あらすじ
老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づかう。老人はそんなマノーリンをたのもしく思いながら、まだ自身のプライドも捨ててはいなかった。
翌朝、ひとりで漁に出た老人の釣縄に、巨大なカジキがかかる。そこから、老人とカジキの命を賭けた闘いが始まった。不眠不休の極限を超える死闘のなかで、老人は次第にカジキへの畏敬の念と、強い絆を感じるようになっていく。やがて運命の瞬間が訪れ、満身創痍となった老人に、しかし海は、さらなる試練を課すのだった――。
簡潔な文体と研ぎ澄まされた表現で、大いなる自然と自らの人生に対峙する男の姿を力強く描きだす、ヘミングウェイの最高傑作。
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Posted by ブクログ
1920年代から30年代にかけて活躍したアメリカの作家たちを指す「失われた世代」という言葉の響きが、若い頃の私にはやたらと格好良く思え、それらの中心的存在だったヘミングウェイの小説に俄然夢中になった。当然、代表作の「老人と海」にも目を通したのだが、現在となってはあまり記憶に残っておらず、ほとんどが忘却の彼方へと消し去られてしまった。此度、新たな解釈による訳本が出版されたのを機に、およそ40年ぶりに本作と向き合った
90日近く獲物に恵まれずにいる老漁師と巨大なマカジキ、サメらとの攻防を描いたストーリーには、神話にも似た荘厳さが漂い、その研ぎ澄まされた描写はまさにシンプル・イズ・ベストの極みと表現するのが相応しい。単身で大海原の沖合へと小舟を進めた主人公サンティアーゴはさかんに独り言を呟くのだが、そんな彼の様子を一人称ではなく三人称を用いて著した点に斬新な印象を受ける
これまで一般に「少年」と訳されてきたサンティアーゴの相棒マノーリンを本書ではハイティーンの「青年」として捉えた。疑似父子の側面が窺える彼らの繋がりを考えれば、こちらの解釈の方がシックリするのは確かだ
ピュリッツァー賞とノーベル文学賞を受賞し、傑作として名高い「老人と海」だが、かつて読んだときには、正直言ってたいした感想は持てなかった。だが、今回は違った。万物に対して尊敬の念を向けるサンティアーゴの生き方に心を揺さぶられ、終盤で疲弊しきった彼が尚も闘う姿には涙腺が緩んだ。それは多分私自身が年を取り、老いつつあることと関係しているのかもしれない
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月並みの感想になるが、この本は読む環境や年齢によって形を変える物語だと感じた。近年の物語のようなダイナミックさは無い。なんせおじいさんが漁をしているだけの描写といえばそうだからだ。そのため退屈に思う人も多いだろう。しかしこのしがないお爺さんに色濃くスポットライトを当て続けているからこそ、読者にも思い当たる節のある人間臭さを肌で感じることができるのでは無いだろうか。映画化したとしたらパーフェクトデイズのような静かな雰囲気になるだろう。歳を経て、また読みたい一冊だ。
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いや、面白かった。名作と呼ばれるものは食わず嫌いぜすに読んでみるべきだなと思った。
サンティアーゴが魚を見つけることができるのか、仕留めることができるのか、無事に帰ることができるのか、はらはらしながら読み進めた。
途中の自分への問いかけが哲学的でとても考えさせられた。
特に、印象に残っているのは魚を仕留めた終盤の内省である。
“だが老人は、自分のかかわるあらゆることを考える性分で、いまは読むものもラジオもないので、あれこれと思いをめぐらし、罪について考えつづけた。あの魚を殺したのは、自分が生き長らえるためと食い物として売るためだけだったのではない、と思った。殺したのは自尊心のためであり、それは漁師だからだ。やつが生きていたときには愛していたし、死んだあとも愛していた。愛しているなら、殺しても罪にならない。それとも、むしろ重い罪なのか。”
人は時に(というか常に)、自尊心のために大きなものを得ようとしている。海でひとりで戦っている中で、こんなにも孤独で自分のアイデンティティがゆらぐ問いを考え続けられたなと、サンティアーゴに対して思いを巡らせてしまった。
人生は無常だけれど、芯を貫く生き方がかっこいいと思う。
また、自分は逆に音を常に聞くことで考えすぎてしまい、人生の孤独な問いにたどり着くことから身を守っているのではないかと思った。
今回、たまたま宿に角川文庫、そして自分が買った新潮文庫両方の訳があったので途中から角川文庫の方を読んだ。そしてそれぞれの解説を読んだ。
少年の年齢など人それぞれで正解はなくていいじゃないかと思う。しかし、しっかり熱い思いで持論を主張しているのを読むと、ここまで議論を引き起こすことができる本だからこそ名作と言われるのだろうと思った。
哲学的な問いと余白によって読者が色々と深読みできる面白さがある。
