滝口悠生のレビュー一覧
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ネタバレ旅のなかで、芽生える友情や恋心。
その旅先で、どんな物語が出来上がるのか、そして、その物語が全部が良い物語とは限らない。
本作の登場人物たちも、旅先で、様々な体験を
目の当たりにし、新たな価値観を得る。
本作では、イギリスとイタリアにそれぞれ旅に
向かうのだが、茜と仁の夫婦は、仁の友達のけり子の結婚式が行われるイギリスに向かう。
その後に、今度は茜の友達が住んでいるイタリアのペルージャに向かうのだが、そこまでに行くのが大変で、バスの乗り換え、チケットの買い方等、
様々なトラブルに遭いながら、夫婦お互いの目線で、物語が語られている。こういう性格なんだとか、英語しゃべれるんだとか、普段あまり知ら -
Posted by ブクログ
ネタバレ『長い一日』が微笑ましくて良かったので、同じ作者の二冊目を読んでみた。
味わい深くはあるが、最後の方は読み疲れてしまった。短編7編を収め、うち6編は連作。離婚したあと妻の記憶に囚われたまま呆然と生きる男の日常を綴る。連載ではないため重複が多いこと、男の内面の進展がごくわずかなもので、読んでいる方もうつうつとしてくる。
その心情には共感できるところも多いが、しかしこういう感受性を誇っているとうつ傾向が常態になりそうという危機感も覚えた。
最後の一編は連作よりずっと年寄りの男の話なのだが、30歳頃に離婚した男が喜びの少ない人生を送った果てのようにも思えてうら寂しい。 -
Posted by ブクログ
ストーリーで何かを得るのではなく、読み進めていく過程で感じる感覚が面白かった。薄れていく記憶の脆さと、時に違う内容で上書きされていくいい加減さ、その中でなぜか残り続ける何でもない断片的な記憶のワンシーン。
主人公の記憶を主人公視点でダラダラと思い出していく。
かなり事細かに、ある意味しつこく、ここまで書く必要ある?と著者に対して思うほど、過度に具体的とさえ感じる文章。
あれ、これさっきもあった、またこの話?とくどいくらい高頻度で登場するとりとめもないエピソードや人。
‥と、思っていたらしばらくして、朧げかつざっくりした情報でしか表現されなくなり、名前さえ登場しなくなるあの人。それはまさに今 -
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文芸春秋
滝口悠生 「死んでいない者」
芥川賞受賞作を読んでみた
葬祭の場で起きる 故人と親戚の追憶の物語。死から生を問うているようにも読めるし、親戚の滑稽さとしても読める
主人公は誰なのか、話し手は誰なのか 不明のまま、親戚(死んでいない者)が 次から次と出てきて 故人との記憶をたどる展開。私には読みにくいが、玄人好みなのかもしれない
最初の文章〜斎場からお通夜に至る悲しみの感情の変化の描写は見事だと思う。親戚たちについて「血のつながっていない配偶者たちもなぜかどこか似ている」というのも面白い
自分の死について、それがなんなのかさっぱりわからないまま、刻々それに近づい -
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死んでいない者
本文の中でも言われていたが親戚内でのとりとめのない会話がだらっと続いていく内容である
お世辞にも面白いとは言えない話だと思ったが、その場面、背景や心情には抵抗なく入り込めた
登場人物が非常に多く、それぞれ何をするでもなく現れては文章に流されていくのだが、読後に思い返してみると何となくその情景が浮かんでくるから不思議だ
しかし文章力があるのかと問われれば否、だろうか
鉤括弧を使わない会話なども含めて易しい文章のせいかすぐ読み終えてしまったためか、明瞭に記憶に残ることはないが、ふとした時にああ誰でもこんなふうに考えたりするんだろうなあなどと考えるのかも知れない
夜曲
短く読 -
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