関口英子のレビュー一覧

  • 命をつないだ路面電車

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    実在の人物から著者が長い時間をかけて話をきき、子ども向けに書いた物語。ホロコーストものだけど、舞台がイタリアで、オーストリアやドイツとはまたずいぶん状況が違っていたのだということがわかる。
    エマヌエーレ少年が乗りこんで2日半ぐるぐる回った路面電車の運転手さんがなんともやさしくて救われる。ユダヤ人をかくまったら自分にも累が及ぶかもしれないのに、マフラーを貸し、お弁当をわけ、トイレ休憩もさせてくれて。まっとうな大人がいるっていうことが、子どもにとってどれだけありがたいか、児童書を読むとたびたび感じる。

    第二次世界大戦は「日独伊三国同盟」ってすごく単純化したものを教わっていたけど、そんなに簡単じゃ

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    2025年06月26日
  • オリーヴァ・デナーロ

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    困難を乗り越えようとする主人公の姿
    複雑な感情を抱えた母親
    不器用ながら芯の強い父親
    人物の描写がいい
    できれば若い女性に読んで欲しい
    試してみませんか

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    2025年05月10日
  • オリーヴァ・デナーロ

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    オリーヴァを見守る家族愛、特に無口な父の姿に
    感動した 今日の女性の権利は昔からあった根強い風習、伝統、しきたり、法律などとの戦いから勝ち得た女性の生きる姿であり万国共通なのだなぁと感慨深い

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    2025年04月28日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    短編集。表題のバラとハナムグリは、一族でタブーとされることを嗜好する若い虫が、親にも打ち明けられず、隠そうとする話。それほど凝った作品でもなく、どこかにありそうな話。
    面白いのは「怠け者の夢」。仕事中も自分が主役のアクション妄想に耽って、仕事には真剣味がない(でも、入れ込まないので仕事ができる)。優秀な部下の査定を手を抜くので、その人は出世が遅れる。
    好きな女性の前で、彼女と結婚し子供まで持っていることを夢想しながら、その夢想に夢中になっているので本人には生返事をしていて、現実には恋が実らない。が、実は本人は幸せなのではないか。
    これはオタクの理想では?部下の取り扱い以外は現実に仕事ができて、

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    2025年03月26日
  • 弟は僕のヒーロー

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    ダウン症の弟ジョバンニと撮ったYouTubeビデオ「The simple interview」が大ヒットし、本になってベストセラーになり、映画化までされた話題作。ジョバンニを家族の一員として迎え入れ、足りない部分は補い、良い部分は共に楽しむマッツァリオール家の姿が思春期の少年の目を通して描かれる。もちろん思春期の子供のことである、ダウン症の弟を恥だと思ってその存在を友達から隠そうとした時代もあった。しかし、それを乗り越えて、ジョバンニは再び自慢の弟になるのであった。カバー装丁をヨシタケシンスケに頼んだ編集者のセンスも素晴らしい。

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    2025年03月22日
  • ぼくたちは幽霊じゃない

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    母と妹とともにアルバニアからイタリアにゴムボートでやって来た8歳の少年ヴィキ。命懸けで海を渡る描写は壮絶。不法滞在者として劣悪な環境で隠れるように暮らす。学校が彼を暖かく迎えてくれるのに救われるが社会はそうではない。誰もが自国で安心して暮らせるのが一番なのだろうけど今、目の前にいる人に笑顔で暮らしてほしい

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    2025年03月22日
  • 母、アンナ ロシアの真実を暴いたジャーナリストの情熱と人生

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    わたしの国においては、自由は少数の人にしか許されない贅沢品。

    アンナ・ポリトコフスカヤが殺されたのはプーチンの誕生日だった。ロシアを代表するリベラル紙「ノーヴァヤ・ガゼータ」の記者アンナは、死の間際まで、第二次チェチェン戦争や、プーチン政権下のロシアにおける汚職や犯罪、「沈黙の掟」についてペンを執りつづけた。最後まで言論の自由、人間の尊厳のために戦った彼女の娘が生前を綴る。

    ― 1991年8月のクーデターに続いてソ連が崩壊し、ロシアが独立した。わたしの両親はふたりとも、ソ連の崩壊以前から反体制派で、共産党政権には、つねに厳しい目を向けていた。家では、ソビエト連邦内での暮らしの細ごまとした例

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    2024年12月25日
  • 同調者

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     原著1951年発表。
     私が高校生の頃、アルベルト・モラヴィアの作品がハヤカワ文庫NVで何冊もラインナップされていたが、今は全部絶版で、邦訳は光文社古典新訳文庫の2冊以外は古書で入手するしかないようだ。1990年に物故するまでは20世紀の巨匠として賞賛されていたのに、死後は本国イタリアにおいてすらほとんど忘れられている作家。
     本作もなかなかに重厚な小説である。人間の心の機微にぐっと入ってゆく描写は緻密で見事。描写がそのように濃厚であるため、ストーリーは波乱のある「面白い」話なのに、ゆっくりとずっしりとした時間が流れてゆくような小説「時間」が呈示される。そのため多忙な情報化社会の現在から見る

