あらすじ
「すべての出会いは運命的だ」
35歳、9月。ロンドンで高校の同級生の結婚式に参加した。
仁と茜の夫婦は、茜の古い友達を訪ねてペルージャまで足を延ばす。
そして窓目くんは、結婚式でシルヴィに出会ってしまったのだった。
――言葉と記憶があふれだす、旅の連作短編集。
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Posted by ブクログ
大好きな滝口悠生さんの小説。お馴染みの登場人物たち。これまで脇の方にいたジョナサン周囲が今回クローズアップ(ジョナサン目線の話はないけれど)。いつまでも読んでいたい。
Posted by ブクログ
読み始めこそ独特な展開に やや戸惑うが
すぐに慣れ、劇的な展開など一切ないのだが
とても良かった。
アッパとマンマ(ロンドン在住のスリランカ人
ジョナサンの両親)の調理シーンがなかでも
印象的。
後半の「窓目くんの手記」も独特な文章、言い回し
が多いが、センチメンタル。
この著者はお初だったが
他の作品も読んでみよう。
Posted by ブクログ
ずっと積読していたけど、滝口さんの本を読みたいゾーンに入り、グイグイ引き込まれて読んだ。おもしろかったー!!!他人やその人の生活を見る視点が、その見方と書き方が、独特。おもしろい。
窓目くんが愛おしい!
でもなぜか、滝口さんの本は、滝口さん読むぞのエンジンがかからないと、ぐいっと読めない。なんでだろう。おもしろかったな〜
Posted by ブクログ
滝口作品と言えば、記憶、思い出。
今回は旅が(大きな意味で)テーマ。
旅を描くという事は、記憶を辿ることは必定。
滝口悠生作品の髄を存分に楽しめる。
後半は窓目くんが主人公。
『長い一日』などで存在感を放っていた彼がついに。
なんだかやっぱり、いいキャラクターだ。
Posted by ブクログ
この著者、読みはじめ慣れないうちは、一瞬、なんか読みにくい?くどい?とか思っちゃうんだけど、慣れるとクセになるというか、ああこの人こういう文章だった好き、と思うっていう。今回もそうだった。口に出さず心のなかで思っていること、うつろっていくさまざまな細かい思いがそのまま書き連ねられるような感じが好き。
ストーリーは、友人のロンドンでの結婚式に出席した30代の夫婦が、その帰りにイタリアに住む妻の友人を訪ねるって話と、同じ結婚式に出席した友人のひとり(窓目くん)の恋愛話。どっちもおもしろかったけど、この「窓目くんの手記1~5」がよかった。手記と言いつつ、手記じゃないみたいな部分があったり、延々と料理の実況中継みたいになったりしてちょっと不思議な読みごこちもあるんだけど。彼が恋するシルヴィーあてのメールの、日本語で考えて英語で書いたメールをまた日本語に訳したみたいな文章がよかった。ロマコメみたいにキュートな感じがあって、まさに窓目くんこそ「ラブリー」だ。期待や願望や約束は絶対に叶えられないと思っている、でも絶望しているわけではなく、あきらめているわけでもなく、っていう窓目くんいいなと思った。
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それぞれの章を読むたびに、誰の目線で書かれているのかを読みながら整理していく感じ。そして、それぞれの章がつながっている。登場人物の生い立ちや経験や選択が出会いや旅先に反映されていて、無意識にこなしてきた人生のアレコレって案外うまく回収されるんだなと自分の現状と照らし合わせても感じる。
久しぶりに海外旅行に行きたくなったし、何と言ってもカレーが食べたくなる!そして人と関わりながら生きて行きたいと思った。
Posted by ブクログ
仁さんと茜ちゃん夫婦のイタリア旅行記風のお話と、後半はその夫婦の友人の窓目君の話。エッセイかと思いきや小説なんですね。視点があちこちに移っていく文体や窓目君の偏執的な語りといい、捉え所のない感じが面白かったです。登場人物みんな本当にどこかにいそうな感じがする。窓目君のあの感じは、そりゃ日本人で付き合える人はいないって言われちゃうよな…と思いつつもちょっと気の毒になったり。でも、彼女でもない大学の同級生に原稿用紙100枚の論文?作文?を渡しちゃうのはやっぱり気持ち悪い。むしろ、数年後に半年とはいえよく付き合えたな。窓目君の遠視的な恋の仕方は、なんか対象を過剰に神聖視してしまうところといい、寧ろ推し活とかに近そうで…あぁそういうタイプの人もいるよね…と分からないでもない感じ。
カレーは非常に美味しそうだった。
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前半の話は、夫または妻が主語となっていてころころ主語が変わって少し読みにくく感じたのだが、なんか英語的な文章のように感じた。気のせいかもしれないけど。
後輩の窓目くんの手記はうってかわって読みやい文だった。
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窓目くんの感性なんか素敵で惹かれるものがあった。
物語は基本誰目線だ〜??って思う文章が多くて読むの大変だったけどなぜか飽きずに読み進められた。
ラーメンカレーという題名は窓目くんの手記を読み進めてなるほど!!!となった笑
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はっきりと、こんなお話で面白かった、と言えない話だった。
例えば、知らない誰かの独り言をずっと聞いているような、お茶しながら友達の話を聞いているような気分になる。
それが面白い時もあれば、ふんふん頷きながら眠たくなってしまう時もある。
そんなお話だなあ、と言う感想。
Posted by ブクログ
本の説明にはないけれど、「長い一日」のスピンオフ版かしら。
その友達たちの旅の連作短編集なんだな。
ロンドンやイタリアペルージャでの出来事、コロナで遠ざかった世界が懐かしい。
窓目くんが相変わらず飄々として達観している姿が愛しい。
結局、タイトルのラーメンカレーってなんだっけと思いながらも、居心地のよい空間にいた感じでした。
紹介されていたカレーの本は、しっかりブックマーク!
Posted by ブクログ
旅のなかで、芽生える友情や恋心。
その旅先で、どんな物語が出来上がるのか、そして、その物語が全部が良い物語とは限らない。
本作の登場人物たちも、旅先で、様々な体験を
目の当たりにし、新たな価値観を得る。
本作では、イギリスとイタリアにそれぞれ旅に
向かうのだが、茜と仁の夫婦は、仁の友達のけり子の結婚式が行われるイギリスに向かう。
その後に、今度は茜の友達が住んでいるイタリアのペルージャに向かうのだが、そこまでに行くのが大変で、バスの乗り換え、チケットの買い方等、
様々なトラブルに遭いながら、夫婦お互いの目線で、物語が語られている。こういう性格なんだとか、英語しゃべれるんだとか、普段あまり知らない部分が、慣れない土地での旅でお互いに見えてしまう。少し嫌悪感を感じてしまう部分も露わになるのだが、茜と仁2人の絆が垣間見れる、良い物語でした。本作は、連作短編になっていて、茜と仁のストーリーと、仁の友人の窓目の話も描かれている。窓目の健気さにやられました。優しさは
時に自分を傷つけてしまうのかと、あらためて実感しました。