滝口悠生のレビュー一覧

  • 死んでいない者

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    一人の老人が亡くなりその葬儀に集まった親族達の様子を、それぞれの視点で何気ない一言や頭の中で考えていることが次々と描写されていく短編小説。

    登場人物達自身も、葬式の場で久しぶりに会う面々でお互いに「誰の家族か、何て名前だったか」という状態のため、次々と視点の主が変わるので「今、誰が話の主なのか」が時折混乱してくる。しかしそこで描写される情景は、何気ない過去の記憶(なのになぜか良く覚えている)に飛んだり、発した言葉の一瞬のうちによぎった思いだったりが巧く表現されていて、「こんな感覚、たまにあるよなあ」と思わされる。

    特に大きな事件が起こるわけでもない。全体的にゆったりと時が流れて行く話だが、そんな「たまにある感覚」を妙に楽しめる小説だった。

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    2022年09月23日
  • 水平線

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    1982年生まれの作家が、生まれる40年近く前の戦争を描くには、相当な覚悟も根性も要ったのではないか。2020年の感染症が広がりオリンピックがどうかという現代に生きる来未たちと、その60年前を生きる忍ら。

    中上健次を思い出すようでもあり、『想像ラジオ』や『フィールド・オブ・ドリームス』を思い出すようでもあり。たまにクスリと笑ってしまうような地味なユーモアも。

    死者と生者が繋がるということが、たぶん時にはあるんだと思うよ。

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    2022年08月23日
  • 死んでいない者

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    20220814
    お盆の帰省の時期に読んだのがちょうどよかった。
    テレサ・テン 時の流れに身をまかせ
    親戚にはいろんな人がいるし、家族と同じで選べない。
    ただ、距離を置こうと思えば置ける。
    小さい頃からお互いを知ってるし、少しだけど変化するときの前兆もわかるはず。
    相関図見ながら読んだ方がいい。
    おじいちゃんと最後暮らした美之、兄弟知花との関係もいいし、いろいろ考えさせられる。

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    2022年08月14日
  • 高架線

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    高架線から見た無数の家。沿線にあるカタバミ荘の住人と関係者の記憶。語り形式だか、話が脱線しすぎ。しかしそれが後からじわじわくる。カタバミは、古くから仏具や真鍮の鏡を磨くために用いられてきたことから、別名「鏡草」とも呼ばれる。このことから「輝く心」という花言葉がつけられたそうな。登場人物は、語ることで気持ちが浄化されたのだろう。面白かった。

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    2022年07月17日
  • 寝相

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    道を歩いてたら、目的地から斜めに外れてしまって、とんちんかんな所に出てしまうような感覚。
    地続きであっちこっちに行ける。
    でも、置いていかれたりしない。きちんと前には進んでいる。
    そんな不思議な文章が心地よい時もある。

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    2022年01月02日
  • 茄子の輝き

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    昔の良かった記憶、悪かった記憶を懐かしんで今を平凡に生きる。頭の中をそのまんま言葉にしてるみたいで凄いなあと感じた。

    茄子の輝きとは?と思ってたけど読むうちにそういうことねって、愛おしーってなった。

    ゆっくり生きていこうじゃないかってなったなー

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    2021年12月14日
  • 茄子の輝き

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    保坂和志や柴崎友香に連なる記憶に関する小説で、自分の記憶も呼び覚まされるような感覚があった。面白かった。

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    2021年06月11日
  • 茄子の輝き

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    『花束みたいな恋をした』に重要なアイテムとして登場していたので読んでみた。過去のかけがえのない記憶についての小説だったので、『花束みたいな恋をした』のテーマに通じるものがある。
    小説内では派手な出来事は起こらず、ゆったりとした時間が流れている小説だった。読んでいると、大切な人との過去の記憶を思い出したくなる。主人公は離婚した妻のことをなにかにつけて思い出すのだけど、私たちは過去の延長線上にいるんだなと実感させられる。けれど、どんな大切な思い出だって時の流れには逆らえず、部分部分が風化していってしまう。だから、新しい思い出を塗り重ねて生きていくのかなと感じた。今思い出せる過去を大切にしたいなと思った。消えていってしまう前に。

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    2022年02月10日
  • 茄子の輝き

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    忘れていく記憶の数々
    ふと思い出す懐かしい情景

    ふと親孝行について考えていた
    あと何日会えるのか、時間にしたらあと何時間?
    時間を何に使うべきか、ちゃんと考えたいと思った

    2021/03/26 ★4.3

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    2021年03月27日
  • 茄子の輝き

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    ネタバレ

    人の記憶がいかに曖昧か、って一言でまとめるとそんな感じになってしまうのがもどかしい・・・
    完璧に共有される過去なんて存在しないもので、ある事実それ自体は変わらずとも、それぞれの主観で捉えたその事実はもう既に裸の事実とは異なってしまう。そのそれぞれの事実を共有し続けられる、あるいは2人の事実を作っていくことが、共に生きてゆくこと、つまり結婚なのかなと思いました。離婚し独り身の主人公を通して、より引き立たせられた2人で生きてゆくことの幸せを感じました。

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    2021年02月28日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにねえやがいて、様々な世話をするという、今では考えられない家庭内のやり取りが出てくる.あんな時代があったことは、映画や小説の中でしか接することはできないが、この姉妹の会話からその情景が想像できることが新しい発見をしたような感じだった.

