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死者の書
時は八世紀半ば、平城京の都が栄えた頃。いずれ氏神に仕える者として、館の奥深くで育てられた藤原南家の娘――郎女は、ある年の春分の日の夕暮れ、荘厳な俤びとを、二上山の峰の間に見て、千部写経を発願する。一年後、千部を書き終えた郎女は、館から姿を消し、ひとり西へ向かう。郎女がたどり着いたのは、二上山のふもと、女人禁制の万法蔵院。結界破りの罪を贖うため、寺の庵に入れられた郎女は、そこで語り部の姥から、五十年前に謀反の罪で斬首された滋賀津彦と耳面刀自の話を聞かされるのだが――。第18回文化庁メディア芸術祭[マンガ部門]大賞「『五色の舟』(原作:津原泰水)」 受賞後第一作! 日本民俗学を築いた折口信夫の傑作小説を、初読四十年にしてついに漫画化。古代へと誘う魂の物語。 -
遠野物語
雪女、ザシキワラシ、天狗、河童、オクナイサマーー遠野の郷に伝わるさまざまな民間信仰や伝承を収めた『遠野物語』。遠野地方出身の佐々木喜善が語り、柳田国男が筆記し、現地での調査を経て編纂する形で出版された。 日本人の死生観や自然観が凝縮され、「日本民俗学の出発点になった」とも称される作品を大胆コミカライズ。「オシラサマ」「河童」「狐」「御犬」といった神や妖怪・動物たちの物語を四篇結び直し、現代に蘇らせる。 ■「馬と花冠」ーーオシラサマ その昔、ある娘が馬と恋に落ちた。その恋の行方は……? 東北地方に古くから伝わるオシラサマ信仰。オシラサマは養蚕の神、狩りの神、女性の病気の神、よいことやわるいことを知らせてくれる神などとして崇められている。その由来の物語。 ■「河童の子」ーー河童 ある村の娘が河童の子を生んだ。河童の子の運命は? 今日でも誕生したばかりの赤ちゃんに関する悲しいニュースが後を絶たない。子どもの命をどう考えるかは、最も重要な課題である。現代にまで続く、『遠野物語』が描き出す人間社会の姿。 ■「狐は夢」ーー狐 船越にとても仲の良い夫婦がいた。夫の漁師が吉里吉里へ出かけたが、その帰りが遅くて妻は心配になり……。 その昔、狐は人間に化けて人を騙すと信じられていた。また、思いが募るとすぐに浮遊してしまう魂の「軽やかさ」を描いた、二重に怪しい物語。 ■「おおかみがいた」ーー御犬 『遠野物語』が発刊された明治末期には、ニホンオオカミはすでに絶滅していたが、遠野あたりでは御犬と呼んだ狼の話が伝わった。御犬の経立は年を取った狼のことで、特に恐れられた。 なぜ、御犬は滅びることになったのか。人間と自然の関係が失われ始めた頃の物語。 -
タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)
ああおいしい。姫君の喉もたべてやりましょう――。おぞましい遊戯に耽る男と女(坂口安吾「桜の森の満開の下」)。大怪我を負った夫に堕ちてゆく妻(江戸川乱歩「芋虫」)。幼き兄妹が罪深き愛故に望む裁き(夢野久作「瓶詰地獄」)。泉鏡花、谷崎潤一郎、小栗虫太郎、太宰治ほか名だたる文豪達による10の良識や想像力を越えた怪作。物語は今、あなたの網膜に焼き付き、忘却を拒む。 -
口語訳 遠野物語
百年の月日を越え、語り継がれ読み続けられている不朽の名作『遠野物語』。柳田国男が言い伝えを採集し流麗な文語でまとめた原文を、今日の読者にわかりやすく味わい深い口語文に。大意をそこなわずに、会話を遠野方言であらわしながら再構成していく冒険的な試み。丁寧な注釈も付す。原典への橋渡しとして。 -
一つ目小僧その他
日本全土に伝わる伝説を幅広く蒐集・整理して詳しく分析、それぞれの伝説の由来と歴史、そこにからまる人々の信仰や風習を跡づけ、「妖怪とは零落した神である」という大胆な仮説を提唱する柳田国男。「一目小僧」「目一つ五郎考」「鹿の耳」「橋姫」「隠れ里」「流され王」「魚王行乞譚」「物言う魚」「餅白鳥に化する話」「ダイダラ坊の足跡」「熊谷弥惣左衛門の話」の11編を収める。 -
新訂 妖怪談義
柳田国男が、日本の各地を渡り歩き見聞した怪異伝承を集め、編纂した妖怪入門書。現代の妖怪研究の第一人者・小松和彦氏が最新の研究成果を活かし、原典に当たり、詳細な注と解説を入れた決定版。 -
毎日の言葉
普段遣いの言葉の成り立ちや変遷を、豊富な知識と多くの方言を引き合いに出しながら語る。「なんにでも『お』を付ける風習」「二言目にはスミマセンという」など、今でも興味深く役立つ内容。 -
日本の伝説
