ロダーリのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
地に足の着いたファンタジー小品集。優しいローファンタジーではなく皮肉入りの!妙な!変な!世界にも人にも優しくない!(ブラック)ユーモア満載の!話ばかりですごく私得。魔法のバックミラーやシンデレラ宇宙ver.とだけ聞いたらガチファンタジーっぽいのに実際はそうでないんだから面白い。何となく短編モーパッサン+ハルムス(シュルレアリスム感)的に感じた。
初読時は「ヴェネチアの水位上昇を懸念して魚になった家族の話」が印象的だったのだけれど、今回は「バイクと結婚したくて家出する男の話」と「釣りの下手な男が何とかして魚を釣ろうと奮闘する話」が気に入った。後者は特に、喜劇→悲劇の転換がすばらしく巧い。前者は出オチなのにオチも付くというどこまでもおいしい作品。無機物への執着愛ってだけで個人的には大良作。カルロの話も徹頭徹尾純粋な皮肉だけで占められていてかなり好き。
ユーモアセンスがほんとに素晴らしくて、例えば
「将来の計画を話し合ううちに、また日が暮れた。日というのは、そういうものなのだ。暮れることしか知らない日の気持ちも、わかってあげてほしい。」
はくつくつ笑いが止まらなくなるくらいにツボに入った。ニューヨーカーのサーバーとはまた違った種類のユーモアで、こちらの方が若干お上品で軽やかなのもまた面白い。 -
Posted by ブクログ
20編のおとぎ話(というくくりでいいのかしら)に、それぞれ3つずつ違う結末が用意されているという仕掛けが面白い。味わいとしては星新一『未来いそっぷ』を彷彿とさせるものもあったり(あそこまで毒はないですが)、美しい童話として成立しているものもあったり。小さい子に読み聞かせて3つから選ばせたり、さらに自分で考えさせたりするのも面白そうだと思いました(実際に作者がラジオでやっていたようですが)。私がこの作品を知ったのは、ツイッター経由で、この話の作り方がラーメンズの小林さんと通じるものがある、という惹句を読んだからですが、それこそ「読書対決」を思い出しました。面白かった。
-
Posted by ブクログ
どんな物語も、「入り口」があって「出口」がある。
グリム童話やピノッキオなど、あれ?これどこかで?というモチーフをロダーリがアレンジした入り口が用意され、その先の結末が3つ用意されている。
始まり部分を読んで、自分だったらこの先をどう作るかな、と考えてみたり、用意された3つからどれが一番好きか、考えてみたり。
巻末で、ロダーリ自身だったらこれにする、という回答とその根拠をあげる。
ロダーリだったらどの結末にするのか、ということより、その根拠のほうが、なるほどこういう理由でこれを選ぶのか、と、面白い。
何もないところにお話を作っていくのは、制限がなくて自由奔放のようでありながら、入った以上、その入り口には適した出口があるのだな、ということがわかる。
正解というものはないと思われがちだけれど、どれかが最適で、そうでないものはやはりちょっと収まりが悪い。
一般的に言っても、終わり方には、ハッピーエンド、オープンエンド、悲しい終わり…などいろいろあるけれど、その最も適したものを選んだかどうかで、読んだ印象は変わる。
そういう意味では、これしかない!という最適な正解があるのだ。作者はそれを模索しながら書いているに違いないし、その緊張のない結末は、どこか駄作のそしりを免れないということだよね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ猫好きの友人に勧められたのと、タイトルがとても良かったので、読んでみようと思いました。
私は、光文社の古典新訳文庫で読んだのですが、本書は16作品収録されている短編集です。
不思議で奇想天外なファンタジー集だなという読後感です。
表題の「猫とともに去りぬ」は大好きになりましたし、「ガリバルディ橋の釣り人」が私はお気に入りです。
著者のロダーリは、イタリア人の児童文学作家・詩人・ジャーナリストで、教育者でもあります。
第二次世界大戦の終戦を25歳で経験されているのですが、人類愛や反差別、自由を表現した作品を書いた人で、
同じ1920年生まれに、アイザック・アシモフ、ボリス・ヴィアン、レイ・ブラッドベリがいます。
本書でも、ファンタジーの中に空想科学的な展開が書かれているところも多く、彼らの影響もあるのだろうかと私は思いました。
本書の作風からの印象ですが、ロダーリはたぶん変身願望が強い人だったのかなあと思ったりもしました。
それと、モノを愛する人ですね。
色んな作品で、人間が変身するシーンもあるし、機械を人間に見立てることもあるからです。
その発想が、奇想天外で突拍子もなく、また空想科学的でもあったりしました。
最後に、
児童文学寄りだと思って読み始めると、結構ひねったハナシも収録されているので、大人もきっと楽しめます。
余談ですが、ちょくちょくアメリカンをディスるところ、いかにもイタリアンらしくて私は好きです(笑) -
Posted by ブクログ
ようこそ、陽気で不思議なロダーリ・ワールドへ。
ロダーリのファンタジーは懐かしい。小さい頃にきいたお話のようなイメージ。それでいて、痛烈な皮肉が効いている。何かがずれている登場人物と、何かがずれているような事件。それが楽しい。度々出てくるマンブレッティ社長が、典型的やな奴で、こういう人がいるのもファンタジーの醍醐味。
「猫とともに去りぬ」家族に相手にされないから猫になる老人。そんな元人間の猫が起こす運動。猫になる、というのは人類共通の夢かもしれない。
「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」宇宙人が勝手に地球の名所をくじの商品にしているとか、まるで星新一にありそうな。機転のきく行商のおじさんというのも、ファンタジー的。