【感想・ネタバレ】一神教と戦争のレビュー

あらすじ

なぜキリスト教徒は戦争に強いのか? なぜキリスト教圏とそこから派生した世俗国家が覇権を制しているのか? そして、西欧とイスラームの衝突の思想的な原因はどこにあるのか? 本書は、この大きな「なぜ?」に答えを提示している。西欧思想に通じた社会学者とイスラーム学者による、互いの立場に妥協せずに展開されるスリリングな対話からは、紛争の時代を見通す智慧が見えてくる。一神教とその社会、そして戦争の関係を考察する文明論の決定版。【目次】はじめに 橋爪大三郎/第一章 戦争観の違い イスラームvsキリスト教/第二章 ナショナリズムと戦争/第三章 キリスト教徒はなぜ戦争がうまいのか/第四章 ヨーロッパのシステムは普遍的なのか/第五章 核の脅威と国際社会/第六章 イスラームは国際社会と、どのように調和するのか/第七章 破滅的な核戦争を防ぐ智慧を持てるか/おわりに 中田 考

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Posted by ブクログ

世界三代宗教といえばキリスト教、イスラム教、仏教であり、更に二つ、ヒンドゥー教とユダヤ教を加えると五大宗教となる。これらは世界的に見て信者数が多い事からも世界に与える影響も大きく、世界で起きている戦争や各国の政策根拠を宗教に求めることも多くの場合に可能であるとも言える。厳密にいえば宗教以外の各国の思惑が様々あるのかも知れないが、その中に確実に宗教の影響力が及んでいると感じる事は多数あるだろう。トランプを支援した福音派しかり、イスラエルのガザ侵攻しかり、イスラム教過激派による活動しかり。宗教は世界を動かしている要因の一つである事は間違いない。
その様な宗教の中から、最大の勢力といえばキリスト教とイスラム教である。それぞれ信者数はキリスト教23.8億人、イスラム教20億人前後と、3番目に多いヒンドゥー教の11億人を圧倒する(仏教5.2億人、ユダヤ教は約1700万人)。そしてキリスト教、イスラム教、ユダヤ教は何も聖地にイエルサレムを抱えており、アブラハムの宗教として同じ起源を有している。
本書の内容はその二大国家宗教であるキリスト教とイスラム教のそれぞれの研究の第一人者である、西欧思想および社会学者の橋爪大三郎氏とイスラーム学者で自らもイスラム教徒の中田考氏の対談形式となっている。それぞれの宗教における戦争感の違いから、国家のあり方ネーションステイト、更には互いが矛を交えた戦争の歴史から、なぜキリスト教は戦争に強い宗教となったのか、各宗教の起源やその後の発展の歴史による考え方の違いなどを比較していく。それぞれ同じ起源でありながら、長い年月を経て全く相容れない思想へと変化していく様、そして現代にまで続く慣習や考え方の違いを知る事は、現代を生きる我々にとっても二つの宗教に帰依する人々との対話の仕方にも参考になるものだ。現在もなお記憶に新しいアメリカ同時多発テロであるが、対立が表面化した事象だけを見て、それぞれの宗教を評価してしまうのは間違えている。イスラム教が殲滅戦的な争いを避け、平和を望む宗教である事は、それらテロとテロを報じるキリスト教国のメディアからは正確には伝わってこない。キリスト教フィルターを外した実態としてのイスラム教を捉える事は非常に重要であるし、今後世界人口に占める割合で言えば「産めよ増せよ」のイスラム教が最大勢力になるのは目に見えている。だからこそ、キリスト教との比較によるイスラム教の姿を捉える本書は、非常にわかりやすく役に立つ内容だと感じる。是非手に取って一読して欲しい書籍だ。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

キリスト教徒とイスラム教の社会や政治のあり方への影響を比較しつつ、「キリスト教がなぜ戦争に強いのか?」とか、それぞれの国での政治の仕組みや、これからの戦争や世界システムについて、議論する本。

対談を本にしたものなので、スラスラと読めるかと思ったが、かなり濃縮度の高い議論で、二人の著者がそれぞれの考えを述べて、共通点を確認したり、対立したり。この議論についていくのは、わりと時間と体力を要した。

スリリンな本であるが、でも辿り着くところは、まあそうかな〜というところかな。宗教が社会に影響を与えるのもわかるけど、なんでもそれで解釈できるわけでもないだろう〜と思ったりする。

著者のひとり中田さんの本は読んだことがないのだけど、対話形式でない「おわりに」の文章を読むと、改めて彼の考えていることが一定のまとまりを持って書かれてあり、有益であった。彼の単著も読んでみたいと思った。

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2023年09月27日

Posted by ブクログ

イスラームとキリスト教は根本的に違うんだということがわかりました。

イスラームは内向きという印象。

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2019年04月11日

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