関口英子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ノー」ということがどれだけ大変なことだったのか思い知らされました。
決して自分に非はないのに、自分に非があったかのように扱われるオリーヴァ。
今の私より幼いのに理不尽という言葉で言い表せられない場面が続いて、胸が痛みました。
それでもなお、闘おうとするオリーヴァの強さに驚きました。彼女は謂れ無い誹謗中傷を受けても、それでも自分の信念を曲げずに闘う道を選んだ。それは正解かは誰にもわからない。
納得のいかない結果に終わったとしても、1人の女性が「ノー」と言った記録は残る。後に続く女性がきっといる。オリーヴァのしたことは、他の女性にとっても希望になったのではないでしょうか。
日本でもいまだに性被害 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ猫好きの友人に勧められたのと、タイトルがとても良かったので、読んでみようと思いました。
私は、光文社の古典新訳文庫で読んだのですが、本書は16作品収録されている短編集です。
不思議で奇想天外なファンタジー集だなという読後感です。
表題の「猫とともに去りぬ」は大好きになりましたし、「ガリバルディ橋の釣り人」が私はお気に入りです。
著者のロダーリは、イタリア人の児童文学作家・詩人・ジャーナリストで、教育者でもあります。
第二次世界大戦の終戦を25歳で経験されているのですが、人類愛や反差別、自由を表現した作品を書いた人で、
同じ1920年生まれに、アイザック・アシモフ、ボリス・ヴィアン、レ -
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Posted by ブクログ
“村は夏のにおいを放ってた。うだるような熱風が、まるで生暖かい水糊のように肌にねっとりと貼りつくの…”母さんが語る、若かりし頃の祖父の旅で物語は幕を開ける。
この旅でフロリアン少年の二人の祖父、ジョルジュ・ベッルーシとハンス・ホイマンは出会うのだ。
不遜な眼差しと強靭な意志を持つ二人は、まだ若く何者でもない時に、偶然共にした短い旅の中で互いに友情を見いだす。
二人を“おじいちゃん”と親しげに呼ぶこともできず遠い存在に感じるフロリアンは、ベッルーシや母の狂気とも思えるほどの夢 ー先祖から伝わる、かつては栄華を誇った宿場であり、今や焼失して廃墟となった“いちじくの館”を再建する ー を徐々に理解 -
Posted by ブクログ
原著1955年刊。
ユダヤ系イタリア人で、戦時中アウシュヴィッツに収容されたが、大学で化学を学んだことが幸いし、奇跡の生還。その後出版したアウシュヴィッツについての証言『これが人間か』(旧邦題『アウシュヴィッツは終わらない』)を出版し、これがじわじわと評判を呼ぶ。
そんな特異な経歴を持つ作家レーヴィはどんな小説を書いたのだろう、と素直な興味を持った。しかし実際に読んでみると、ソフトなSFといった趣の軽いエンタメ物語で、ここには「異常な体験」も「人間存在の深淵についての意識」も認めることはできない。
まあ、暇つぶしに読むような、軽いエンターテイメントという感じがした。あのアウシュヴィッツ -
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