あらすじ
誰もが知っているグリム童話やロシア民話、ピノッキオなどが、ロダーリ流の現代的なセンスとユーモアやアイロニーでよみがえる。表題作ほか「魔法の小太鼓」「哀れな幽霊たち」「星へ向かうタクシー」「旅する猫」など、それぞれ3つの結末を持つファンタジックで“読者参加型”の愉快な短篇20! あなたも独創的な結末を作ってみてはいかが。創作の悦びも味わえます。
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Posted by ブクログ
全20編の短い物語にそれぞれ3つの結末。どの結末が気に入るか。どれも気に入らないか。自分の好みがよくわかる。最後に作者が選んだ結末とその理由もあり、物語の届け先を考えた真摯な姿勢に尊敬の念が深まる。私は、基本的にハッピーエンドや道義にかなう結末が好きだけど、ピノッキオの話だけは、被雇用者の存在が気になって結果的に必要悪を容認した。間違っている。そう断言する作者に、その通りだなと反省する。
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とてもいい本です。
結末が3つに分かれていて、読者がどれも気に入らなければ自分で作ってみよう、という形式の本。
結末が別れていても物語は楽しめるし自分で考える楽しみがあって、ロダーリの本の中でもかなり面白い方。
解説にあった受け手と送り手では物語のコードの受け取り方が違う、という話は目からウロコだった。
本編もそうだが解説で引用してある「ファンタジーの文法」を読むと創作をしてみたくなる。想像力が大切であるとロダーリは語っていたようだ。
私も本を読むばかりではなく昔のように少しは書いてみようかと思う。
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大人が読んでも楽しい童話集。
結末が3つ用意されているところがまた面白い。子どもと接してきたロダーリだからこそ、未来に期待する気持ちが大きいのかもしれない。
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オーソドックスな昔話に近い標題作からタクシーが宇宙を飛ぶSF系まで、様々なテイストの作品が詰まった短編集。老人や子供、ピノキオ、犬など主人公も幅広いです。
各作品に3つずつエンディングがあり、並置される事でそれぞれの特徴がより明確になっているような。日常の中の非日常が、ユーモラスに描かれてます。
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中身の面白さ的には同著者の「猫とともに去りぬ」の方が上かも?
結末がどれもぴたりと来ないから一つに決めれなかったようにも感じてしまうが、
子どもたちと番組で話したことをもとに作ったようで、話本自体の構成や作り方が前作と異なるので仕方ない。
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物語の結末を創造する。
学校の授業で是非受けたかった。
作者の3様の終わりのパターンを分析するだけでも、自分の想像の殻を破る助けになりそうだ。
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それぞれに3つの結末が用意された20篇の童話集。ラストに作者オススメの結末も載せられており、最後にクイズの答えあわせをするような気分で読め凄く楽しい。私は悲観論者らしいことがわかった。なかなか素敵な本。2011/605
Posted by ブクログ
20編のおとぎ話(というくくりでいいのかしら)に、それぞれ3つずつ違う結末が用意されているという仕掛けが面白い。味わいとしては星新一『未来いそっぷ』を彷彿とさせるものもあったり(あそこまで毒はないですが)、美しい童話として成立しているものもあったり。小さい子に読み聞かせて3つから選ばせたり、さらに自分で考えさせたりするのも面白そうだと思いました(実際に作者がラジオでやっていたようですが)。私がこの作品を知ったのは、ツイッター経由で、この話の作り方がラーメンズの小林さんと通じるものがある、という惹句を読んだからですが、それこそ「読書対決」を思い出しました。面白かった。
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どんな物語も、「入り口」があって「出口」がある。
グリム童話やピノッキオなど、あれ?これどこかで?というモチーフをロダーリがアレンジした入り口が用意され、その先の結末が3つ用意されている。
始まり部分を読んで、自分だったらこの先をどう作るかな、と考えてみたり、用意された3つからどれが一番好きか、考えてみたり。
巻末で、ロダーリ自身だったらこれにする、という回答とその根拠をあげる。
ロダーリだったらどの結末にするのか、ということより、その根拠のほうが、なるほどこういう理由でこれを選ぶのか、と、面白い。
何もないところにお話を作っていくのは、制限がなくて自由奔放のようでありながら、入った以上、その入り口には適した出口があるのだな、ということがわかる。
正解というものはないと思われがちだけれど、どれかが最適で、そうでないものはやはりちょっと収まりが悪い。
一般的に言っても、終わり方には、ハッピーエンド、オープンエンド、悲しい終わり…などいろいろあるけれど、その最も適したものを選んだかどうかで、読んだ印象は変わる。
そういう意味では、これしかない!という最適な正解があるのだ。作者はそれを模索しながら書いているに違いないし、その緊張のない結末は、どこか駄作のそしりを免れないということだよね。
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用意された結末とちょっと違うのが思いつくと、少し嬉しい。その時の気分で道徳的にしたくなることもあればシニカルにしたくなることも。
本編もそうだが、解説が面白い。本読みの強制、今になっても自分の子供がやらされている。課題図書も然り。愚の骨頂。
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物語が20個あり、それぞれ結末が三種類用意してある。いわゆる子供のファンタジー力を鍛えるためのテキスト集のような。構成は良いと思うが余りにコンパクトすぎて。もっと膨らませてくれようー。と思ったが、それは各自でやることになっている。なんだか、ツリーは用意したので、飾りはそれぞれ各自で作るんだよ、と言われたようでね、それをタノシイーと思うか、メンドクッセと思うか。ワシャー昔から七夕の飾り付けとか嫌いじゃった、そういや。や、普通に面白いよ。火星の幽霊の話とか好きだ。けど。
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ゆっくりと丁寧に語りかける感じ。児童文学のテイスト。寓話的。それでいて結末が幾つかある。そうすると描かれていたことの意味合いに違いが生まれるなどを体感できる。自分なりにあれこれ考えられる余白と選択肢のある作品。
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さて、この話のオチ、あなたならどうする?
短編集。でも、ちょっと面白いのは、それぞれ結末が3つ付いていること。読者が好きなのを選べる。もちろん、著者の選んだ結末も最後に書いてある。解説によれば、このそれぞれの物語の元になっているのは、ラジオ番組らしい。ロダーリと子どもたちがスタジオで、みんなで話し合いながら物語の結末を考える番組で、子どもたちの創造力を引き出す。物語自体は、童話や民話で聞いたことがあるような、もしくは星新一のショートショートみたいな感じ。教訓めいていたり、ナンセンスだったり。こういうのもありなんだ、と思える作品。
Posted by ブクログ
”読者参加型”の短篇という企画は面白い。短篇と巻末の「著者の結末」を照らし合わせながら読むともっと良かったのかも。最後に読んでも、どんな物語だったのか良く思い出せないので。あと、この光文社古典新訳シリーズは、レーヴィ、ブッツァーティ、ロダーリを読みましたが、すべてが同一人物による翻訳なので、今回の『羊飼いの指輪』は少し辟易してしまった。もしかするとそれは文体に対してではなく「幻想」に対してなのかも。