又吉直樹のレビュー一覧
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主人公、いまのわたしと同い年の設定なのか、と積読から引っ張り出した。
読んでてだるい部分もひっくるめて、語りの力が物語を凌駕した。中高生のときのわたしに読んでみてと勧めたい。そのころ登場人物たちや又吉と同じく「人間失格」をお守りにしたように、「人間」をもお守りにしたかもしれない。言いたいことが思うように伝わらず腹が立つことがあっては夜な夜なページを開いて、影島の言葉を自分のものにしていったかもしれない。生きづらさを抱える人が、生きることに真正面から向き合って書いた小説が、おもしろくないわけないのだ。わたしは永山にも影島にもシンパシーを感じながら読んだ。 -
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又吉さんみたいな文章を書きたい、もう読みながらいや、わかるわ〜と共感したり、啜り笑いがでたり、なんなんだこの文章、、引き込まれる。1日で読み終わりました。
へへへ、恋人のお家で読み終わったんだけど6時間くらい読み続けていて正直異様な空間だったなと今では思う。でも私の啜り笑いを見てなんかつられて笑ってて又吉さんのおかげで作られた幸せ空間だったなと思う。ありがとう又吉さん。
又吉さんとお友達になりたいんですけど、どうしたらいいですかね。
なんか変態って褒め言葉だよなと改めて感じた。変わってることはまぁ、よくいう個性であって。それに悩む時もあるけど愛せたら多分楽しくなるし、強くなれるのかなあ。全然まとまらないんだけど又吉さんと凧揚げとかしたい。
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ネタバレ自分の人生で往復書簡形式の本はこれで2冊目。対談よりもこういう文通のほうが好きかもしれない。矢継ぎ早に言葉が飛び交うのより、時間をかけて相手に言葉を渡すのが心地よいからか。
実は又吉直樹も武田砂鉄もちゃんと文章を読むのはこれが初めてだった。だからこそ、又吉直樹のあの無気力そうでミステリアスな風貌からどんな思考が出てくるのか、ネット上で名前をよく見た武田砂鉄はどんな事を話すのか、とても楽しみだった。
読んでみると、だいぶ安っぽい感想になるけど、自分に刺さった言葉がたくさんあった。15頁の「人は言動を瞬間的に変えながら〜」に触れた時、この本を買ってよかったとすら思った。私も「2週間前の自分は別の人」と自分で言っているくせに、他人に対しては「あの人前に〇〇って言ってたのに!」とか思ってしまう。その度に、自分だけは一貫した態度を何に対しても取っていこうと決意したりする。でもそうじゃなくていいし、それは周りだってそうなんだよな。
他にも気づきが豊富なエピソードがあるので是非読んでほしい本。 -
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ネタバレ魂の解放の話。
好きな芸人さんではあるけど、メディアに出ている時は色んな方面に気を使いながら喋っている事が多い感じがするのが、この本では恥を忍んで少し魂を解放している雰囲気が良かった。
最後の「魂を解放してもいいですか?」でスナックでママに応援されながら、一人カラオケを歌う話が良かった。
p. 93 しかし、文学者が排他的な思想を持っていたことには、少なからず動揺した。それは、文学に幻想を抱いていたからだ。かつては憧れに似た感覚で書店の本棚を見上げていたが、その棚に排他主義者が隠れているのかと思うと吐きそうになる。そんな鈍い感性の書き手は一部に過ぎないのだろうけれど、書店が恐ろしくなったというのは事実だ。
かつて、真夜中の古書店の灯りに照らされた僕はどんな表情をしていただろう。本に囲まれて背表紙を追っていた僕の感情はどうだっただろう。本棚から一冊だけを大切に抜き取った僕の手はどうだったか。その本をアパートに持ち帰り、ページを開く時の高揚感を想い出すと哀しくなる。本に申し訳ない気持ちになる。もう、あの頃のようには本を愛せなくなってしまった。本が悪いわけではなく、僕が変わってしまったのだろう。
