滝口悠生のレビュー一覧

  • 茄子の輝き

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    ネタバレ

    人の記憶がいかに曖昧か、って一言でまとめるとそんな感じになってしまうのがもどかしい・・・
    完璧に共有される過去なんて存在しないもので、ある事実それ自体は変わらずとも、それぞれの主観で捉えたその事実はもう既に裸の事実とは異なってしまう。そのそれぞれの事実を共有し続けられる、あるいは2人の事実を作っていくことが、共に生きてゆくこと、つまり結婚なのかなと思いました。離婚し独り身の主人公を通して、より引き立たせられた2人で生きてゆくことの幸せを感じました。

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    2021年02月28日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにねえやがいて、様々な世話をするという、今では考えられない家庭内のやり取りが出てくる.あんな時代があったことは、映画や小説の中でしか接することはできないが、この姉妹の会話からその情景が想像できることが新しい発見をしたような感じだった.

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    2019年11月06日
  • 愛と人生

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    ネタバレ

     内容が難しいのでうっかり読んでいると頭に何も入らず読むのに時間が掛かった。しかし時折すごい面白い描写があるので油断できない。

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    2019年08月26日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    トップバッターの 瀬戸内先生のが 一番俗っぽかったな と思うほど 瀬戸内先生 相変わらず かわいらしい人を書くんですね ほぼほぼ 幻想的で不思議な短編 ちょっと読むには 分かりにくいものもある 芥川賞作家が多いからでしょうか

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    2019年08月22日
  • 茄子の輝き

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    最近読み始めた滝口さん、長嶋有に通ずるセンスを感じるので私のお気に入りに。特に事件が起きるわけでもないけれど、…で?とハマるような感覚。元妻、職場の同僚に想いを馳せる感覚が逸してるところがフフっとなる。

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    2019年04月02日
  • 寝相

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    表題の寝相は、いろいろかみ合わない人間たちの、でも確実につながっているんだ、という部分(寝相が同じ)があって、ノスタルジック。
    3話目の『楽器』は、混とんとし過ぎていて、全く解らなかった。

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    2014年10月01日
  • たのしい保育園

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    私の苦手とする一見脈絡のない独り言のような文章が続いてるけど、テーマが子育てや保育園の日常なので興味深く読めた。(改行少なめだし)
    保育園に通う早生まれのももちゃんは、同じクラスの4月生まれのお友達と比べるとかなり小さい。そのももちゃんの視点(これは多分に父親の想像).
    保育園の送り迎えは大抵文筆業の父親が担当してる。その父親の視点、母親の思い、担当保育士の気持ちなどが、行きつ戻りつ細やかに表現されていく。大きなアクションで「ある!ある!」というような出来事ではなく、そうそうこんなことばかりだよなぁ、と思うようなうつろうようなエピソードとそれにまつわる心情を繊細に文章にしている感じ。これはほぼ

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    2025年11月30日
  • 茄子の輝き

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    別れた妻を、その過ごした日々や場所や会話や空気を時間をかけてじっくりと消化していく様が描かれていて、
    自分との対話みたいなものが本当に丁寧にかかれていた。
    元職場を回想したり、そのくだらない会話だとかよく通った道だとかが、過去になっていくところが、
    切ないともちがう、、なんとも言えない気持ちになるところがあぁ〜!!!となった

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    2025年11月14日
  • たのしい保育園

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    保育園に通うももちゃんとそのお友達、お父さんたち、保育士さんたちの日常を目まぐるしく変わるそれぞれの視点から綴られたお話。ひらがなが多く視点も文章内でいつしか変わっているので少し読みにくかった。子育て真っ最中の方たちには共感が多いかもしれない。

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    2025年09月16日
  • たのしい保育園

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    子供を保育園に通わせるお父さんの奮闘記。なんだか可愛い話だった。すごく細かいことまで書いてあり、そうだよそうだよと思いながら読めた。

    保育園の連絡帳、いつか見せようっと。

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    2025年07月04日
  • たのしい保育園

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    一つひとつの出来事、発言、情景が事細かに描かれていて、その様子を容易に(というか半強制的に笑)イメージしながら読み進めることが出来る。登場人物の視点で見るその場面の表現が特徴的で面白い。

