウ小平

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    毛沢東とか、習近平とか、鄧小平とか。
    名前は知ってても、どんなことをしたのかって実は知らない。。。

    歴史をトレースするのは大事なことだなあと読みながら感じました。

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    2023年07月13日
  • アメリカの教会~「キリスト教国家」の歴史と本質~

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    アメリカにおけるキリスト教/教会の歴史を知らずしてアメリカは理解できないということを前回の大統領選挙ウォッチで知りました…が、こちらは予備知識が無いと…いや多少あっても読み通すのはかなり骨が折れます。ただ、このようなかなり詳細な解説を日本語で読めるのは貴重ですね。

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    2023年05月10日
  • はじめての構造主義

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    わかりやすいけど、マルクス主義が何かを事前知識として入れとかなきゃいけない。いわゆる歴史(ヨーロッパ史)至上主義的なのに限界を感じて生まれたのが構造主義なのか。自文化を相対化し、異文化を深く理解する方法論。これに尽きるかなと。

    橋爪さんの本ははじめてだったけど、文体に可愛げのある正直さとユーモアのある表現が隠れていて、読んでいてクスッと笑えた。ポスト構造主義と構造主義の繋がりとか、すごく言葉を噛み砕いて説明してくれるからありがたい。

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    2023年05月06日
  • 4行でわかる世界の文明

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    わかりやすい。根本がわかる。日本もついでにわかる。意見が言えないのは、根本的にそうカスタマイズされているから仕方ないのである。

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    2023年05月03日
  • はじめての構造主義

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    初めて構造主義を知るにはとてもちょうどよかった。構造主義にも、構造主義以前の思想にも、構造主義よりあとの現代思想にも、自分なりの思想を作ることにも、興味を持てるようなつくりになっていた。

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    2023年04月15日
  • はじめての構造主義

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    同じく構造主義に関する基礎的事項の説明がある『寝ながら学べる構造主義』(内田樹)を最近読んだためどうしてもそちらとの比較論になりがちなわけではあるが, 極力目を瞑ってほしい
    ちなみに結論から言うと解りやすさと話題の広範さについては『はじめての構造主義』が勝ると感じた

    まずは数学, 何よりも数学, 構造主義を論ずるには数学は不可欠なのだ
    本著ではユークリッド幾何学以降のさまざまな幾何学を位相変換の概念なども交えながら, 簡単に紹介しただけではあるが個人的には大変刺激的であった
    対してそのような内容は内田氏の書著では全く触れられておらず, 私自身も数学がこれほど密接に現代思想に関わっているのかと

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    2023年02月25日
  • おどろきのウクライナ

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    タイトルの「おどろきのウクライナ」は、出版社が売るためにつけたと思われ、本書の内容に即していません。本書では西側に対するロシア、中国の内在論理など、もっと広いテーマを扱っています。
    対談はアメリカのアフガン撤退から始まり、ポストウクライナ戦争まで。色々なことを考えさせられる、読み応えのある一冊。
    リベラル資本主義と「反社」である権威的資本主義の戦い。でもやっぱり「資本主義」しかないのね、という思いもあります。日本はリベラル資本主義の一員でありながら、権威的資本主義の仕組みにあこがれているように思えてなりません。

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    2023年02月11日
  • 言語ゲームの練習問題

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    ヴィトゲンシュタインの言語ゲームは普遍的であり、近代が終わった後の社会、機械主義(mechanism)を考えることができるという。刺激的ですね。機械人(humachine)という言葉も初めて知りました。

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    2023年02月06日
  • アメリカの教会~「キリスト教国家」の歴史と本質~

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    アメリカという国家の成り立ちから現代までにおけるプロテスタントをはじめとする様々なキリスト教宗派の伸展の様子、それによりもたらされたアメリカ社会の特性が、ケンブリッジ版『アメリカの宗教の歴史』の記述による”二次創作”で述べられていく。覚えきれない・差異を把握できないほど多様な宗派があること、それでもそれらの基底に流れるものが公定教会から政教分離を導き出したアメリカの人々の行動様式のもとになっていることはなんとなくわかった。最後の巨大ショッピングモールのようなメガ・チャーチの話題や国それぞれの宗教的なものによる統治の方法とアメリカとの差異が面白かった。

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    2023年01月31日
  • 死の講義―――死んだらどうなるか、自分で決めなさい

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    死についての本というより、キリスト教・仏教・イスラム教・儒教・神道などの各宗教の考え方を教えてくれる本。

    個人的には、合理主義者が合理的に説明できない偶然の空白を埋めるために神を信じるという説明がめちゃくちゃ納得。日本人からすると一神教の考え方ってどうも馴染みがないけど、そう考えるとなんかわかる。

