滝口悠生のレビュー一覧

  • ラーメンカレー

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    窓目くんの手記が面白かった。なかなかヘヴィなんだけど淡々としている。こういう連作があるから片っ端から読んでおかないとな。

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    2023年05月30日
  • 死んでいない者

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    滝口さん二作目。
    茄子の輝きの、1話目のお茶汲み係を頑張って決める話くらい、第三者にわからせようとしていない、いや、正直そこはどうだっていい、それよりも、そんなことを整理したり考えている時間そのものの尊さを考えさせられる、不思議さ。
    カギカッコを使わない冗長的な、客観的に影響を受けて動かされる感情のない情景。
    忘れることと、忘れていないことの間のような、思い出すことと思い出さないことの間のような、死んでいない者と死んでいる者の間のような。

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    2023年05月07日
  • 茄子の輝き

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    いなくなった人を、いた時よりもずっと感じ続けるのは辛い。だからといって暴力的に何かで上書きして消し去ろうと思っても、大人になるとそうもいかないことがわかる。今目の前にある景色を通して、過去を見る。ついてくる。なにもしてないという中にも君を思い出し、なんなら"思い出す"なんて行為もポーズで、ずっと考えている。
    むちむちの餃子が食べたくなる。

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    2023年05月02日
  • 水平線

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    硫黄島の島民の記録を軸に,敗戦前に疎開した人々とその家族を少しオカルト交えて描いている.そして軍隊に徴用された人々が全員死んだ事実には,改めて胸が塞がれる思いがする.硫黄島からの疎開者の孫である来未に死んだはずの祖父の弟忍からかかってくる電話と横多兄に行方不明の祖母の妹からのメール.夢ではなく現実に過去が混ざり合ったような場の異空間の表現が自然で,読みながらも受け入れていて,でもそれはおかしな事.
    硫黄島といえば,戦争の激しさばかりが強調され兵隊さんたちの悲劇がクローズアップされるけれど,島中犠牲になった人々のことを思うと,どこかサバサバと綴られた物語の中に深い哀しみを感じました.

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    2023年04月30日
  • 水平線

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    クリント・イーストウッドの映画で有名になった硫黄島。戦前は住民がいたなんて知らなかった。

    硫黄島に残り亡くなった家族、そして本土に疎開して生き残った家族とその子孫の物語。リアリズム小説なら並行世界的に描かれるところだが、この小説では超常現象的に両者が交わり、そしてそれはとても自然に書かれる。またリアルに表現されているはずの現代パートも微妙にズレて両立する。

    最初はその荒唐無稽な内容に違和感を覚えるんだけど、だんだんその世界に馴染んできて、世代的に遠く離れた人々が身近に、逆にリアルに感じられるようになる。不思議な話だ。

    硫黄島の砂糖工場で使われる牛フジに最も共感を覚えるというのは、自分とし

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    2023年02月24日
  • 死んでいない者

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    死んでいない者 滝口悠生

    ある親族の通夜を描いた作品。
    親族が多い一族であり、お互いのことを詳細に把握している訳ではない。そうした関係の者が通夜の1日を共に過ごす中で、お互いがお互いに対して思っていること、思ってきたことを想起している様が描かれている。
    差して何かイベントが起きるわけではない。通夜という非日常を日常的に描写しているように感じられた。
    祖父の死を契機に当刊行物の読書に入った

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    2023年02月15日
  • 鉄道小説

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    JR時刻表を出している交通新聞社が出した小説ということで、鉄分高いのかなー、と思いながら読んだけど、そんなことはなかった。各話に鉄道が出てくる短編集ってだけで、五話五様の普通のアンソロジーとして楽しめる内容だった。

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    2023年01月31日
  • 茄子の輝き

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    ネタバレ

    主人公は離婚した20代の男性。短編連作で一編ごとに年齢を経ていく。

    最初は小さな会社の人間関係を描く会社小説なのかなと思ったが、男性は会社を辞め孤独感が強まる。

    最初の短編と最後ではまったく雰囲気が違うように思う。

    これちょっとどうなの?と思われる言動や行動もあるのだが、女性が読んだらどうなんだろう。

    男性で、柴崎友香や絲山秋子風な作風の人が出てきたなあという感じがした。

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    2023年01月09日
  • 死んでいない者

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    ある通夜から紡ぎ出す、死んでいない者たちが、故人を送る時に、何を感じるのか。死んでいない者たちの様々なストーリーが紡がれていく。
    芥川賞を受賞した著者の代表作です。
    登場人物が多いので、頭の中で整理するのが難しかったです。解説で、津村記久子さんが、「こんな大きな小説は読んだことがない。」と、言われていたので、ストーリーの壮大さと、親族間の人間関係にも注目してほしいです。誰にでも訪れる死、死を迎えた人と、迎える人たちの厳かな濃密な1日を、感じてほしいです。

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    2022年11月30日
  • 水平線

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    なかなかの力作!
    うん?誰のパートだ?と最初は戸惑うが、人物像がはっきりしてくるとすぐに自分の頭も切り替わる。こんなファンタジーもありだと思う。知り得ぬ世界のことに思いを馳せて心を通わせていくところが良い。秋山くんと西武の秋山の話をするくだりがほのぼのしていて好き。