もう何冊かヘミングウェイを読んでみたいと思った。次はアフリカの緑の丘を読んでみたい。そしてこの本は年を重ねたのち、また読みたいと思う。
新潮文庫の後書きには、ヘミングウェイの年表とともに同時代の映画や本の名作が記載されていてすごい時代だったんと感じた。
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道をのぼった先の小屋では、老人がまた眠っていた。いまもうつ伏せのままで、若者がそばにすわって見守っている。老人はライオンの夢を見ていた。
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すっかり忘れている。いやー、次から次へと、よく来るなあサメ。そして、ラストの1文がカッコいいなあ。こんなカッコいいラストだったっけ。
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とにかく自然の描写が綺麗。海風の匂い、星空の瞬き、水面の泡など、読んでいるだけで実感できるかのよう。
登場人物も限界まで少ないため、洋書にありがちなこれ誰だっけ?も起こらず、1ページ目からラストページまでどっぷりと作中にのめり込める。
タイトルだけはずっと前から知っているけど見たことない本の代表格のようなものだけど、もっと早く読めば良かったなあ。新訳だと表現も現代的にこなれていて読みやすいです。
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ピューリッツァー賞を受賞した作品だけれど、正直まだ私には良さがいまいち分かりませんでした。基本的にずっと老人と魚が格闘しているだけで、登場人物の動きはとても少ない作品だと思います。なので老人の独り言や思考がメインの内容になるのですが、まだその全てを理解するには読解力が足りませんでした。また数年したら読み返したいと思いました。
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老人が三日もの日数、一匹の魚と対峙する話。あまり知ることのない釣りの世界が垣間見れて面白い。老人の哲学的な思想も興味深かったが、あとがきを見ていると私はまだこの本の面白さを理解するに足るほどの経験を積んできていないと感じた。人生を楽しんだ後にもう一度読み返したいと思う。
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老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づかう。老人はそんなマノーリンをたのもしく思いながら、まだ自身のプライドも捨ててはいなかった。
翌朝、ひとりで漁に出た老人の釣縄に、巨大なカジキがかかる。そこから、老人とカジキの命を賭けた闘いが始まった。不眠不休の極限を超える死闘のなかで、老人は次第にカジキへの畏敬の念と、強い絆を感じるようになっていく。やがて運命の瞬間が訪れ、満身創痍となった老人に、しかし海は、さらなる試練を課すのだった――。
先日読んだ「傷を抱えて闇を走れ」に、「老人と海」にまつまる問答があったので、初めて読んだ。
小学校国語の教科書に出てくる椋鳩十の「大造じいさんとガン」に重なる部分もあるが、ヘミングウェイの描く老人は、とても人間くさい。
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2024年12月30日、キーウェストに旅行に行くために予習のつもりで読みました。キーウェストにはヘミングウェイの邸宅の一つが残っていますりいつか対岸のハバナにも行ってみたい。
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75日間魚が釣れない老人
そんな老人を案ずる元々同じ船に乗っていた孫のような青年。
老人は78日目に大物が釣れるという個人的なジンクスを持っており、75日〜78日まで水飲みで海の上で過ごすことになる。初日にデカイ魚を発見し、そこから50時間ほどかけてデカイ魚を仕留めたが、帰りの道で何体ものサメに食われてしまう。どれだけ鮫に食われようと武器がなくなろうと老人は棒切れやナイフを駆使してデカイ魚を少しでも残そうとするも、けっきょくは骨しか残らなかった。
港村に帰って爆睡したが、ボロボロになってでかい魚の骨だけを持って帰ってきた老人を見て青年は泣き、他の漁師達は尊敬と遺憾の念を送る。
最後に通りかかった女が青年に「あのデカイ骨は何?」と聞いた時に青年が説明をしようとするところで終わる。
有名なので期待値爆上げで読んだが特に面白味はなかった。ハードボイルドな老人が海と格闘して、青年が老人を尊敬し親愛の情を抱いているという本。
解説を呼んでみたら、こんなに短いのに
・老人から青年へと愛情を持ち渡される時代
・長年海と共に生きて全てに親密感を持てる老人(海を包容力で包んでくれる愛しい、時には悪口を叩ける女のように考える)
・老いを感じることで過去を思い出す老人
"老人"の要素をこれだけ出せたのが奇跡的にすごい!という本らしい
面白く読む本じゃないんですね