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    2025年05月06日
  • 死んでいない者

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    2015年芥川賞(下期)受賞作
    誰が主役?って話
    知花?ダニエル?美之?亡くなったおじいちゃんの5人の子供、配偶者、子供、孫…。

    でも葬式って、親族特に従兄弟、叔父、叔母なんてそんなもんかぁ〜なんて思いながら読んでたら終わっちゃったって感じ

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    2025年05月01日
  • 茄子の輝き

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    ネタバレ

    映画で出てきて気になった小説。

    以下は気になった文の引用です。
    「当時は混乱していて、自分で言っていてもこの一連の心の動きがよくわからない。」 
    「妻のことが頭から離れることはなく、ずっと頭にあり続けるというのは、むしろそこにあるのだかないのだかよくわからなくなってくる。静かな頭痛がずっと続いている、というか、自分で自分の頭痛が切れぬように何かを意識し続けているような状態がずっと続いているのだったが、植物に触れると、その痛みのようなものが一種晴れたように思った。」

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    2025年03月26日
  • 死んでいない者

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    ある老人の通夜に集ったり集わなかったりする親族たちの、過去と現在と未来が、混線しながら描かれた短編。
    何か事件が起きるわけでもなく、これといった盛り上がりのない話なんだけど、長編小説を読んだような読後感。

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    2025年02月17日
  • 死んでいない者

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    ネタバレ

    ※登録は文庫版ですが、読んだのは単行本なので、「夜曲」という短編が読めず残念でした。

    「やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)」で気になっていた滝口さん。どの作品から読むか悩みましたが、本書にしてみました。

    読み始めて「ん?」と思いました。これはあまり読んだことのないタイプだぞ、と。たくさんの人が出てくる群像劇だとか、相関図があった方がいいだとか、セリフが括弧で書かれていないとかそんなことではなく、何かうまく言えないけれど、読んだことのないタイプの本だと思いました。ちょっとググってみて、すごく納得。これは、芥川賞受賞作だったのですね。おそらく芥川賞受賞作なんて今まで読んだことありません。あ

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    2024年12月25日
  • 高架線

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    ネタバレ

    古いアパートかたばみ壮のとある一室に暮らした歴代住民たちがリレー形式で自らの人生や、友人知人たちについて語るというお話

    コンセプトとか形式はすごい好きで、前半の失踪事件のエピソードも結構楽しく読んだのだけど、後半で描かれる蒲田行進曲的なエピソードの方にいまいちはまれなくて、そのまま読み終える形に。

    語り手たちが他人の話ばっかりしてるのは面白かったのだけど、語り手がどんどん変わっていく割に文体の変化があまりなかったのがちょっと残念。

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    2024年12月18日
  • ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス(新潮文庫)

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    個々の登場人物とのエピソードに滋味がある。特にジャンベという太鼓を叩く蒲生さん。激しく叩くのではなく、ほとんど叩かず、闇の中に溶け込む静寂を奏でるよう。その静謐さがいい。どこか夜のキャンプで焚き火を見つめているような感覚になる。桃江先輩との恋の果ての「fire」も分かりやすく拗れた青春を描き出している。エレキギターを粉砕して燃やすような青春があったならいいなと思った。

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    2024年11月24日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    表紙がとても綺麗で手に取りました。

    二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?

    わたしも今回初めて知りました。
    雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
    どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。

    この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。

    思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りま

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    2024年08月05日
  • 死んでいない者

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    残された者たちの過去と現在が、取り止めのない会話と脳内思考で流れていく。いろんな人の脳内を覗き見て、高みの見物。カオスだけどありそうでなかった文体。

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    2024年04月26日
  • 死んでいない者

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    ある老人の葬式に集まった有象無象の親戚達。
    何が起こる訳ではないけど、顔も良く覚えていない親戚とのなんとも言えないあの独特な空気感。
    視点がコロコロ変わっていく手法も、群像劇らしくて良かった。

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    2024年04月21日