又吉直樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
小説を読んでいて笑っちゃうことって基本ないのに、又吉さんの文章を読んでいると普通に笑ってしまう。さすが芸人だなと思う。一方で、シリアスな場面はとことん刺しにくる。思想や欲望を恥ずかしいくらい赤裸々に書かれてしまって、それに身に覚えがあるもんだから「もう勘弁してください」となったりする。
新約聖書の福音書には4人の語り手が採用されていてそれぞれ印象が違う証言になっている、という本編中にあった例え話のとおりで、人の記憶は曖昧であり都合の良いふうに解釈したり都合の悪いことを無かったことにしてる。主人公・永山が語る過去や見えている景色が現実のものかどうかは分からず、そのすべてを信用はできない
ただ、 -
Posted by ブクログ
影島道生がナカノタイチに当てたメールがエグい。
ここまで人に理詰めできるのかと驚いた。しかも揚げ足を取るとか、ただ揶揄するとかではなく、周りを否定せず、ナカノタイチだけを逃さないように取り囲み、言葉で刺す。 これが又吉直樹か、と。自分に言われてるかと感じるところもあり、読むのがしんどい箇所もあった。
又吉さんのYouTubeも面白くてよく観る。この小説はほんと又吉直樹そのものだろう。エピソードがYouTubeで語られていたのと同じだった。同じなのに文字でもちゃんと笑えた。
人間。その弱さ。人間が作る社会。その端に追いやられる弱き者。人間は弱い。拙い。
良い小説に出会えた。 -
Posted by ブクログ
髙島野十郎展の企画で、又吉さんのトークイベントに当選したので行ってきました。髙島野十郎の月の作品に魅せられて又吉さんから県立美術館に問い合わせがあり、その後親善大使になられた経緯があるそうです。こちらの本の紹介があり、お取り寄せ。表紙の松本大洋装画の子どもの絵にも惹かれる。
見出しだけでも又吉さんの哀愁がたっぷり漂い、自意識過剰さに愛おしさを感じる。月の灯りで街角の隅っこがほんのり照らされているような読後感。学生時代や下積み時代、現在の交友関係、家族とのユーモアあふれるエピソードが満載。特にお父様の存在は近づいても離れても大きな存在のようで胸が熱くなりました。私も父に連絡しよう。
独りで過 -
-
Posted by ブクログ
主人公、いまのわたしと同い年の設定なのか、と積読から引っ張り出した。
読んでてだるい部分もひっくるめて、語りの力が物語を凌駕した。中高生のときのわたしに読んでみてと勧めたい。そのころ登場人物たちや又吉と同じく「人間失格」をお守りにしたように、「人間」をもお守りにしたかもしれない。言いたいことが思うように伝わらず腹が立つことがあっては夜な夜なページを開いて、影島の言葉を自分のものにしていったかもしれない。生きづらさを抱える人が、生きることに真正面から向き合って書いた小説が、おもしろくないわけないのだ。わたしは永山にも影島にもシンパシーを感じながら読んだ。 -
Posted by ブクログ
又吉さんみたいな文章を書きたい、もう読みながらいや、わかるわ〜と共感したり、啜り笑いがでたり、なんなんだこの文章、、引き込まれる。1日で読み終わりました。
へへへ、恋人のお家で読み終わったんだけど6時間くらい読み続けていて正直異様な空間だったなと今では思う。でも私の啜り笑いを見てなんかつられて笑ってて又吉さんのおかげで作られた幸せ空間だったなと思う。ありがとう又吉さん。
又吉さんとお友達になりたいんですけど、どうしたらいいですかね。
なんか変態って褒め言葉だよなと改めて感じた。変わってることはまぁ、よくいう個性であって。それに悩む時もあるけど愛せたら多分楽しくなるし、強くなれるのかなあ。全然ま -
Posted by ブクログ
もともとyonigeというバンドが好きで、
その中でも沙希という曲が1番好きで。
この本から影響を受けて書いた曲だと知ったにも関わらず読んだことがなかったので、
今更ながら読んでみた。
終盤、気が付いたら涙が止まらなくなっていた。
最後の描写は実際の場面を見たかのように強く映像として残っていて、2人のこの時間に終わりが来ることを認めたくなくて、しばらく最後のページをずっと眺めていた。
永田のプライド、コンプレックス、それが人との関わりにおいて邪魔をしてしまうシーンは、
ここまでの表出さえしなくとも自分自身の中にもある感情、あった感情な気がして、読み進めるのを躊躇いそうになる瞬間もあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の人生で往復書簡形式の本はこれで2冊目。対談よりもこういう文通のほうが好きかもしれない。矢継ぎ早に言葉が飛び交うのより、時間をかけて相手に言葉を渡すのが心地よいからか。
実は又吉直樹も武田砂鉄もちゃんと文章を読むのはこれが初めてだった。だからこそ、又吉直樹のあの無気力そうでミステリアスな風貌からどんな思考が出てくるのか、ネット上で名前をよく見た武田砂鉄はどんな事を話すのか、とても楽しみだった。
読んでみると、だいぶ安っぽい感想になるけど、自分に刺さった言葉がたくさんあった。15頁の「人は言動を瞬間的に変えながら〜」に触れた時、この本を買ってよかったとすら思った。私も「2週間前の自分は別の -
Posted by ブクログ
ネタバレ魂の解放の話。
好きな芸人さんではあるけど、メディアに出ている時は色んな方面に気を使いながら喋っている事が多い感じがするのが、この本では恥を忍んで少し魂を解放している雰囲気が良かった。
最後の「魂を解放してもいいですか?」でスナックでママに応援されながら、一人カラオケを歌う話が良かった。
p. 93 しかし、文学者が排他的な思想を持っていたことには、少なからず動揺した。それは、文学に幻想を抱いていたからだ。かつては憧れに似た感覚で書店の本棚を見上げていたが、その棚に排他主義者が隠れているのかと思うと吐きそうになる。そんな鈍い感性の書き手は一部に過ぎないのだろうけれど、書店が恐ろしくな