越前敏弥のレビュー一覧
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ネタバレ2つの中長編小説を収録した一冊の本、それだけだと良くあることだが、装丁にテートベーシュというギミックを用いた凝った1冊。そのギミックを楽しむことを主眼においた2作品。
1つは19世紀の陰鬱なエセックスの離れ小島で起こった殺人事件とターングラス館の主の病気の謎を追う話。
もう1つは20世紀大恐慌後WW2前のカリフォルニアで俳優志望の主人公が友人の書いた小説の謎を追う話。
2つの小説は全く違う雰囲気をまといつつ、ターングラス館や話中小説の相関関係などメタな要素を踏まえて展開する。双方各々の収束はするものの、両方を読み終わった時に組みあがっていた2作の関連が紐解けると、別な光景が見えてくる…という展開。
凝った手法で楽しめるが、その構成上それぞれの話に自由というか余裕がないような気がした。それも含めてギミックなんだろうけど。 -
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児童文学としても、ミステリー小説としても読み応え十分だった。少年名探偵テッド•スパークは、アスペルガー症候群だろうが、彼独自の世の中との関わり方や特性が読者にとてもわかりやすく伝わる。例によって、学校では、人間関係がうまく築けていないし、家庭でも、基本的には暖かく見守られているが、なかなか受け入れてもらえない部分もある。でも、そんなテッドだからこそ見えていることが、この事件の解決につながる。
作者は生前、二作品しか発表していない。本当に惜しいことである。草稿をもとに没後に発表されたものも数冊あるらしいので、しばらくは、はまって読みそう。 -
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ネタバレ聖杯の謎に迫る中巻。
聖杯の正体や国を超えた逃亡劇など物語が大きく動き出していく。読んでいた当初はつながりが全くなかったアリンガローサ司祭とファーシュ警部が繋がっていたことやシラスが捕まりラングトン達とともに、イギリスへ向かうという展開など人間関係が入り乱れたことで物語がダイナミックに動き出していて、下巻を読むのがすごく楽しみになりました。”聖杯”が絡んだ歴史をめぐる物語がどうなっていくのかとても楽しみです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
ロバート・ラングトン:諏訪部順一
ソフィー・ヌヴー:佐倉綾音
ジャック・ソニエール:大塚芳忠
アンドレ・ヴェルネ:内田夕夜
リー・ティービング:東地宏樹
レミー・ルガリュデ:チョー
マヌエル・アリンガローサ:大塚明夫
シラス:津田健次郎
ジョナス・フォークマン:千葉繁
ベズ・ファーシュ:堀内賢雄
ジェローム・コレ:飛田展男 -
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上巻、中巻を通して壮大なテーマの割には、大味な感じがしていたのだが、それは下巻の終盤に見事に覆される。本書は世界的なベストセラーになり、2009年にはトム ハンクス主演で映画化された。小説は2000年『天使と悪魔』そして、2003年続編の『ダ・ヴィンチ・コード』と続く。このレビューを書いて、早速U-NEXTで映画『天使と悪魔』を鑑賞する。
小説の印象について、サラッと書くと...トム・クルーズじゃあるまいし。縦横無尽に活躍する中年の大学教授が、現実離れしたアクロバットを展開したり、反物質がバチカンを消し去るまで、残り2時間、25分、20分…緊迫感がまるで伝わらなかったこと。最後のドンデン返しは読書家冥利に尽きたので良しとしよう。 -
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19世紀のエセックスと20世紀のカリフォルニア、二か所に存在する謎めいた「ターングラス館」でそれぞれ起こる事件を描いた本作は、「テート・ベーシュ」と呼ばれる造りの本になっています。各章を読み終えるごとに反転する物語の構成はとても凝っていて、これは是非とも紙書籍で読むべき一冊です。どちらから読むことも可能ですが、個人的にはエセックス篇→カリフォルニア篇の方がよいんじゃないかな、と思いました。実際正当な向きとしてはこっちが正しいかな?
ガラスの牢獄に閉じ込められた女性を巡る物語であるエセックス篇は、時代背景もあって幻想的な雰囲気に彩られています。一族の因縁の物語、そして見事な毒殺トリックに驚愕させられました。
一方ではこれまた謎めいた一族の物語を描いたカリフォルニア篇、こちらはスリリングさもあって楽しいです。そしてこの物語にまつわる謎のヒントがエセックス篇に書かれていたり。本当に、この仕掛けが楽しい! -
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こういう偶然に思える出来事が一連の殺人計画の一部だったというのは面白くないわけがない。マザーグースの歌詞の通りに人が死き、それが果たして偶然なのか何者かの意志によるものなのかについてエラリーも確固たる証拠をなかなか示せなかった。これが館や孤島ではなく、町という比較的広い範囲での出来事だからこそ、デイキン署長も偶然としか思っていなかった。作品を通してエラリーは事件の中に散らばる点を点線で繋いでいたが、それが終盤になって実線で繋がったときはたまらなくワクワクした。十日間の不思議と九尾の猫はそこまで好きではないが、災厄の町、フォックス家の殺人、ダブル・ダブルはライツヴィルシリーズでかなり好きである。靴に棲む老婆にも期待したい。
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ネタバレ決闘の介添人を頼まれたエラリーは、銃の実弾を空砲にすり替えることで流血沙汰を回避しようとする。しかし何者かによって再び実弾にすり替えられ、片方が死んでしまう。弾丸をすり替えたのは誰なのか。遅々として捜査が進まない中、さらなる事件が発生する。
引き鉄を引いた人間はわかっているのに、被害者を死に至らしめた犯人はわからないという状況が絶妙。登場人物の癖の強さはシリーズ屈指。レギュラーメンバーの警視やヴェリーも大活躍。ヒロインのシーラも、ラスト含めて素晴らしい。
捻れた事実を解きほぐして真実に辿り着く過程が爽快。特に、サーロウのチャーリーに対する「殺してやる」の意味に驚嘆。 -
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ネタバレ天才未来学者とAIによる壮大な自作自演。
人類誕生はエントロピーで説明できるからやっぱり神様なんていなかったよ。人類はサイバー化していくよ。全部スーパーコンピュータで計算できたから正しいんじゃないかな。生い先短いからAIにやりたいようにやらせたら、最高のプレゼンが演出できて、ついでに気に入らない連中を破滅させてくれたよ。オブラートに包んだからそんなに悲観しなくてもいいよ(意訳)。
エントロピーは揺らぎによって挙動を変えるけど、結局その揺らぎは自然発生するのか超自然的力によるものか、という議論になりそうな。AI無双になるとミステリーは何でもありになってしまうな。宗教のタブーは、日本人の宗教観では今一つピンとこないテーマかも知れない。