又吉直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ美術を志す若者たちの思い出から始まったのに、最終章はまったく別の物語を読んでいるような気分になった。主人公は思ったことを意外とハッキリ言うので時には辛辣でヒヤリとするものがあるし、仲間たちの間で傷付いていく様子にはこちらも痛みを感じて苦しかった。
長い人生のなかで変化していくものと変わらないもの、どちらもあると思うけれど、あのときの永山と今のミチは違う。成長というのもどこかまた違って、自分自身を痛めつけるのをやめてケアしているように見えた。
ケアで言うならば、影島との会話もかなりお互いをケアし合っていると思った。このふたりならば訳のわからない会話も成立する。ひとりの人格がふたつに分かれたような -
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Posted by ブクログ
サキちゃんがなんで永田じゃなきゃ駄目だったのかよく分からない。永田が演劇に生きる姿が好きだったのか、自分にないものをもっているところが好きだったのか、理由は特になくただ一緒にいることが好きだったのか。
永田は本当にろくでもない奴でサキちゃんの親を悪く言ったところはサキちゃんが可哀想でこんな奴早く別れればいいのにと思っていた。
最後までなんで別れないんだろうって思った。ああなる前に永田に自分の存在の偉大さを解らせてやるべきだったと思う、でも何故それができなかったかというとそれもまた永田のせいで、性格上聞き入れることなくまた自分のせいにされるのを恐れていたのだと思う。
最後の永田が劇のセリフで -
Posted by ブクログ
ネタバレ神谷という極限まで純粋な人物と主人公の交流を通して、お笑いという道で生きることの厳しさと喜びを描いている。
花火の一瞬の輝きが人の記憶に残り続けるように、草臥れたお笑い芸人の人生も誰かの記憶に残り続ける。「花火」がお笑いというコンテンツ全体を示すのであれば、花火を構成する「火花」は芸人自身であるといえる。芸人の立場だからこそ分かる苦悩・青春が存分に詰め込まれている作品だった。
ラストの、観客・神谷・スパークスの誰もが泣きながらの漫才はグッときた。
全体的に平易な文章で、とても読みやすい。ボリューム的にも内容的にも、純文学の入門書的存在。
信じれないくらいの売上を記録し、純文学(小説)というコン -