又吉直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレオーディブルにて。
読後感はすこし暗い?そんなオチある?と言いたくなるような笑
青春もののような感じもあるが、世間への恐れや、何者にもなれなかったものへ寄り添うような感じもあり、いや寄り添うというか鼓舞するような?
印象的なのは神谷さんが彼女と別れるシーン。悲しいはずなのに、まきさんの変顔と主人公が神谷さんから頼まれた事が笑いを誘い、そのコントラストが素敵。何かそのシーンって明るい照明ではないと思うのに、私的にはキラキラした夕日のひかりが差し込んでるんじゃないかなと思う。
あとは相方と解散することを決める喫茶店でのやりとりも好き。その顔をみた瞬間、何を言われるか分かった、のあたりの描写が、ほんとに2人は長い間一緒に過ごしてたんだなと感じさせられる。
芸人の世界の世知辛さがなんともヒリヒリする。自分が懸命に作ったもので誰も笑わなかったとにの絶望感や、世界中の人間が他人に感じる日がある、という言葉は真に迫るものがあると思った。
他には、神谷さんとだけでなく、他の芸人と飲みにいくようになって、初めて自分が窒息しかかっていたことに気づいた、の表現は共感。
私も人間関係をわりと固定化しがちなので、窒息という表現に強く共感した。
自分の笑いを突き通す神谷と、世間に受け入れられる笑いを意識せざるを得ない主人公。また、下ネタを避けようとする主人公を不真面目だという神谷。
神谷の才能が世間に理解されないもどかしさはあるが、これが現実だよなと思う。
私はテレビでみる芸人さんしか知らないが、彼らを芸人たらしめた人達が世の中にはたくさんいる、それはその家族だったり、一緒に舞台にたった芸人だったり。たくさんの日の目をみない芸人達のお陰で、面白い芸人さんが生まれる。
芸人だけじゃないよな、人間みんなそうなんじゃないかなと思う。
最後の神谷さんが巨乳になる件は、、訳分からんすぎて頭から巨乳が離れない笑
神谷さんが行方不明になったあたりは、サスペンスだったらもう神谷さん絶対死んでる流れだったのに、巨乳になって現れるって、、笑
これが美しい世界を壊す笑い?読み終わったあと、巨乳の件はいらなかったのではと思ってしまった。でも「余計なことすんなよ!」と思われるものほどいいボケなのかも。ここまでの純文学らしい美しい描写をぶち壊す、破壊力のあるオチ、最高でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ又吉直樹の作品。
映画で存在は知っていたが、映画も見ず、先に小説から読んだ。
主人公の永くん。
彼女の咲希ちゃん。
2人の出会いは、突然で想像もつかないような所から始まる。
付き合い始めの2人。2人の雰囲気が存分に感じられ、心が温まり、外野から見るとなんだこの2人と感じる瞬間もあるが、当本人達にとってはそれが2人だけの世界で幸せなのだろう。
永くんが、どんどん演劇にのめり込み、咲希との関係が薄まっていくのは読んでいて、辛かった。
印象に残ったのは、青山とのメールのでのやり取り。お互い主張を曲げない言い争いが、読んでいてみっともなく、それがおかしく笑ってしまった。
咲希が夜中家にいない事が多くなり、永くんが居酒屋に行き、店長の住んでいるマンションに向かったシーンは、感情が不安定になった。
咲希の気持ちもわかる。永くんの気持ちも理解はできる。
永くんの長い言葉。泣いてしまった。
咲希は、実家に帰ることに決め、実家で癒しを与えられ、元気になったのを知ると、よかったと思うし、咲希は成長し、環境で変化する人間だと分かった。
そして、最後のシーン。
永くんが、未来の妄想を語る場面は、咲希への素直で純粋な好きという気持ちが、好きという言葉はないが、しっかりと伝わってきてすごく辛かった。
人は、やはり言葉にしないと伝わらない。
伝えたいから、言葉がある。
気まずくなりたくない、深刻な雰囲気になりたくないから、笑わせることに走ってしまう。そんな永くんにとても共感したからこそ、私は、しっかりと言葉で伝えないなと感じた。 -
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徳永は自分の美学を貫いてかつ成功することの格好良さと難しさを神谷から学び続ける。突き出ることもおもねることもままならない宙ぶらりんの徳永の苦しさたるや。
空気を読むだとか他人に配慮して言いたい事を控えるだとか、そういう世間の目を正義として社会は回ってていて、神谷の笑いを突き詰める正義は時を経るうちに大きく道を逸れてFカップと破滅を生んでしまった。この本では、そんな長いものに巻かれる者が得をする現実があると認めつつ、それでも自分の思う面白いを追求する表現者の性みたいなものはやっぱりかっこいいよ!これが魂だよ!とこっち側を肯定したい気持ちを書いたのかな。
自分を否定する者に向けて「笑わせてあげられなくて申し訳ない」と表現したところは、さすがお笑い芸人の又吉さんじゃなきゃ出てこない表現なんじゃないかな。
芥川賞らしい人の気持ちの深いところをグリグリしてくる本でした。 -
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失恋…したことあります?
ん?ない?
うそだ〜、あるでしょ。
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失恋の孤独や悲しみを、又吉直樹が読み句に、たなかみさきがイラストにして、共同制作されたカルタを書籍化。
又吉さんの書き下ろしショートストーリー3編と、共作ミニ漫画を収録。
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ページを捲るたびに、それぞれの読み札に 過去の恋を重ねてしまいそう。
それぞれの読み札で思い出す顔が違う…なんてこともあるでしょうか笑
たとえば
「い」の読み札
『言ってくれたら
直せたよ、
それくらいの
ことなら』
たとえば
「ゆ」の読み札
『夕暮れは
しばらく
見れそうにない』
たとえば
「む」の読み札
『無意味に書いた
落書きも
捨てられずにいる』
……ね。(なにが?)
書き下ろしのショートストーリーも、なぜか懐かしい気持ちになって胸がザワっとなる感じでよかったですよ。
いまいち言葉のニュアンスが掴めなくて あまり使ったことない言葉を今 使いたい!
エモい
そんな気持ちです。
わたしが「き」の読み札を作るなら
『「キス魔だったー」って、
彼女から聞いたよ』
………( •̥-•̥ )くすん 笑
見開き左側に絵札があって、その裏のページに読み札が書かれてるのね。
で、吉〇家の丼に似たものを 泣きながら食べてる女の子の絵札があったから、
『吉〇家は
失恋してもうまい』
っていう札かな〜って予想したの。
正解は
『ようやく
大盛り
食べられるまで
復活したけど』
だった!
私は すき家派
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Posted by ブクログ
理想とその理想とかけ離れた現実とのギャップが、人の目を盲目にしてしまう危険があると感じた。本来大事にしていた価値観や、身近にいる大切な人間はいつも変わらずに存在しているはずなのに、エゴやプライドがその見え方を変えてしまう。またギャップを分析して、その原因が理解できるからこそ、自己を相対化して俯瞰できてる自分に満足というか、驕りというか、偽りの自信みたいなのが生まれて、いつの間にか危機が目の前に迫ってきているのにも気づかず、気づいた時にはもう遅いとなってしまう。わかることと並ぶことは違うなと。これを断ち切るための何かが足りなかった物語だったと思う。何かを強く追い求めることは同時に、何かを犠牲にすることもあるということも感じるさせられる内容だった。