橋爪大三郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「権力」を歴史的・多角的に再考しつつ、著者の権力論で結ぶ形。
「歴史的・多角的な再考」の部分は、コンパクトに概要がまとめられていて、勉強になる。たいへんありがたい。
⚫︎ホッブスの社会契約論『リヴァイアサン』
⚫︎旧約聖書のストーリー
⚫︎マルクス主義
⚫︎マックス・ヴェーバー
⚫︎ミシェル・フーコー
⚫︎民主主義のなりたち
⚫︎民主主義の代替案
⚫︎人権(自然法)
⚫︎憲法と憲法制定権力
などなど、今後、他の本を読んでいる時に、復習として読み返したい。
現代社会の前提となっている「社会契約説」は、キリスト教ロジックの応用であり、「民主主義」は、人々の意思に合致するためでなく、神の意 -
Posted by ブクログ
基礎篇の1〜3章は、読まなくていいな。
応用篇の4章、5章が、この本のキモだ。世の中に多くある「本の読み方」本とは一線を画する。橋爪大三郎の本はハズレがない。
4章。まずはトピック・センテンス・メソッド。最初からやけに改行の多い本だなと思っていたがそういうわけか。この本の仕掛けの種明かしでもある。
次に著者の思想の「構造」「意図」「背景」。具体例として、マルクスとレヴィ・ストロースの解説がある。これが滅法わかりやすい。著者によれば、『資本論』の構造は数学、意図はリカードへの対抗、背景はヘーゲル弁証法。資本論だけで一冊書いてくれないかな。
5章。「本を覚えるのではなく、本のことを覚える -
Posted by ブクログ
レヴィ・ストロースの構造主義を初心者向けに解説してくれている。数学や言語学に着想を得た人類学や神話学は、斬新で読む者を惹き付ける。終盤の読書案内も手厚く、読んでみたいなと思わせてくれる本ばかり。
未開の民族だから劣っている、文明が発達しているから勝っている、といった西洋文明主体の価値観に一石を投じたレヴィ・ストロースの構造主義。人類の文化は、それぞれの社会が持つ秩序の中で形成されていく。なので、そこに優劣の発想を持ち込むのは無意味である。
数学や科学、言語学といった記号の世界と、奇妙に対応を見せる人類の営み。個々の学問の持つ世界の広大さ、同時に、それぞれの学問が繋がりを得て一体になっていく感覚 -
Posted by ブクログ
江戸思想の豊かさを掘り起こす。朱子学、国学、陽明学、仏教、儒教、民間信仰など、江戸期に花開いた多様な思想を扱いながら、それらが当時の社会秩序や人間観にどう結びついていたかを紐解く。本書の魅力は、単なる思想史の解説にとどまらず、江戸の思想家たちが「人間はいかに生きるべきか」「社会はどうあるべきか」と真剣に悩み、考えていたことを、現代の我々の問いに重ねて語る点にもある。そして、この思想家たちがそれぞれ時代を超えて繋がっている点も面白い。
本書では、徳川光圀、藤原惺窩、林羅山、中江藤樹、熊沢蕃山、契沖などの思想家を取り上げる。先に述べた<朱子学、国学、陽明学、仏教、儒教>を考えた時、江戸市民に普及 -
Posted by ブクログ
25歳以上も齢の離れた2人の中国研究者による対談。
手頃な分量で内容も平易だが、中身は濃く、本質を突く。
現在の習近平中国共産党政権が、世界史的にみてもいかに異質な存在か。
例えば、
「資本主義経済を軍事力によって制圧した集団が政府を樹立し、権力を握っている」
「中国共産党は世界最大の裏社会だ」(共産党幹部の発言)
「なぜ中国共産党は権力を持つのか、それは、中国共産党が権力を持つからだ」
共産党統治の正当性を支えた中国独立、経済発展が威力を失い、国力が衰退に向かう中、その正当性の保持は危うい。
習近平政権が台湾統一を目指しているとの観察は遠藤誉氏と同じだが、同氏が武力統一はないとしてい -
Posted by ブクログ
キリスト教を通じて西洋社会の成り立ちを理解することが、現代を知る上で重要になる、という前提のもと、
•多神教と一神教の神様の違い
•イエスとは何者なのか
•科学技術や哲学との関連
•権力とキリスト教の距離について
などなど、様々な切り口からキリスト教について議論が進められていく。
対話形式なので読み易く、智の巨人たちのあそびみたいな空気を感じられて面白かったです。
同じ一神教でも、聖書を読み解く視点や見解に多様性があるキリスト教と、ムハンマドがほぼ直接神の言葉を受け取ることから聖典に多様性や多義性は入りようがないイスラム教という違いがある。
ただ、キリスト教社会が寛容かと言われればそう