    何かの宗教に入信しよう、とまでいかなくても、死の捉え方含め自分の中の整理を固めておくことが善く生きることに繋がるのだと思った。


    ー自分の死を引き受けるには、どれかひとつの考え方を選択しないといけない
    ひとつの考え方を選択するからほかの選択のことがよりよく理解できる

    ー自分で決めて、そのよう

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    2023年01月28日
  • ふしぎなキリスト教

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    2023.01.24 本にも書いてあるけど、本当に面白かった。傑作だと思う。前提となるこの本のコンセプト(現代社会を生きる上では、キリスト教の理解が必要だ)が、本当に素晴らしいと思う。

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    2023年01月24日
  • ふしぎなキリスト教

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    キリスト教に興味を持ったので読んでみた。
    腑に落ちない部分もあるが、総じて「よくできているな」という印象。特に、西洋でなぜ科学が発達したのか、分かった。
    私は日本人的価値観に染まっているから、まだ一神教の考え方について怖いと思う部分もあるけど、こっちがマジョリティでベーシックなんだな、という位には理解が深まった。

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    2023年01月04日
  • はじめての言語ゲーム

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    ヴィトゲンシュタイン本。むずかしい・・

    前期:論理哲学論考→世界と言語は1対1に対応している。

    後期:言語ゲーム→「そうではないのかもしれない・・」
    ある規則に従った、人々の振る舞いのことを言語ゲームと呼ぶ。
    言語は私的ではなくパブリックであり、人々の間の振る舞いの一致を司る。
    机を指さして、「これが机だ!(直示的定義)」と世界が決まっているわけではなく、
    一定の特徴を持った群を「これを机と呼ぶことにしよう」として、そのように振る舞うこと。
    その「環世界」を傍からみる、エイリアン的または幼い子供は、最初何をしているのか理解できない。
    そのうちに、あぁ、彼らはあれをツクエと呼ぶのだな。その

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    2022年12月18日
  • さんすうの本 ナンバーランドのふしぎな冒険

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    主人公のすみれが夢の中でナンバーランドへ行って、天使からがっつり算数の講義を受けるお話。
    物語を読んでるうちになんとなく算数を学べるのかと思ったけど、意外とがっつり算数のお話だった。
    カシワイさんの絵が可愛い。

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    2022年12月16日
  • 人間にとって教養とはなにか

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    教養をつけたい、というより本を読んだらいいことあるらしいがよく分からん、という人にオススメしたい一冊。

    本との適切な距離感を大事にしながら読書するのがいいですよーみたいな解釈を知れるいいきっかけになりそう。

    全編を通して、細かな表現ゆれや思想の偏りは気になるけども、そこも合わせ飲みつつ読むことが大事。

    なるほど教養とはこういうものなのかと理解が進むきっかけになると思うし、本を読むモチベーションにもつながりそうです(私自身はもともと読書が好きなのでこの本については内容に概ね同意です!という立場でございます)。

    この本を読んで面白いと思った人には「乱読のセレンディピティ」という本も合わせて

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    2022年12月10日
  • おどろきのウクライナ

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    いま起きているロシア、ウクライナ問題をよく知りたくて購入。序盤は中東の戦争の話から入り、中盤からようやくウクライナの話題に。広い範囲の社会学的な論点で今起きている問題を捉えようとしている大澤さん、橋爪さんの対談は無知な自分にとってとても勉強になった。

    特に途中で挙げていた、酒井啓子さん?の「すべての宗教問題は、宗教的な事情からではなく政治的な理由によって起こる。その吐口と理由づけとして宗教が用いられている」というような話に感銘を受けた。まさにその通りだと思った。

    国家間の対立全般例えられることかもしれないが、今回のロシアの抱える大きなルサンチマン、お互いに歩み寄れない西側諸国とロシアの対立

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    2022年12月04日
  • ふしぎなキリスト教

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    宗教、特に「神様を信じる」ということがどういうことなのか理解できないので、初歩的な質問も含んでいるというこの対談本を読んだが、いい意味で自分にはやはり宗教は理解できないと思った。
    聖書は矛盾に満ちていて、遥か昔からそれをどのように解釈するか論争を繰り広げてきたとあったが、その過程で西洋の近代化の手助けのような働きをしていたと考えるところが興味深かった。

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    2022年11月23日
  • 丸山眞男の憂鬱

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    山崎闇斎に関するの丸山真男の論考の混乱に驚かされた著者(丸山ゼミの孫弟子にあたる橋爪大三郎)が、山本七平と小室直樹が語る、浅見絅斎の靖献遺言という本に辿り着いた所から始まる、様々な論考であります。赤穂浪士をどう評価するか、という所から説き起こし、丸山が体験した戦前の超国家主義(超越的な天皇を崇拝する前近代性等)のよって来る所以を論考する本であります。難しいけれど、なるほど、であります。★四つです。

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    2022年11月14日