p. 197
も もっと大変な人がいるなんて分かっているよ。トーナメントじゃないんだから
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自分の中心で信じていたことが壊れる。自分の見る景色の真偽がわからなくなる。何を信じればいいかわからなくても、社会で生きていかなくてはならない。思い出は薄れる。記憶は曖昧な過去だし、それを乗り越えて今は上手に生きられるようになったと思い込むこともできる。それを大人になったと表現することもできる。
本当のものを見ている人なんて本当は一人もいなくて、みんなが見たいものを見ている。みんなが不安を抱えている。各々の見ているものが違うなんて怖い。みんなと同じものを見て同じ感情を抱くことに安心する。それが真実で正義なのだと思い込む。そうやって組まれた輪は潔癖症で、異端は悪だと、悪は懲らしめなきゃと、信念を共有する連帯が生まれる。自分たちが信じる正義が壊されるのが怖いから。自分の見る景色が本当のものではないことに気づきたくないから。自分の中心を失って狂いたくないから。
何者かになろうとする。社会のなかで自分が上手く生きられている証拠として、社会のなかの自分の位置付けを規定しようとする。何者かになることで、弱い自分を支える後ろ盾を得て安心したい。
本当はみんなどこかで気づいているのだと思う。自分は何者でもなく、みんなの見ている景色はそれぞれ違い、自分が中心に抱えて信じているものはいつ崩れ去るかわからない。弱い自分が、不安に潰されながら立ち続けるために、大きなものに縋っている。
でも、自分の見る景色だって嘘ではない。自分にとっては自分の見る景色が全てだ。それが自分にとっては真実だと言ってもいい。そして、その真実を、みんながそれぞれの真実を持っていることに気づく。
何かを信じることは美しい。その何かを他者と共有できることは幸せなことだ。一方で、異なる何かを信じる他者を認めること、そして他者から自分の信じる何かを認められることはもっと美しい。同じ信念を共有し、異なる信念を認め合う。そうすることで、人は本当は弱いままで立てるのだと思う。まずは自分を認めたい。自分が何を信じているか、何を信じたいか、何を見ていて何を見ていないか、何を恐れているか、何を見ることができるか、できないか。探しながら、少しずつでも見つけながら、綺麗な景色を見つめながら、弱いまま胸を張って生きていたい。社会がすごい大きさで迫ってきて怖気付いたとしても、自分の見てきた綺麗な景色が走馬灯みたいに流れるおめでたい頭でいたい。 -
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又吉大先生、最高です。
こんなに面白いエッセイは初めて読みました。めちゃくちゃ笑いました。そして、最後は、グッと心が引き締められました。受動態がわからないから変な日本語だけど、律せられました。やります。
こんど、東京に行くときはこの本を持参します。
太宰が通ったと聞いて又吉が通った店に、僕も通ってみたい。
そして、なにより、この本を読んで、僕は又吉にめちゃくちゃ似ているんだなと思った。
自意識が肥大した人間。
とても共感した。わかる。あの感覚。
そして文庫本収録の最後の一編。
これはめちゃくちゃ胸打たれた。アツイ。アツすぎる。
僕達は誰かを喜ばすために生きているわけではない。ただ、生きている。
いい思想だ。
僕も、自分の選択に自分で責任を持って、鼻水撒き散らしながらでも、泣き言いいながらでも、一歩ずつ進んでいきたい。
うおぉ〜。2025年、早速良い作品に出会ってしまった〜。 -
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2人の間に起こった出来事は決して劇的なものではなく、むしろありふれた話で、だからこそ自分の経験とリンクして胸が締め付けられる思いだった。
『火花』が良すぎてなかなか読めていなかったのだけど(?)、もっと早く読んでおけばよかったと後悔。
「乱暴に言う自分の言葉で興奮しているようだった」
