又吉直樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公・永田
「クズ」という言葉で括るのはもったいないくらい、人間臭さの詰まった人物だった。
彼の中のあまりに強い自意識と自己顕示欲が、いわゆる世間の感覚を持った私たち(読者)とのズレを生んでいる。誰しもに内在する自意識や自己顕示欲を、私たちは必死に抑え込んで生きている。それをしようとしない永田に対して、嫌悪感を抱いて「共感できなかった」と多くの人が言うけれど、実は「共感したくない」だけ。「感情移入できない」のではなくて、永田の目線に「立ちたくない」だけなのだと思った。気づかないうちに同族嫌悪してしまうほど、純粋な人間だった。
永田に足りなかったのは、狂気さ、もしくは、実績。それがあればもっと -
Posted by ブクログ
ネタバレひとつの文章がとても長いのが特徴で、その傾向のある作品はいつもギブアップしてしまう。
時には考えすぎずさらっと流してなんとか読み切った今作。
太宰治の吾輩は猫であるは何度かチャレンジしてはギブアップを繰り返してきた、そんな気配を感じた。
いつも映画や本から古い記憶を引き出される。
今回思い出したのは永山が保育所の卒園式で将来の夢を言った際に牧師か大工さんになりたいです、と二つ言ったんだというところから、、
小学生の頃の学校のテストで、国語の物語に対する正解ってひとつなのがまずおかしくて、絶対に複数解あるべきだと思ってた。
そしてそれを先生に主張して、なんとか丸を貰うことが何度かあると、それを -
Posted by ブクログ
良い作品を作りたいという強いこだわりが時に周囲の人間を傷つけてしまう。
そんな残酷さと社会から孤立した芸術家の苦悩が感じられる作品。
売れない劇作家の男とその男の才能に惚れ込んだ女優志望の女の物語。
この男はいわゆる“クズ男”で、劇団員を誹謗中傷し他人の作品を見下しながら、自身の劇は売れず常に金欠状態。
そんな彼をすべて包み込むように肯定し続ける彼女の存在が、あまりにも報われず読んでいて辛くなる。
火花にも同じような人間が登場したが、又吉自身がもしかしたらこの男のような生活をしていたのかもしれない。
演劇の夢を追いかけるという真面目なテーマの中でも、くすりと笑わせるような文章が散りばめ -
Posted by ブクログ
かるい気持ちで又吉作品は読めないことがまず分かりました。それは自分が娯楽読書ばかり読んでいたからこの本が難しいということもあるけれど、気持ちの面でもふわふわっと読み進めるタイプの本ではないかもと思って。
才能の有無とそれに対する立ち回り、世界の見え方、周りの人間との関係などについて複雑すぎる(こじらせとも言える)考え方をする人たちは、共感されにくい生きづらさがあると感じました。まさにこじらせ代表であるような永山や影島、ナカノタイチといった人物の考えに触れ、自分とは全く違う思考回路を巧みな表現で感じさせてくれる一冊でした。
好き嫌いは分かれそうだけれど、読んだ体験そのものが強く印象に残ります。