ロダーリのレビュー一覧

  • 猫とともに去りぬ

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    粒ぞろいの16篇。どれもシュールなんだけど、なぜかシュールには感じられない。あまりのテンポのよさに吞み込まれ、不思議だと感じている暇がない。
    「箱入りの世界」と「ヴェネツィアを救え」は、カスケード反応風な展開がおもしろい。配達があまりに速過ぎる「チヴィタヴェッキアの郵便配達員」もいい。「ヴェネツィアを救え」の冒頭には、東京大学のワレハシルゾウ教授(!?)も登場する。
    ロダーリ版シンデレラも、ロダーリ流マカロニ・ウエスタンも、ロダーリ風味の「鏡よ鏡」もある。クスッと笑える。どれも毒のないのがいい。

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    2025年05月03日
  • 猫とともに去りぬ

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     児童文学のような文体であり、非現実的なストーリーはまさに童話でありファンタジーである。ただその中にはさまざまな社会批判や人生の矛盾が描かれているのが面白い。
     濃厚なアイロニーを通して描かれる短編小説集だ。ファンタジーのフレームに入っているので平気でリアルを超えることができる。たとえば猫になったり、魚になったり、神々や宇宙人と交流することも可能なのだ。
     ただ、そういう不思議な世界を描いているように見えて、実は現実社会が抱えている様々な問題を描いているといえる。社会の描き方は微細さを追求するだけではなく、虚構を使ってその本質を照射する方法もあるということを再認識した。

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    2024年01月09日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    ネタバレ

    全20編の短い物語にそれぞれ3つの結末。どの結末が気に入るか。どれも気に入らないか。自分の好みがよくわかる。最後に作者が選んだ結末とその理由もあり、物語の届け先を考えた真摯な姿勢に尊敬の念が深まる。私は、基本的にハッピーエンドや道義にかなう結末が好きだけど、ピノッキオの話だけは、被雇用者の存在が気になって結果的に必要悪を容認した。間違っている。そう断言する作者に、その通りだなと反省する。

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    2022年02月12日
  • 猫とともに去りぬ

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    御伽噺・イタリア風味。シュールリアリズム系の短編集かと思ったら、予想よりずっと優しい世界だった。根っからの悪人はほとんどいないし、多少意地悪な人間も死ぬことはなく災難に逢う程度。そして善人は必ずささやかな幸福を掴むことができる。ロダーリは確かに児童文学作家ではあったが、それ故に彼の作品はただの子供騙しでは終わらない。彼は戦前からファシズムを批判し、戦時中もレジスタンスとしての地下活動を続けてきた。自国が過ちを犯していると理解する、社会への優れた先見性を持つ作家だったのだ。そんな彼が書く、やさしくユーモアに溢れた文章の中に込められた現代社会への痛烈なアイロニーは、確かに現代を生きる私たちの胸にも

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    2019年01月14日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    とてもいい本です。
    結末が3つに分かれていて、読者がどれも気に入らなければ自分で作ってみよう、という形式の本。
    結末が別れていても物語は楽しめるし自分で考える楽しみがあって、ロダーリの本の中でもかなり面白い方。
    解説にあった受け手と送り手では物語のコードの受け取り方が違う、という話は目からウロコだった。
    本編もそうだが解説で引用してある「ファンタジーの文法」を読むと創作をしてみたくなる。想像力が大切であるとロダーリは語っていたようだ。
    私も本を読むばかりではなく昔のように少しは書いてみようかと思う。

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    2018年03月07日
  • 猫とともに去りぬ

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    感想は、「たのしい!おもしろい!変!」
    そんな短編集です。

    ユーモアがあって、ついにやにやしながら読んじゃう。
    一気にだいすきな本になりました。
    また数年後に読み返したい。

    とにかく突拍子もない本なんです。
    設定も、展開も、キャラクターが考えることも、台詞も。
    予想もつかないことが起きる。
    作者のロダーリは、とっても想像力豊かで、発想が自由で、人と違う視点から物事を見られる才能を持っていたんだなあと感じます。

    何事も、決まった形に収まらない。
    そんなところが夢があって、
    わくわくして、
    各所に散りばめられたユーモアに笑っちゃって、
    でもぴりりと風刺も効いた本です。

    とっても素敵。世界を

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    2016年09月07日
  • 猫とともに去りぬ

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    鼻持ちならぬヤツでさえも、
    何故だかだんだん可愛らしく思えてきてしまう不思議。

    ファンタジーは現実逃避などではなく、
    むしろ現実と向き合う為の、知恵なりパワーなりを与えてくれるものなのだと、
    本書を読み終え、しみじみつくづく、感じたのでした。

    「ファンタジーは人間の精神・人格を形成する大切なもの」と考え、
    教訓におちいる事なく、人類愛、反差別、自由の概念を、上質な笑いと共に表現。

    この感性、是非ともあやかりたい。

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    2014年07月25日
  • 猫とともに去りぬ

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    読みながら、意味もなく楽しくなってしまう。そんな短編集。不思議で、可愛くて、悪意がなくて、ほんの短編なのにどのお話の登場人物もたまらなく魅力的。特にレギュラー化してるあの社長が出て来ると、妙にテンションあがる。
    どのお話も素晴らしい。ファンタジーでSFで、ブラックだけど童話。読み始めたら、この魅力のとりこになること間違いなし。まずは読んでみれば絶対にはまる。そしてあっという間にこの世界から離れたくなくなる。