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    2022年11月27日
  • 死んでいない者

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    一人の老人が亡くなりその葬儀に集まった親族達の様子を、それぞれの視点で何気ない一言や頭の中で考えていることが次々と描写されていく短編小説。

    登場人物達自身も、葬式の場で久しぶりに会う面々でお互いに「誰の家族か、何て名前だったか」という状態のため、次々と視点の主が変わるので「今、誰が話の主なのか」が時折混乱してくる。しかしそこで描写される情景は、何気ない過去の記憶(なのになぜか良く覚えている)に飛んだり、発した言葉の一瞬のうちによぎった思いだったりが巧く表現されていて、「こんな感覚、たまにあるよなあ」と思わされる。

    特に大きな事件が起こるわけでもない。全体的にゆったりと時が流れて行く話だが、

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    2022年09月23日
  • 水平線

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    1982年生まれの作家が、生まれる40年近く前の戦争を描くには、相当な覚悟も根性も要ったのではないか。2020年の感染症が広がりオリンピックがどうかという現代に生きる来未たちと、その60年前を生きる忍ら。

    中上健次を思い出すようでもあり、『想像ラジオ』や『フィールド・オブ・ドリームス』を思い出すようでもあり。たまにクスリと笑ってしまうような地味なユーモアも。

    死者と生者が繋がるということが、たぶん時にはあるんだと思うよ。

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    2022年08月23日
  • 死んでいない者

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    20220814
    お盆の帰省の時期に読んだのがちょうどよかった。
    テレサ・テン 時の流れに身をまかせ
    親戚にはいろんな人がいるし、家族と同じで選べない。
    ただ、距離を置こうと思えば置ける。
    小さい頃からお互いを知ってるし、少しだけど変化するときの前兆もわかるはず。
    相関図見ながら読んだ方がいい。
    おじいちゃんと最後暮らした美之、兄弟知花との関係もいいし、いろいろ考えさせられる。

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    2022年08月14日
  • 高架線

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    高架線から見た無数の家。沿線にあるカタバミ荘の住人と関係者の記憶。語り形式だか、話が脱線しすぎ。しかしそれが後からじわじわくる。カタバミは、古くから仏具や真鍮の鏡を磨くために用いられてきたことから、別名「鏡草」とも呼ばれる。このことから「輝く心」という花言葉がつけられたそうな。登場人物は、語ることで気持ちが浄化されたのだろう。面白かった。

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    2022年07月17日
  • 寝相

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    道を歩いてたら、目的地から斜めに外れてしまって、とんちんかんな所に出てしまうような感覚。
    地続きであっちこっちに行ける。
    でも、置いていかれたりしない。きちんと前には進んでいる。
    そんな不思議な文章が心地よい時もある。

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    2022年01月02日
  • 茄子の輝き

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    昔の良かった記憶、悪かった記憶を懐かしんで今を平凡に生きる。頭の中をそのまんま言葉にしてるみたいで凄いなあと感じた。

    茄子の輝きとは?と思ってたけど読むうちにそういうことねって、愛おしーってなった。

    ゆっくり生きていこうじゃないかってなったなー

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    2021年12月14日
  • 死んでいない者

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    この作家の本を読むのは4冊目。若い世代の男性作家をあまり読まないのだが、『長い一日』がとても良かったし、これからどんな小説が読めるのか、楽しみだ。

    亡くなった高齢の男性の一族が通夜に集まる、一夜の群像劇っぽい話。

    でも描かれるのは、子供から孫にいたる多数の人々の内面と記憶、それが一夜の行動の中で代わる代わる書かれるだけなので、これを群像劇と読んで良いのか、分からない。

    世間的には引きこもりと思われる孫と祖父(この話の中心である死者)の関わりが関係性としては一番重厚そうで意味があるように思うのだが、それは具体的には記されない。それぞれの想像を駆してまで書かれる部分と、まったく書かれない部分

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    2021年11月21日
  • 茄子の輝き

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    保坂和志や柴崎友香に連なる記憶に関する小説で、自分の記憶も呼び覚まされるような感覚があった。面白かった。

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    2021年06月11日
  • 茄子の輝き

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    『花束みたいな恋をした』に重要なアイテムとして登場していたので読んでみた。過去のかけがえのない記憶についての小説だったので、『花束みたいな恋をした』のテーマに通じるものがある。
    小説内では派手な出来事は起こらず、ゆったりとした時間が流れている小説だった。読んでいると、大切な人との過去の記憶を思い出したくなる。主人公は離婚した妻のことをなにかにつけて思い出すのだけど、私たちは過去の延長線上にいるんだなと実感させられる。けれど、どんな大切な思い出だって時の流れには逆らえず、部分部分が風化していってしまう。だから、新しい思い出を塗り重ねて生きていくのかなと感じた。今思い出せる過去を大切にしたいなと思

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    2022年02月10日
  • 茄子の輝き

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    忘れていく記憶の数々
    ふと思い出す懐かしい情景

    ふと親孝行について考えていた
    あと何日会えるのか、時間にしたらあと何時間?
    時間を何に使うべきか、ちゃんと考えたいと思った

    2021/03/26 ★4.3

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    2021年03月27日