作品一覧

  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳
    3.9
    1巻838円 (税込)
    誰もが知っているグリム童話やロシア民話、ピノッキオなどが、ロダーリ流の現代的なセンスとユーモアやアイロニーでよみがえる。表題作ほか「魔法の小太鼓」「哀れな幽霊たち」「星へ向かうタクシー」「旅する猫」など、それぞれ3つの結末を持つファンタジックで“読者参加型”の愉快な短篇20! あなたも独創的な結末を作ってみてはいかが。創作の悦びも味わえます。
  • 猫とともに去りぬ
    4.0
    猫の半分が〈元・人間〉だって、ご存知でしたか。家族も会社も、何もかもがいやになったら、ローマの遺跡の境界線をまたいで猫になってしまおう……。ほかにも、魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家、ピアノを武器にするカウボーイ、ピサの斜塔を略奪しようとした宇宙人、家々を占拠する捨てられた容器たちなどが活躍! 現代社会への痛烈なアイロニーを織り込んだ、ユーモアあふれる知的ファンタジー短編集。

ユーザーレビュー

  • 猫とともに去りぬ

    Posted by ブクログ

    粒ぞろいの16篇。どれもシュールなんだけど、なぜかシュールには感じられない。あまりのテンポのよさに吞み込まれ、不思議だと感じている暇がない。
    「箱入りの世界」と「ヴェネツィアを救え」は、カスケード反応風な展開がおもしろい。配達があまりに速過ぎる「チヴィタヴェッキアの郵便配達員」もいい。「ヴェネツィアを救え」の冒頭には、東京大学のワレハシルゾウ教授(!?)も登場する。
    ロダーリ版シンデレラも、ロダーリ流マカロニ・ウエスタンも、ロダーリ風味の「鏡よ鏡」もある。クスッと笑える。どれも毒のないのがいい。

    0
    2025年05月03日
  • 猫とともに去りぬ

    Posted by ブクログ

     児童文学のような文体であり、非現実的なストーリーはまさに童話でありファンタジーである。ただその中にはさまざまな社会批判や人生の矛盾が描かれているのが面白い。
     濃厚なアイロニーを通して描かれる短編小説集だ。ファンタジーのフレームに入っているので平気でリアルを超えることができる。たとえば猫になったり、魚になったり、神々や宇宙人と交流することも可能なのだ。
     ただ、そういう不思議な世界を描いているように見えて、実は現実社会が抱えている様々な問題を描いているといえる。社会の描き方は微細さを追求するだけではなく、虚構を使ってその本質を照射する方法もあるということを再認識した。

    0
    2024年01月09日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    全20編の短い物語にそれぞれ3つの結末。どの結末が気に入るか。どれも気に入らないか。自分の好みがよくわかる。最後に作者が選んだ結末とその理由もあり、物語の届け先を考えた真摯な姿勢に尊敬の念が深まる。私は、基本的にハッピーエンドや道義にかなう結末が好きだけど、ピノッキオの話だけは、被雇用者の存在が気になって結果的に必要悪を容認した。間違っている。そう断言する作者に、その通りだなと反省する。

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    2022年02月12日
  • 猫とともに去りぬ

    Posted by ブクログ

    御伽噺・イタリア風味。シュールリアリズム系の短編集かと思ったら、予想よりずっと優しい世界だった。根っからの悪人はほとんどいないし、多少意地悪な人間も死ぬことはなく災難に逢う程度。そして善人は必ずささやかな幸福を掴むことができる。ロダーリは確かに児童文学作家ではあったが、それ故に彼の作品はただの子供騙しでは終わらない。彼は戦前からファシズムを批判し、戦時中もレジスタンスとしての地下活動を続けてきた。自国が過ちを犯していると理解する、社会への優れた先見性を持つ作家だったのだ。そんな彼が書く、やさしくユーモアに溢れた文章の中に込められた現代社会への痛烈なアイロニーは、確かに現代を生きる私たちの胸にも

    0
    2019年01月14日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

    Posted by ブクログ

    とてもいい本です。
    結末が3つに分かれていて、読者がどれも気に入らなければ自分で作ってみよう、という形式の本。
    結末が別れていても物語は楽しめるし自分で考える楽しみがあって、ロダーリの本の中でもかなり面白い方。
    解説にあった受け手と送り手では物語のコードの受け取り方が違う、という話は目からウロコだった。
    本編もそうだが解説で引用してある「ファンタジーの文法」を読むと創作をしてみたくなる。想像力が大切であるとロダーリは語っていたようだ。
    私も本を読むばかりではなく昔のように少しは書いてみようかと思う。

    0
    2018年03月07日

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