滝口悠生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『長い一日』が微笑ましくて良かったので、同じ作者の二冊目を読んでみた。
味わい深くはあるが、最後の方は読み疲れてしまった。短編7編を収め、うち6編は連作。離婚したあと妻の記憶に囚われたまま呆然と生きる男の日常を綴る。連載ではないため重複が多いこと、男の内面の進展がごくわずかなもので、読んでいる方もうつうつとしてくる。
その心情には共感できるところも多いが、しかしこういう感受性を誇っているとうつ傾向が常態になりそうという危機感も覚えた。
最後の一編は連作よりずっと年寄りの男の話なのだが、30歳頃に離婚した男が喜びの少ない人生を送った果てのようにも思えてうら寂しい。 -
Posted by ブクログ
ストーリーで何かを得るのではなく、読み進めていく過程で感じる感覚が面白かった。薄れていく記憶の脆さと、時に違う内容で上書きされていくいい加減さ、その中でなぜか残り続ける何でもない断片的な記憶のワンシーン。
主人公の記憶を主人公視点でダラダラと思い出していく。
かなり事細かに、ある意味しつこく、ここまで書く必要ある?と著者に対して思うほど、過度に具体的とさえ感じる文章。
あれ、これさっきもあった、またこの話?とくどいくらい高頻度で登場するとりとめもないエピソードや人。
‥と、思っていたらしばらくして、朧げかつざっくりした情報でしか表現されなくなり、名前さえ登場しなくなるあの人。それはまさに今が過去になり記憶になり、遠ざかっていくから。
うまく言えないが、
【思い出す】という行為を体験する本は初めてでした。
『自分に対して無責任なことなんて言えないような気もするが、本当に無責任なことを言える相手なんて自分しかいないのではないか。』
物語の重要なセリフでもないのに、何故か心に残った。この感想も過去になり、ところであの茄子のなんとかって本てどんな話だったっけ?と、断片的に自分の記憶のように思い出してしまうかもしれない。
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Posted by ブクログ
文芸春秋
滝口悠生 「死んでいない者」
芥川賞受賞作を読んでみた
葬祭の場で起きる 故人と親戚の追憶の物語。死から生を問うているようにも読めるし、親戚の滑稽さとしても読める
主人公は誰なのか、話し手は誰なのか 不明のまま、親戚(死んでいない者)が 次から次と出てきて 故人との記憶をたどる展開。私には読みにくいが、玄人好みなのかもしれない
最初の文章〜斎場からお通夜に至る悲しみの感情の変化の描写は見事だと思う。親戚たちについて「血のつながっていない配偶者たちもなぜかどこか似ている」というのも面白い
自分の死について、それがなんなのかさっぱりわからないまま、刻々それに近づいている、あるいは近づかれている〜生きるとは結局その渦中にある連続
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Posted by ブクログ
死んでいない者
本文の中でも言われていたが親戚内でのとりとめのない会話がだらっと続いていく内容である
お世辞にも面白いとは言えない話だと思ったが、その場面、背景や心情には抵抗なく入り込めた
登場人物が非常に多く、それぞれ何をするでもなく現れては文章に流されていくのだが、読後に思い返してみると何となくその情景が浮かんでくるから不思議だ
しかし文章力があるのかと問われれば否、だろうか
鉤括弧を使わない会話なども含めて易しい文章のせいかすぐ読み終えてしまったためか、明瞭に記憶に残ることはないが、ふとした時にああ誰でもこんなふうに考えたりするんだろうなあなどと考えるのかも知れない
夜曲
短く読者の解釈の自由度が高いせいだろうか、こちらのほうが個人的に好みである
短さ故、一箇所の描写のみなのが良い
廃れた町に暮らす若いとも老いているとも言えぬ者たちの、これまたとりとめのない会話だが、他愛のない文章が眠りにつく前には丁度よい