伝説はどのようにして日本に芽生え、育ってきたのか。「咳のおば様」「片目の魚」「山のせくらべ」「伝説と児童」ほか、柳田の貴重な伝説研究の成果をまとめた入門書。名著『日本の昔話』の姉妹編、待望の復刊! -
山の人生
山で暮らす人々に起こった悲劇や不条理、山の神の嫁入りや神隠しなどの怪奇談、「天狗」や「山男」などにまつわる人々の宗教生活などを、実地をもって精細に例証し、透徹した視点で綴る柳田民俗学の代表作。 -
小さき者の声 柳田国男傑作選
表題作に加え「母の手毬歌」 「こども風土記」 「木綿以前の事」 など柳田の代表作として名前の挙がる著名な6作品を一冊に収録! 柳田が終生持ち続けた幼いころの直感やみずみずしい感性を随所で感じられる。 -
日本の昔話
『藁しび長者』『狐の恩返し』など日本各地に伝わる昔話106篇をやさしく美しい日本語で綴った名著。「むかしむかしあるところに――」からはじまる誰もが聞きなれた昔話の世界に日本人の心の原風景が見えてくる。 -
新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
現在の岩手県遠野市は、以前は山にかこまれた山間隔絶の小天地だった。民間伝承の宝庫でもあった遠野郷で聞き集め、整理した数々の物語集。日本民俗学に多大な影響を与えた名作。 -
妹の力
かつて女性は固有の神秘の力をもつものとみなされ、祭祀をつかさどり、信仰の対象にもなってきた。柳田国男は民俗学の方法を縦横に駆使して、そうした時代の女性に託されていたさまざまな役割を明らかにする。「妹の力」「玉依彦(たまよりひこ)の問題」「玉依姫(たまよりひめ)考」「雷神信仰の変遷」「日を招く話」「松王健児(まつおうこんでい)の物語」「人柱と松浦佐用媛(まつうらさよひめ)」「老女化石譚」「念仏水由来」「うつぼ舟の話」「小野於通(おつう)」「稗田阿礼(ひえだのあれ)」からなる。 -
妹の力
かつて女性には神秘の力があるとされ、祭祀を取り仕切り、信仰の対象にもなっていた。女性に託されていたものとはなにか。全国の民間伝承や神話などを丹念に検証し、担っていた役割を明らかにする。 -
沖縄の人文
「沖縄と私との関係は、朝鮮のそれよりずっと遅れ、昭和13年以降である。沖縄県の学務部長から招きを受け、始めて渡島の機会を得たのである。以来、深い縁を結んで、この孤島に渡ること数度、親しく島の人々に交わり、その人文に接し、風物と近づくにいたった。特に昭和15年正月における民芸協会員26名の渡島と、そのうちの幾人かの長期の滞在とは、民芸運動にも一期を画した出来事であって、吾々は多くのことを学び、多くのものを心に身に受取ることが出来た」…沖縄の文化的価値に目覚めた筆者がさまざまな機会にしたためた論考を集めた1冊。巻末に貴重な図録を収めてある。 -
折口信夫文芸論集
釈迢空の別名を持ち、学者にして詩人、詩人にして学者という生涯を送った折口信夫は、古代から近代にいたる日本文化を貫く本質をとらえ、詩歌、小説、文学研究、民俗学研究と他の追随を許さない多岐にわたる業績を残した。源氏物語、隠者の文学、短歌の滅亡、近代文学など折口が関心を寄せた日本文学の諸相を多彩な切り口で整理し、批評家としての全体像に迫る画期的評論集。 -
折口信夫 山のことぶれ
マレビトやヨリシロなど独創的な概念を通じ、古代の人々の考えと生活を明らかにしようとした折口。民俗学、国文学、芸能史など、既存の学問分野を超える思想を一冊で。 -
海上の道
遠い昔、日本民族の祖先たちはいかなる経路をたどってこの列島に移り住んだか。彼らは稲作技術を携えて遥か南方から「海上の道」を北上し、沖縄の島づたいに渡来したのだ……。ヤシの実の漂着・宝貝の分布・ネズミの移住など一見小さな事実を手掛りに、最晩年の柳田が生涯の蓄積を傾けて構想した雄大な仮説。 (解説 大江健三郎) -
海上の道
日本民族の祖先たちは、どのような経路をたどってこの列島に移り住んだのか。表題作のほか、海や琉球にまつわる論考8篇を収載。大胆ともいえる仮説を展開する、柳田国男最晩年の名著。 -
海南小記
著者は大正九年、九州東海岸から沖縄の島々の果てまで足をのばし、そこに行なわれる数多くの民俗を比較対照してみる機会を得た。「本書のごときは、いたって小さな咏嘆の記録にすぎない。もしその中に少しの学問があるとすれば、それは幸いにして世を同じうする島々の篤学者の、暗示と感化とに出(い)でたものばかりである」…著者はこう謙虚に述べると同時に、日本の民俗学の開眼を高らかにうたいあげた。『雪国の春』とならぶ柳田国男の生涯をかけた学問の出発点。 -
