関口英子のレビュー一覧
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古代ローマの全盛期(トラヤヌス帝治下、紀元115年)のある一日に焦点を当て、当時のローマ人がどのような一日を送っていたかを追うドキュメンタリー調の歴史読み物。
一日の時系列を追って、起床から就寝(または深夜の活動)までを、視点や立場を巧みに変えながら、淡々と追っていく。
ローマの歴史を扱う本は多いが、多くは歴史的な偉人や大事件に焦点を当てたもの。
それに対し、ローマの一般的な人々はいったいどのような生活を送っていたのかを、細かく細か~く丁寧に再現するのが新鮮。
名もなき人々のなんでもない一日を追うことで、当時のローマの雰囲気や文化がとても分かりやすい。
若干叙述が淡々としすぎていて退屈な -
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20編のおとぎ話(というくくりでいいのかしら)に、それぞれ3つずつ違う結末が用意されているという仕掛けが面白い。味わいとしては星新一『未来いそっぷ』を彷彿とさせるものもあったり(あそこまで毒はないですが)、美しい童話として成立しているものもあったり。小さい子に読み聞かせて3つから選ばせたり、さらに自分で考えさせたりするのも面白そうだと思いました(実際に作者がラジオでやっていたようですが)。私がこの作品を知ったのは、ツイッター経由で、この話の作り方がラーメンズの小林さんと通じるものがある、という惹句を読んだからですが、それこそ「読書対決」を思い出しました。面白かった。
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ローマ帝国、トラヤヌス帝治世下。反映の絶頂期を迎えた首都ローマの人々の一日の生活を著者が24時間密着レポート!という趣向で綴られた本書。企画の勝利、というのは簡単だが、最新の考古学的研究の成果を基にした実に綿密な考証で、今の我々が得られる最大級の古代ローマのリアルをここに出現させている。
衣食住はもちろんのこと、裁判、教育、娯楽、果ては公衆トイレや性生活まで、時に現代社会と照らしあわせて語られる古代ローマ人の姿は、人々の匂い、体温まで感じられそうなまでのリアリティーをもって迫ってくる。
中でもP.207から始まる奴隷についての著述には考えさせられた。古代ローマと現代を照らしあわせて考 -
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ブッツァーティは、『タタール人の砂漠』と『待っていたのは』を以前に読んだ。
あまりにも『タタール人の砂漠』が名作で、ブッツァーティの深い思索の集積をみた気がした。
『待っていたのは』は、河出書房新社から出ている短編集で、光文社から出ている本書と重複している短篇もいくつかある。
本書はブッツァーティの残した膨大な短篇のなかから代表的なものを選び二十二篇を編んでいるもの。
そのうち、十篇は未邦訳である。
『タタール人の砂漠』は、いつ攻めてくるやもしれぬタタール人の襲撃に備え、辺境の砦でそのときを待ち続ける兵士を細かい筆致で丹念に描く。
兵士とともに読み手をこれでもかこれでもかと待たされ、、 -
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どんな物語も、「入り口」があって「出口」がある。
グリム童話やピノッキオなど、あれ?これどこかで?というモチーフをロダーリがアレンジした入り口が用意され、その先の結末が3つ用意されている。
始まり部分を読んで、自分だったらこの先をどう作るかな、と考えてみたり、用意された3つからどれが一番好きか、考えてみたり。
巻末で、ロダーリ自身だったらこれにする、という回答とその根拠をあげる。
ロダーリだったらどの結末にするのか、ということより、その根拠のほうが、なるほどこういう理由でこれを選ぶのか、と、面白い。
何もないところにお話を作っていくのは、制限がなくて自由奔放のようでありながら、入った以上、 -