矢崎存美のレビュー一覧
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内視鏡手術のエキスパートぶたぶた先生。
バレーボールくらいの大きさのピンクのぬいぐるみが手術?
ぶたぶたシリーズというのでしょうか?
存在は知っていて、誰かから勧められたこともあった気がするけど、やっと初読み。
シリーズだけど短編なのかな?
まさか本当にぬいぐるみなのかと、わかっていても疑ってしまう。
まして手術となれば、不安になる患者さんの気持ちもわかります。
名医だけどぬいぐるみ。
うん、まず不安になるな。
ぬいぐるみであること以外は本当に申し分ないのに、なんで人間じゃないの?
人間だったら、そう思うのが自然かな。
患者さんのケースごとの短編になっていて、とても読みやすくて、あっという間でした。
ぶたぶた先生の人柄?とか、腕の良さとか、患者さんごとの反応とか、読むたびに、ぶたぶた先生が好きになる。
こんな愛らしい先生がいたら、病院は怖いところじゃなくなるのにな。 -
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ネタバレ12月24日と25日の朝から夜までのぶたぶたさんの行動を通して、辛かったり行き詰まったりしていた人たちが救われていく話。
けれどぶたぶたさんはそんなこと知らない。
ただ、その時自分のやるべきことをしているだけ。
でも、バレーボールサイズのピンクのぶたのぬいぐるみが、一生懸命百貨店の荷物の配達をしたり、家族のためにケーキを買ったり、奥さんのためにダウンジャケットを買ったりするだけで、何か伝わるものがあるんだろうなあ。
面白かったのは、職場の女性同士の付き合いに疲れて一人公園で昼食をとろうとしていた美月が、コーヒーをこぼしたのを見て缶コーヒーを差し出すぶたぶたさん。
自販機で2本出たのでどうぞって、それだけの出会いで、美月は自分から動き出すことを決意するんだよね。
いろんな人の運命を変えながら、ぶたぶたさんは何も知らずに去っていく。
ヒーローやんか、ぶたぶたさん。 -
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ネタバレ目次
・十三年目の再会
・噓の効用
・ここにいてくれる人
・最後の夏休み
今回のぶたぶたさんは、全て食に関わってはいますが、どれも独立したお話です。
町中華のお客さんだったり、料理教室の先生(ただし本業はリストラされて失業中)だったり、カフェの店長だったり、クラスメイトのお父さんだったり。
今回、ぶたぶたさんに人間の奥さんと娘二人がいる、その成り立ちの秘密が明らかになりました。
まあ、そういうことだよね、という理由でしたが、それでもぶたぶたさんも奥さんも素晴らしいな。『最後の夏休み』
人生にはいろんな時期があって、なんとなく元気が出なかったり落ち込んだりやる気が失われたりしている時、薬で症状を改善することはできるし、回りの人が支えになることもあるけれど、結局病気を治すのは自分、ということ。
元通りに戻ることはないけれど、変わっていく自分を認めることも、心を軽くすることがある。
そして、変わらずにそこにあるものの存在。『ここにいてくれる人』
小学校の低学年の頃、2年だけおばあちゃんと暮らしていたことのある由香。
就職のため東京に来て、ふらっと入ったお店で出て来たチャーハンはおばあちゃんの作るものと同じ味がした。
一体なぜ?『十三年目の再会』
これもまた、変わっていく由香と、亡くなってしまったけれども変わらずに残るおばあちゃんの味の話。
年のせいかおばあちゃんの気持にめっちゃ共感。
かわいい孫だもの、ずっと一緒に暮らしたいけれど、孫は両親と仲良く暮らせればそれが一番いいこと。
だからおばあちゃんは、両親のもとに由香を返し、由香が楽しい日々を過ごすことによって自分の存在が薄れていくことに甘んじたんだ。
おばあちゃんの存在が薄れることによって、自分が楽しい子ども時代を過ごしてきたと由香の記憶が上書きされる。
おばあちゃんの味が残されたわけと、おばあちゃんの生き様。
合わせて知ることによって、より深く記憶に残っていく。 -
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ネタバレぶたぶたさん、今度は義母(奥さんのお母さん)の代理で、カルチャースクールに通いエッセイを書きます。
エッセイと言っても日記エッセイ。
SNSに投稿するような、読者を想定して書く日記エッセイです。
しかし、作中には特に上達するコツなどはかかれていません。
その代わり、ぶたぶたさんの書いたエッセイを読んだスクール生が、少しだけ生き方を変えてゆきます。
仕事に忙殺されるOL、不登校の女子高生、エッセイを書きなれている主婦、定年退職した男性、リストラに会っている会社員、そして講師の先生。
老若男女、悩みのない人なんかいない。
ぶたぶたさんはお気楽にみえるかもしれないけれど、ぶたぶたさんだって悩みも辛いこともある。
それを感じさせないのが、ぶたぶたさんのいいところであり、みんなそんなぶたぶたさんに癒されるんだよね。
ひとつ、出版社がかわったことにより、表紙絵も変わりました。
前のイラストの方がよかったな。
ぶたぶたさんの耳の折れ具合がとても好きだったので。 -
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ネタバレ目次
・お父さんの休日/1
・約束の未来
・お父さんの休日/2
・評判のいい定食屋