かぶき讃
「なまめける歌舞妓びとすら ころされて、いよ 敗れし悔いぞ 身に沁む」(昭和二十一年)と詠んだ折口信夫は、戦中から戦後、歌舞伎について度々論ずるようになる。防空壕の中で死んだ中村魁車、上方歌舞伎の美の結晶実川延若、そして六代目尾上菊五郎。役者論を軸に、豊穣な知とするどい感性で生き生きと描く独特な劇評集。 -
禁忌習俗事典 タブーの民俗学手帳
「忌む」とはどういう感情か。ここに死穢と差別の根原がある。日本各地からタブーに関する不気味な言葉、恐ろしい言葉、不思議な言葉、奇妙な言葉を集め、解説した読める民俗事典。全集未収録。 -
工芸の道
「工芸の諸問題はまだ処女地として残る。不思議にも工芸の意義に関する深い叡智や正しい見通しは未だに語られていない。ほとんどすべては断片的であって整理せられた体系がなく、かつ内面的意味に乏しい。まだ耕して培(つちか)わねばならぬ個所が限りなく拡がる。その土地の性質や何がそこに生い立つかについても見残され、また見誤られたものがはなはだ多い。しかし早晩誰かが出てこの未墾の地に鋤(すき)を入れねばならぬ。それが耕すに足りる天然の沃野であるということに疑いはない。私はここに最初の難多き準備の仕事に身を置いたのである。すべての開墾者がなすように、私も雑草を抜き去り、石を除き、土塊(つちくれ)を砕き、畑を整えようと努めたのである」…この序言が語るとおりの、柳の「工芸・民芸」論の到達点! -
口訳万葉集/百人一首/新々百人一首
小池昌代の訳詩と鑑賞で和歌の世界へと誘う新訳「百人一首」を中心に、折口信夫の個性が光る「口訳万葉集」と丸谷才一の豊かな和歌の解釈を楽しむ「新々百人一首」をそれぞれ厳選し収録。 解題 口訳万葉集 岡野弘彦 解題 百人一首 渡部泰明 解説 池澤夏樹 月報 穂村弘 今日マチ子 -
孤猿随筆
はなれ猿に送り狼,狐の飛脚,化ける猫.「この事実を,まことこの世の中に存在するものと,見なければ気が済まぬという所に歴史があるのである」.動物たちは人間の生活と感情のなかでどんな位置を占めてきたのか.伝承・物語・記録を織り交ぜながら,飼い犬や庭のどら猫一族まで,「小さな真実」の考察は自由に架橋する.(解説=室井光広) -
こども風土記
すでになくなって久しい子供たちの「遊び」の淵源を幅広くたずねて、見すごされがちな小さい世界に大切な文化の歴史を探る好著。なにげない日常の諸相の中に多くの問題意識と解明の手段とをさぐりだす柳田民俗学の方法を知るための平易な入門書でもある。「鹿・鹿・角・何本」「あてもの遊び」「かごめ・かごめ」「中の中の小仏」「地蔵遊び」「鉤(かぎ)占いの話」「ベロベロの神」など40編からなる。 -
婚姻の話
人はどうやって結婚相手を見つけ,子をなすのか? 既成の学問が問うてこなかった婚姻習俗の歴史と意味を,柳田国男(1875-1962)は積極的に論じた.「嫁入」ではなく「聟入」が婚姻の主流であったこと,娘宿・若者宿の結婚相手の選択や性教育の場としての機能,家における主婦の権威など.本書は,婚姻における個人の自由が保障された戦後直後,今後の結婚問題を考えるために提示された味わい深い読み物である.(解説=上野千鶴子) -
死者の書
水の音と共に闇の中で目覚めた死者、滋賀津彦(大津皇子)。 一方、藤原南家豊成の娘・郎女は写経中のある日、二上山に見た俤に誘われ女人禁制の万法蔵院に足を踏み入れる。 罪を贖う間、山に葬られた滋賀津彦と彼が恋う耳面刀自の物語を聞かされた郎女の元に、「つた つた つた」滋賀津彦の亡霊が訪れ――。 ふたつの魂の神秘的な交感を描く、折口の代表的小説。 折口信夫の弟子で折口学の研究者として著名な故・池田弥三郎氏による詳細な補注、さらには作品執筆のきっかけとなった『山越阿弥陀図』および『當麻曼陀羅』をカラー口絵に収録。『死者の書』の決定版。 -
死者の書
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「かの人の眠りは、徐かに覚めて行った」。都が平城京にあった時代、藤原南家郎女は彼岸の中日、二上山に俤びとの姿をみる。果たして、かの人はその昔罪なき咎で命を奪われた尊い御仁であった。やげて郎女は千部写経の成就に導かれ、亡き人の魂を慰めようとするのだが…………。 人の世と神の世を行き来する姫と、亡霊となった大津皇子との魂の交歓を描いた物語。本作は国文学者、歌人として有名な折口信夫が奈良の当麻寺に伝わる伝説に着想を得て書き上げた物語。