あらすじ
ふたりの探偵の目前にいて、しかも彼らの目に留まらなかった姿なき殺人者とは? 首輪に「われこそは殺されし男の犬なり」というメモが挟まれていた、毛むくじゃらの犬の秘密とは? 身代金誘拐事件に巻き込まれた保険外交員の運命は? 札束をたっぷり蓄えた老人の家に猛犬がいるのを知った悪党の計画とは? 奇抜な発想と意外な結末が光る短編10作と、殺人で終身刑になった男の無実を証明すべく奮闘する刑事を描いた名作中編「踊るサンドイッチ」を収録。『真っ白な嘘』に続く短編ミステリの魅力あふれる傑作集。『復讐の女神』改題新訳版。/【収録作】毛むくじゃらの犬/生命保険と火災保険/ティーカップ騒動/よい勲爵士(グッド・ナイト)によい夜(グッド・ナイト)を/猛犬に注意/さまよえる少年/姿なき殺人者/サタン一・五世/象と道化師/不吉なことは何も/踊るサンドイッチ/解説=村上貴史
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Posted by ブクログ
機知に富んでいて、洗練されていて気品があるよね。
本当に素晴らしい。
今のミステリーと比べると物足りなく感じる事は有るけれど、たまには微笑みながら、物語の世界に入り込めるのも良いもんだよ。
踊るサンドイッチの結末は、思っていたのとは違ったけど、
ピーターが振られた方が、結末としてはビターな味わいで良かったと思ったけどな。
Posted by ブクログ
ショートショートの名手F.ブラウンのミステリ短編集。読んでいて楽しい。笑えたのは「ティーカップ騒動」でニヤニヤできるのは「生命保険と火災保険」
「さまよえる少年」はじんわり優しく「サタン1.5世」はホラーサスペンス寄り→
「象と道化師」は童話感あるし、表題作の「不吉なことは何も」はオチが秀逸。
中編の「踊るサンドイッチ」はミステリとしても良作。ラストがいいんだよねー。
80年ぐらい前に書かれた話なんだけど、新訳でとても読みやすくなっているので、海外ミステリ初心者にもオススメ。
Posted by ブクログ
ブラウン短編集、創元新訳版二冊目。
短編に加えて中編も収録。
全体的には事件物などストレートなミステリーが多く、先に読んだ「真っ白な嘘」「さあ、気ちがいになりなさい」の二作に比べて小ぶりな印象となりインパクトは少ない。
それでもどの話も古さは感じずオチも鮮やか、原文からなのか訳文からなのかはわからないけど筆致も好みのため読んでいて退屈もなし。
中でも「ティーカップ騒動」「さまよえる少年」「不吉なことは何も」「踊るサンドイッチ」が現時点では良し。
少しずつ、時間があるときに読める話だけを読んでいるけれど、「さあ、次はどんな話だろう」と読み始めて「これがどうなるの」と読み進めていく時間がなんとも幸せ。
Posted by ブクログ
小粒の作品が集まり、バラエティに富んでいて楽しめました。さまよえる少年と慇懃無礼な保険屋さん出てくる作品が面白かったし、ラストの中編も印象的でした。いつも読んでいるミステリとは異なる軽妙な文体で、作品舞台の雰囲気も味わえました。訳は越前先生、イベントで文庫に先生にサインしてもらったので宝です。
Posted by ブクログ
「生命保険と火災保険」、「姿なき殺人者」に出てくるヘンリー・スミスがいいキャラだった。シリーズ化してさらにドラマ化してほしい。
全部面白かったけど、「サタン一・五世」、「踊るサンドイッチ」がミステリだけでなく恋愛要素入ってて粋だった。「踊るサンドイッチ」は読みごたえあり!面白かった!
Posted by ブクログ
面白かった。生命保険の外交のスミス氏がよいキャラクターだった。標題作は因果応報だなと思った。踊るサンドイッチは無実を証明するために奮闘する刑事さんの心理にドキドキした。助けになってあげたい気持ちとそうするとお別れすることになる微妙な心理がよい。最後も良い結末だった。報われて良かった。もっとフレドリックブラウンの作品が読みたいなあ。
Posted by ブクログ
越前敏弥さんが宣伝していたので知ったフレドリック・ブラウン、初読み。東京創元社から新訳の短編集が三冊出ているが、三つ揃って表紙もおしゃれ。『不吉なことは何も』という表題作のタイトルもかっこいいと思う。原題は”Nothing Sinister”で、旧訳では内容を汲み取っての『復讐の女神』だったのを、新訳にあたり改題したとのこと。
とても夢中になったという感覚でもなかったが一気読みした。つかみが上手いというか、いつの間にか入り込んでいる。保険外交員のヘンリー・スミス、私立探偵のピーター・キッドは特に台詞回しに特徴があって面白かった。中編『踊るサンドイッチ』も良かった。
気になったのは、スミス氏がやたら出てくる。ピーターも二人はいた。ウィーラーも二人はいた。カールも二人はいた。これはわざとなのだろうか。なんとなくそうなっちゃったのだろうか。
Posted by ブクログ
同じく短編集の『真っ白な嘘』を読んだ時にも感じたけれど、やはりこの作者の本領が発揮されるのは読後に嫌な気持ちを引きずるショートショート形式の短編だと思う。
本作でも「踊るサンドイッチ」のようにアイデアの面白い推理ものがいくつかあったけれど、全体的にはやや物足りない印象を受けた。