・お父さんの休日/3
・女優志願
・お父さんの休日/4
普通の人々の生活の中に、当たり前のようにピンク色のブタのぬいぐるみが一人の人間として存在している日々。
ぶたぶたさんは時に占い師見習いだったり、定食屋の店員だったり、刑事だったりするが、彼が人として誠実に生きているからこそ、心に屈託を抱えた人たちが自分の足で前に歩いていけるようになる。
しかし、読後感はいいとして、不倫に殺人ですぜ、抱えている屈託って。
表紙のかわいらしさからは考えられないくらいの、どろどろ。
夫の不倫を疑って、単身赴任先の街まで乗り込んだものの、決定的な証拠を見せられるのが怖くて家に乗り込んでいけず、ぐだぐだしている時に定食屋で働くぶたぶたさんと知り合い…『評判のいい定食屋』
金策に苦しむ不倫相手のために夫を殺し、自分は女優として華やかな人生に戻ろうとする女性。しかし、夫の死の真実と彼女がしたこととは…『女優志願』
思いっきり子ども向けではありません。
ぶたぶたさんの、とある休日を4つに分けて書いた『お父さんの休日』ですら、不倫旅行に出かけようとする女性が出てくる。
ガラケー全盛時代の話ですが、不倫がブームだったんでしょうか。
結婚するまではいろんな未来が、いろんな可能性があった筈なのに、結婚してしまえば家の中のことばかりで、世の中の変化から置いていかれる不安と諦め。
これは今でも多くの女性が感じることだと思うので、この本、おすすめです。
”けれど今は、その約束された未来と、自分が勝手にあきらめていた行く末が、さほど変わらない気がして来ていた。それは両方とも、それしかない、そうでなければ自分は幸せではない、と思うことから始まっているからかもしれない。
約束の未来も、あきらめの行く末も、今の自分にはない。あるのは、正直になることだけだ。”
『約束の未来』のあたしは、一体どんな未来を選択したのだろう。 -
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ネタバレいやいや面白かった。
ぬいぐるみの山崎ぶたぶたには出来ることと出来ないことが厳然とある。
何故か動いて喋って飲み食いすることはできる。
酔っ払うし居眠りもする。
だけどバレーボールサイズの体なので、高いところを見るときは抱き上げてもらった方がいいし、走らなければならない時も抱きかかえてもらった方が当然早い。
「生きている本物のぬいぐるみ」という制約の中で、当たり前に生活しているからこそ、このぶたぶたシリーズは面白いのだ。
これが「生きている本物のぬいぐるみ」をネタとして笑わそうなんて小細工をしたら、ドン引きだ。
何か変だと思いながらも立川くんが素直にぶたぶたさんと接しているからこそ、見た目以外はしっかりと大人の男性であるぶたぶたの言葉や行動が沁みる。
結構な大事件に関わってしまうぶたぶたの前にあらわれた小学生・桃子。
赤ん坊の誘拐犯は自分の親ではないかと警察に訴えるが、その真意には胸が痛くなってしまう。
いつも忙しくて疲れている親にきちんと話を聞いてもらったことのない桃子。
自分のことは自分でできるから大丈夫って、全然大丈夫じゃないじゃん。
母親はまだしも、悪いことをした桃子を叱りもしない父親には心底腹が立った。
あと赤ん坊誘拐犯の抱える過去の痛み。
いや、痛みに目を向けずに10年来たから、未だに引きずっている。
今も生活が幸せなのはわかっているのに、過去を捨てることも乗り越えることもできない。
本当に欲しかったのは赤ん坊ではないと気づけて良かった。 -
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ネタバレ目次
・初恋
・最高の贈りもの
・しらふの客
・ストレンジ ガーデン
・銀色のプール
・追う者、追われるもの
・殺(や)られ屋
・ただいま
・桜色を探しに
くう~、やっちまった。
最近は謙虚に、シリーズ物だからと言ってぜんぶを読破しなくてもいいぞ、とハードルを下げているにもかかわらず、なかなか途中離脱ができないでいるのに。
これが人気のシリーズ物だということは知っていたさ。
でも、世間で人気でも私には今ひとつというシリーズ物も結構あったわけで、「ふんふん、面白かったけど、これ一冊でいいや」と終るんじゃないかと思いながら手に取ったら、めっちゃいいやん「ぶたぶた」。
シリーズ何冊あるんだろう。
ちょっと調べたら35冊くらい?
手を出すべきか、出さざるべきか、それが問題だ。
まず、主人公の山崎ぶたぶたさんは、ぶたのぬいぐるみである。
着ぐるみではなく、ぬいぐるみ。
サイズはバレーボールくらい。(ちょっと小さすぎないか?)
軽いので風にあおられたり、犬やカラスに連れ去られたりすることもある。
でも、大丈夫。
怪我をしても縫えば直る。
ぬいぐるみだからね。
だけど、喋るし、動くし、飲み食いするし、酔っ払うし、仕事もするし(たいていは優秀)、時には妻子もいる。
だから何が面白いのかと言うと、難しい。
ぶたのぬいぐるみだからこその動きのコミカルさがわかりやすい面白さだけど、それだけならシリーズを続けて読みたいとは思わなかった。
でも読後感がしみじみとよろしい。
特に最後の『桜色を探しに』は、この本のトリとして絶品。
ぶたぶたさんの生真面目で毅然としたところが、見た目の柔らかさと相まって、素直に心に届く。
『最高の贈りもの』の中で美恵のお父さんが言った「パパの職場には、とてもいい友だちがいるんだよ」が、一番しっくりくるかな。
ぶたぶたさんは、とてもいい友だち。
友だちの活躍する話ならば、そりゃあ読まねばなりますまい。