「涙を感動の物差しとして誰かに示すことを恥と思ういやらしさ」
「(沙希には)夢のある暮らしに対する期待があった。それを目の当たりにしてしまったことがつらかった」
「僕の場合、与えるということは「欲求」であって「優しさ」なんかではないのかもしれない。こんなことを考えている時点で下品だなと思う。」
「芸術というものは、何の成果も得ていない誰かが中途半端な存在を正当化するための隠れ蓑なのではなく、選ばれた者にだけ与えられる特権のようなものだという残酷な認識を植えつけられた。」
又吉さんの文章を読んでいると、自分の中にある卑屈な人間性やコンプレックスが刺激される。あのセリフやあの描写、普段見て見ぬふりしている自分の嫌なところを見せつけられてるみたいで自己嫌悪に陥る。 -
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⚫︎感想
東京に旅行中、読んでみた。
笑えるものから、ジーンとくるもの、不思議なもの、不気味なもの、後輩、先輩とのやりとり、好きな作家さんとのやりとりなどまで幅広く、又吉さんの繊細な感性が表れたエッセイ。とても良かった。また読み返したい。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
振り返れば大切だったと思える、「ドブの底を這うような」青春の日々の記憶
死にたくなるほど苦しい夜には、これは次に楽しいことがある時までの
フリなのだと信じるようにしている。のどが渇いてる時の方が、水は美味い。
忙しい時の方が、休日が嬉しい。苦しい人生の方が、たとえ一瞬だとしても、
誰よりも重みのある幸福を感受できると信じている。
その瞬間が来るのは明日かもしれないし、死ぬ間際かもしれない。
その瞬間を逃さないために生きようと思う(九十九「昔のノート」より)
芥川賞受賞作『火花』、4月公開の話題の映画の原作小説『劇場』の
元となるエピソードを含む100篇のエッセイからなる又吉文学の原点的作品
『東京百景』が7年の時を超えて、待望の文庫化。
18歳で芸人になることを夢見て東京に上京し、自分の拙さを思い知らされ、
傷つき、苦しみ、後悔し、ささやかな幸福に微笑んだ青春の軌跡。
東京で夢を抱える人たちに、そして東京で夢破れ去っていく全ての人たちに
装丁を一新し、百一景と言うべき加筆を行い、新しい生命を吹き込んで届けます。 -
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『劇場』は腹の中を曝け出すような覇気を擁しながらもフィクションとして楽しめる小説であった。
この『人間』はそうしたエンタメ性を第一章にだけ託し、あとはほとんど又吉直樹の独白と化している。それが笑えるし面白い。
芸術、文化、人間があるべき方向に進むために必死になって闘い、見たくないけど見たいものをたくさん見て興奮し、絶望し、疲弊する。
ナカノタイチのコラムに対して(読んでられねえな…)と溜息をついていたら「そこまで読んで一息吐いた。」と続いており、まんまと掌の上で踊らされていたことに笑ってしまった。気持ちを揺さぶるのが本当に上手い。
どうやって結ぶのかと思っていたら、霊的なものも使ってねじ伏せられてしまった。彼らしい善、若しくは陽の表現が好きだ。 -
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ネタバレタイトルに相応しい、生々しく強烈な内容だった。
主人公永山は過剰な自意識やトラウマにがんじからめにされながらも、現実と向き合い過去と折り合いをつけていく。
やはり作者が生み出すキャラクターはとても魅力的だ。
永山みたいに、人間くさくて不器用で自意識に苛まれてたり、純粋無垢な霞の様な人もいる。
仲野みたいな浅薄な人もいれば、影山みたいに物事を必要以上に考えすぎる人。
内面描写も素晴らしくどんどん作品に引き込まれていった。
妄想癖があると疑われる程主観が強く、事象に対する認識が周りとズレている永山。
その周りとの認識のズレが永山の魅力でもあり、今作を面白くしている大きな要因なんだろう。