又吉直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分が大学生だったころを思い出しました。
その時尊敬していた先輩は人間的に立派な人ではありませんでした。留年を重ね、破天荒で、女と金にだらしない。でもなぜか引力があって、輝いてみえたものです。私もこの人のように自由に生きたいと思っていました。
歳をとり、価値観が少しずつ変わっていき、私は人として成長しました。
言い換えれば常識やモラルに修正されつまらなくなりました。
でも久しぶりに会った先輩はそのままなんですよ。歳取って、おっさんの見た目なのに、言ってることもかわらない。
それを見た時の、羨望と軽蔑と自己嫌悪なんかがぐちゃぐちゃになった物悲しい感覚。本作を読んで鮮明に思い出しました。
難しい言葉を使わず、簡潔だけど、鮮明に浮かぶ情景があります。
会話劇のライトさに純文学の詩的なフレーズが挟まり、上手く間が取れていて独特の拍の音楽を聴いているみたいでした。
ふわりふわりとした話なんですが、時折ギュッと締めてくるような切ない感覚がなんともいえない。
独特な文体だと思います。
芥川龍之介への手紙というエッセイもめちゃくちゃ好きです。
純朴で優しい、でもどこか冷えている感じ。その温度差が心地よい小説でした。
デカ過ぎる金魚、小さ過ぎる鯉。 -
Posted by ブクログ
この話題作から、もう10年近く経っていることにまず驚き。
今回はAudibleで。
朗読は、なんと堤真一さん。これが本当に素晴らしくて、すっかり物語の中へ。もう一度聴きたいと思うほど。
小説を聴いているというより、上質なラジオドラマを聴いているような感覚。
何度も笑って、ときには胸が苦しくなるような場面も。
吉祥寺は以前の職場があった場所なので、街の描写が出てくるたびに、ありありと浮かぶ情景。
「ああ、あの階段を下りてるのね」「あの太鼓の人なの?」なんて、頭の中に実際の吉祥寺の風景を重ねながら。
(ちなみに私、吉祥寺で又吉さんご本人を見かけたこともあります)
お笑いにすべてを献げるような情熱。
思うようにならない苛立ち。
徳永と神谷の、なんとも言えない関係性。
いつの間にか、すっかり感情移入。
そしてラスト。
それまで胸を締めつけられるような気持ちで聴いていたのに、最後は「ええっ!?」という、なんとも不思議な気持ちに。
でも、これもまた「お笑いバカ」ということなのか。
いや、これこそ神谷さんなのか。
もう最後には、なんだか笑えてしまいました。
面白かった。
今さらながら、話題になった理由に納得の一冊。
そして今さらながら、ドラマも映画も観てみたい。
あの徳永と神谷が映像ではどう描かれているのか、ちょっと楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレめちゃめちゃおもしろかった!!
お笑い芸人が登場人物だから口調も大阪弁でさらさら読めた。そのおかげで次へ次へ読み進めてしまって短期間で読めた。
話の展開がおもしろかった!
自分はもちろんお笑い芸人ではないけれど、お笑い芸人にしか見ることができない視点があってその考えに圧倒された。
最後の芸人を辞めると決めた場面の意志の表現(?)の部分が自分の人生にも照らし合わせることができそうで、ただの物語としてじゃなく、自分の人生を少し考え直すことができた。
あと最後の豊胸は芸人らしい訳わかんなさで面白いと私は感じました。
やっぱ読書はゾーンに入っちゃえばストレス解消だし、たくさんの言葉が書いてあるから語彙力も上がりそうだし、何より読んでいて楽しいと思えた。
久々にこんなにいい作品に出会えました芥川賞納得( ; ; )又吉直樹さんすごすぎる
あと私が小さい頃に火花で受賞したのは知っていたが、その時からこの本の表紙と題名からこんな話であるとは想像できなかった。とてもおもしろかった( ; ; ) -
Posted by ブクログ
読み終わりホヤホヤではないから、少しぼやけた感想になる。
私は物心がつく前どころか、まだたくさんの言葉を操ることすらままならない5歳のときから、母親の趣味であるお笑いを見るために、たくさんの劇場を回った。
人と交流することは満更でもなかったが、幼すぎる私にとって、マイクに向かって言葉だけでお客さんからリアクションを引き出す芸人さんの姿は、不思議に見えた。
かなり偏りはあったけれど、欠かすことなくお笑いを摂取し続けていたある時、見えるようになってしまった。
頭を絞って考えたネタを披露しても、笑いが起こらないまま舞台裏にはけていく芸人さんの姿。
かと思えば、お見送りのときには平然としている姿。
また別の、小さな箱でのLIVEでは、同じ芸人さんから暴露される。自分の理想と現実とのギャップに耐えきれず、追い詰められていく姿。
私は、これをずっと見てきた。
この小説には、芸人さん、といっても主な活動の場がテレビではない芸人さんたち。
そんな人たちのマニュアルのようなリアルが描かれている気がする。 -
Posted by ブクログ
大好きな又吉さんの頭の中を少し覗けたような。
「家で飼えない孤独を公園に通い、少しずつ育てた」
とても惹かれる文章だ。繊細な感性を持ってる人だなぁ。
又吉イズムに触れると、ぷっ!と吹き出してしまうような、くだらなくてゆるい感覚、白黒はっきりさせなくていいよね、ゆっくりでいいよね、控えめでいいよね、という、なんとも言えない穏やかで優しい気持ちになる。
太陽ではなく月、昼ではなく夜、晴れではなく薄曇り。
完璧なペヤングを作って食べて、ベランダで月でも眺めながらビールを呑む
という時間を至福だ!と言える仲間のような気がしてる。これからも作品を楽しみにしています。