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    2019年11月06日
  • 愛と人生

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    ネタバレ

     内容が難しいのでうっかり読んでいると頭に何も入らず読むのに時間が掛かった。しかし時折すごい面白い描写があるので油断できない。

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    2019年08月26日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    トップバッターの 瀬戸内先生のが 一番俗っぽかったな と思うほど 瀬戸内先生 相変わらず かわいらしい人を書くんですね ほぼほぼ 幻想的で不思議な短編 ちょっと読むには 分かりにくいものもある 芥川賞作家が多いからでしょうか

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    2019年08月22日
  • 寝相

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    表題の寝相は、いろいろかみ合わない人間たちの、でも確実につながっているんだ、という部分(寝相が同じ)があって、ノスタルジック。
    3話目の『楽器』は、混とんとし過ぎていて、全く解らなかった。

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    2014年10月01日
  • 死んでいない者

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    一人の故人の通夜が舞台。

    そこには故人の五人の子供と五人の子供の子供たち、その子供の子供、そして幼なじみ。という大人数が登場する。
    そのなかにはアメリカ人の夫がいたり、行方不明者がいたり、ニートっぽいのがいたり...…
    語り手やその視線が結構目まぐるしく変わる話だった。


    子供の頃、親戚一同が集まる時、その時は遅くまで起きていてもよくて、でも少し眠くて、お酒やタバコのにおいがするなかであちこちから普段とは違う酔っ払った大人たちの声がワイワイガヤガヤと耳に膜がはったみたいに聞こえてきて……
    なんだか そんなことを思い出した。


    本書で語られているのは 故人のことだったり、全く関係のない各々のとりとめもない思いだったりと なんとも雑多だ。
    でも その雑多さこそが “死んでいない者” たちの特権なんじゃないかなと思う。


    津村記久子さんの解説もよかった。






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    2026年09月03日
  • たのしい保育園

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    ネタバレ

    保育園生活における親の日々を文章化してもらえて有り難い本だった。共感できるところ多々。
    こういう本でも純文学は苦手だなーという感想を持ってしまう不思議。

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    2026年09月07日
  • 死んでいない者

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    父の葬儀に集まった息子、孫、ひ孫。それぞれの人生、それぞれの思い。大往生の葬儀に集まった親族が、銭湯に行ったり、お酒を飲みながら話したり、日常の中の一日。

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    2026年08月12日
  • 死んでいない者

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    故人(老人)の葬式で集まった人たちのあれこれ。みんな動く、考える、故人でさえも親類や幼馴染の中で動き出ししゃべりだす。それぞれが思い出していく。なにかのきっかけで思い出す記憶があるけど、そのきっかけがなければ思い起こされることのない思い出(記憶)。「たしかにあったどうでもいいことは、この世界にどのように残りうるのか。」こういう、交錯することのない各々の思いみたいなものが自分は好きみたいだ。最後に鐘を鳴らしたのは誰なんだろう、寛であってほしい。

    ちなみに登場人物が多くて相関図書かないときついかもしれない。途中で登場人物の一人が「誰が誰だかわかんねえよ。」と言ったところで、作者自身がそう思いながら書いたのでは?と思ってみたり(笑)。「(前略)自分もまた誰かのどうでもよい記憶としてどこかで存在していて、やがて忘れ去られるものと思われている。」というところ、年齢を重ねて交流のなくなった人たちを思い出す時、同じ事をよく思い起こす。

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    2026年07月25日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    七十二侯を題にとり、春夏の三十六のなかから十二の掌編を集めた掌編集。
    作家の個性がよくわかる。
    特に長嶋有とか村田沙耶香とか。よく読んでいたからか。季節賛美とか、情景の小説なのかと思えばそうでもなく、その言葉から感じたものを小説に仕立てているようにも感じる。
    野人になった姉を持ち、ルームシェアした友人と赤ん坊のシェアを考える、ドライなのか突き放しているのか不思議な感覚になる土脉潤起。
    襤褸から、昔住んでいた家に働きにくる山村の少女たちの継ぎ接ぎと寒さについて思いをたどる雷乃発声、

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    2026年06月05日
  • ラーメンカレー

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    どんなお話で、どんな評価なのか
    うまく言えないような作品。
    独特の文体で、決して読みやすくはないし
    だれの視点なのか分からなくなる難しさはあった。
    だけど、最後まで読まずにはいられない、そんな話だった。
    スリランカ料理が食べたくなる。

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    2026年05月04日