又吉直樹のレビュー一覧
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読み始めた時はなんというか文章に起伏がなくて、自分の好みではないかもと思いながら読むことになったが、しっかりと最後まで読むと等身大であるからこそ描けるものもあるんだと説得された気がした。それに加えて他の芥川賞作品では終わり方がなんとなくぼんやりとして曖昧なものが多いのに対して、「火花」の終わり方は、確かに日常がこれからも続きそうだが、相対的に見れば個人的にオチがついている気もした。それはもしかしたら又吉さんが芸人であるが故のものであるかもしれない。
芥川龍之介への手紙での、作品鑑賞に関する意見は自分も心底思っていたことだったので少し報われた。この意見がきっかけで自分も分からないからと言って考え -
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先輩という存在は、どういうわけか崇高な人に見える時がある。それはお笑いという領域だけではない。部活、サークル、会社、恋愛。傍から見れば野蛮で救いようのない阿呆な先輩でも、先輩が右と言えば右、先輩が美味いと言えば美味い、先輩が面白いと言えば面白い。それほどまでに後輩は先輩を過剰に崇拝する。
主人公の徳永は、先輩である神谷を異常に尊敬していました。話の途中で何度も言われていたように、神谷はどうしようもなくあほんだらです。借金はする、他人の家を転々と住み着く、年中飲んだくれして生活する。誰がどう見てもあほんだらです。それでも徳永は神谷が大好きでした。徳永にとって神谷は「面白い」から。この師弟関係は、 -
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ネタバレ初めは永田は又吉さんの脳内に近いのかと思っていたが、そうではないのかもしれない。『火花』の主人公の方が又吉さんに近くて、永田は又吉さんの考える劇作家、つまり又吉さんの一歩その先や又吉さんの脳内の芸術家的な要素の部分を取り出した存在なのかもしれない。 あとがきで触れられるまで忘れていたが「まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景が透けて見えたことはまだない。」という書き出しがいかにも永田らしい。永田はこういう語り出しがないと自分のことなど語ることはできないだろう。 前半は永田の変人的な部分が描写されていて、だんだんそれがクズさにつながっていき、沙希との別れの雰囲気が出た後は、なんとか沙希
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未完成?
主人公は、いつも自己演出し、そんな自分を自分であざとい人間だと考えている。実際は凡人なのだと自覚してみるが、才能に憧れ、素の自分を見失っている。本書は、そんな自分から脱皮しようと足掻く男の青春小説であり、『花火』『劇場』に続く三部作の締めか、と始めのうちは想像しながら読んでいた。でも読み進めるうちに、これが後の作品の出発点になってほしいと感じた。読後感想を率直に言ってしまうね。これは未完成作品? 何か骨組みだけの建物を見た感じがした。スカスカのところがいっぱいあって、それぞれの物語の間がもっと埋まっていないといけないのでは、と。つまり主人公が抱える自己演出問題は、昔の恋人、旧友、父 -
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本の始めの1文や、最後の文、インパクトのある文はなぜだかずっと覚えているもの。記録しておかないとなんの本だったっけ?確かあんな表紙だったかも…と忘れてしまう。そんな思い出せない本を思い出させてくれるって素敵。どんな本でも1度触れたことがあれば私たちの身体の中に入っているもの。想くんのお父さんとのお話が好き。物語の途中で、自分で想像させ、登場人物たちを好きなところに行かせたり、買わせたりする。自分が物語の主導権を握っているようで楽しいかもしれないし、想像することで現実が少し明るくなると思うのだ。2人は物語を探していたのではなく、作っていた。作り話だとしても、本の世界は現実逃避できるようで現実を突