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    2014年07月08日
  • 猫とともに去りぬ

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    やはりロダーリは素敵だ!表題作の一行目からすぐにロダーリの世界観にハマってしまう。表題作のオチは子どもたちと一緒に考えたとか。作家だけでなく教育者としてのロダーリの一面が垣間見える作品だと思う。最近『青矢号』を読んだので「ベファーナ論」は大変興味深く読めた。ロダーリという作家がもっと日本でも広まってほしいと切に思う。ぴりりとブラックユーモアが効いた大人向けファンタジー短編集。2012/074

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    2013年11月13日
  • 猫とともに去りぬ

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    奇想天外な展開に冴え渡るユーモアセンス!多分母国語じゃないと半分ぐらいは理解できていないだろうと薄々感じながらも、読み進める内にノリが理解できてきました。久しぶりに純粋に「お話」を楽しむ本を読んだなと思います。
    翻訳も読みやすいですし、題名がいちいちステキですね。
    読みやすい長さの短編で構成されているので、枕元に置いて寝る前にちょこちょこ読むのに丁度良かったです。個人的にピサの斜塔の話がドタバタしてて楽しくてお気に入りです。

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    2014年03月08日
  • 猫とともに去りぬ

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    こういう風刺がバッチリ効いたちょっぴり
    刺激の強い作品は大好きです。
    まさに大人のための童話。
    本当に予想もつかないことがよく起こります。

    表題作はまあありえないけれども
    ある種の自由への渇望が
    彼らを「猫」へと変化させてしまうのでしょうね。
    だけれども幸いにも主人公の男には
    「自由」を渇望することはしたけれども
    頼ってくる人がありました。

    そして…人のせいにする人を
    徹底的にあざけっている作品もあります。
    そして嫉妬心の浅ましさも同時にその作品は
    伝えているのです。
    つまり原因が分からないのなら
    それなりに努力をしろ、ということかと。

    こんな面白い作家がいたことに
    驚きでした。

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    2013年09月20日
  • 猫とともに去りぬ

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    イタリアの児童文学作家によるファンタジー短篇集。
    ユーモアたっぷりで不思議な世界観の中に
    アイロニーとナンセンスが散りばめられています。
    表題作の「猫とともに去りぬ」がお気に入り。
    読後に心がフッと軽くなります。
    こういう素敵なお話にはもっと若い頃に出会っていたかったな。

    長新太さんの絵本が好きな方ならきっとはまります。

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    2013年05月11日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    大人が読んでも楽しい童話集。
    結末が3つ用意されているところがまた面白い。子どもと接してきたロダーリだからこそ、未来に期待する気持ちが大きいのかもしれない。

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    2011年10月16日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    オーソドックスな昔話に近い標題作からタクシーが宇宙を飛ぶSF系まで、様々なテイストの作品が詰まった短編集。老人や子供、ピノキオ、犬など主人公も幅広いです。
    各作品に3つずつエンディングがあり、並置される事でそれぞれの特徴がより明確になっているような。日常の中の非日常が、ユーモラスに描かれてます。

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    2011年10月14日
  • 猫とともに去りぬ

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    自由だなあ、好きだなあ!

    ロアルド・ダール的なものも感じるけど、
    もっともっとすかっと自由な気がする・・・
    ロアルド・ダールがイギリスの霧を感じさせるとしたら、
    こちらは、イタリアのからっとした空気を思わせる。

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    2019年01月16日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    ネタバレ

    中身の面白さ的には同著者の「猫とともに去りぬ」の方が上かも?
    結末がどれもぴたりと来ないから一つに決めれなかったようにも感じてしまうが、
    子どもたちと番組で話したことをもとに作ったようで、話本自体の構成や作り方が前作と異なるので仕方ない。

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    2024年09月23日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    物語の結末を創造する。
    学校の授業で是非受けたかった。
    作者の3様の終わりのパターンを分析するだけでも、自分の想像の殻を破る助けになりそうだ。

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    2022年04月24日
  • 猫とともに去りぬ

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    ネタバレ

    ファンタジー短編集。表題作は、飼い猫として暮らせる道があることを羨むべきか、猫でなければ家に居場所もないことを嘆くべきか、どうにも悩ましい。非現実をさも当然のようにすらすら描かれ、頭の柔軟性が試された。とっぴな空想の中に現実社会への皮肉も読み取れ、執筆された当時のイタリア社会が気になるところ。もはや児童文学の枠を越えていると思うが、どの話もロダーリのユーモアに溢れ、最後まで楽しく読めた。

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    2022年03月24日
  • 猫とともに去りぬ

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    なんだか不思議な世界に誘われる短編集。
    家族共々魚になってベネチアの運河を泳ぎ回ったり、ヤマハのバイクと結婚したり。。
    一見キテレツな短編だが、皮肉や風刺がきいていて、イタリアってこんな土壌もあるんだと。
    ロダーリは、イタリアでは教科書にも載っているぐらい有名な作家。

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    2021年10月29日
  • 猫とともに去りぬ

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    読むとクスッと笑えて、誰かに優しくされたみたいな気持ちになる。
    優しさに満ちたユーモアとナンセンスさに星新一を思い出した。星新一よりもこっちのほうがずっと前のものだけど。いい本です。

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    2018年11月04日