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    2024年10月14日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    ネタバレ

    中身の面白さ的には同著者の「猫とともに去りぬ」の方が上かも?
    結末がどれもぴたりと来ないから一つに決めれなかったようにも感じてしまうが、
    子どもたちと番組で話したことをもとに作ったようで、話本自体の構成や作り方が前作と異なるので仕方ない。

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    2024年09月23日
  • 神を見た犬

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    おもしろい
    「竜退治」が特にいい
    この話の恐ろしさは竜を殺した人間に与えられる罰(死)ではなく
    むしろ罰を受けずに済んでしまうこと
    竜の叫びに対して沈黙で返す世界に向けられていると思った
    未知の存在を徹底的に狩り尽くしてしまう人間の習性はこの地上の支配者としてふさわしくそしてとても醜い

    列車とか行進とか、何かを目指して走り続けている話が多い
    しかしそれらはすべて進路を間違えていて、今どこにいるのかさえわからない
    このままでは目的地に辿り着かない、でも引き返すことも止まることもできない
    そういう不安が強い人だったんだなブッツァーティは

    「聖者たち」もよかった。

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    2024年09月22日
  • 母、アンナ ロシアの真実を暴いたジャーナリストの情熱と人生

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    娘から見たアンナ・ボリトコフスカヤ。
    とにかくその行動力と確固たる信念を貫き通した人生に圧倒される。
    高潔なジャーナリストの一面と母としてのアンナ。多感な頃のヴェーラにとっては母の存在はさぞかし重かったであろう。
    ナワリヌイが差別主義者でリベラルとはいい難い人物であるという記述は内側から見た新たな視点で驚いた。

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    2024年06月30日
  • 弟は僕のヒーロー

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    友人からオススメされたショートムービー「ザ・シンプルインタビュー」を見て心を掴まれた!スーツに蝶ネクタイ姿で就職活動するジョヴァンニ。アタッシュケースを開けたらぬいぐるみが出てきて笑い、家でうたた寝しているお母さんに毛布を掛けてあげる優しさに涙。ジョヴァンニはダウン症だ。ジャコモは、待望の弟が思っていたのと違っていたことに戸惑い、思春期になると親友にさえ弟の存在を隠すようになる。しかし、そんな兄の思いとは関係なく、好奇心に満ちた、楽しいことでいっぱいのジョヴァンニの世界はキラキラ輝いて魅力的で、周りの人を笑顔にする。やがてありのままで良いと気付き自由になったジャコモ。「一人ひとりの内側にかけが

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    2024年06月02日
  • 戻ってきた娘

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    まず読みやすい。暖かくて哀しくて、不安定、それでも生命のたくましさと優しさのある、古いイタリア映画のような、味わい深い作品だと思った。突然貧しい実の親のもとに返された娘の内面を思うと、本当に気の毒だけれど、彼女の意思の強さが彼女の命とプライドを守った。姉妹たちはこの先もきっとつらい思いもしながら、したたかに生き抜いていくのだろう。ああイタリアだわよ

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    2024年05月22日
  • 弟は僕のヒーロー

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    ジャコモはダウン症の弟ジョバンニと出会わないなんて残念だと言う。ジョバンニには周りを笑顔にする特別な力がある。ジョバンニといると毎日が違って楽しくなる。ただ、ジャコモはそう思えない時も経験していた。しかし、家族や友達の大きな愛によってジョバンニは見守られ、さらに学校などの社会的な関わりも区別されることなく過ごすことで、大切なものを見落とさなかった。
    日本ではそもそもハンディキャップを持つ人と過ごす機会が少なく、ここまで明るくユーモアたっぷりに描かれる姿に驚いた。多くの人に読んで欲しい作品。映画も見たい。
    ジャコモの描く草食のティラノサウルスがかわいい。ジャコモの優しさを感じる。

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    2024年05月20日
  • 古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活

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    著者が古代ローマの一員となり当時のリアルな1日を時間毎に伝えるという事で、臨場感たっぷり。
    コロッセウムや浴場の話はもちろん、中心地の高層マンション事情や、衣食住、奴隷、性の事など赤裸々に記されています。興味深いのは、富裕層ばかりでなく一般市民や奴隷の暮らしぶりが知れる事。
    現代と同じ、いやそれ以上に進んでいるのでは?という事もあれば、そもそも考え方の根幹が違うため理解しようとしても無駄な事もあると思える内容もあり、読み応えのある一冊でした。

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    2024年04月10日
  • 母、アンナ ロシアの真実を暴いたジャーナリストの情熱と人生

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    アンナ・ポリトコフスカヤ
    ロシアにおいてプーチンのチェチェン紛争を取材し、プーチンを痛烈に批判していた女性ジャーナリスト。
    80年代、ソ連のペレストロイカの進む中でジャーナリストとなったアンナは、ソ連が崩壊し、ゴルバチョフ、そしてエリツィンへと引き継がれた民主化の動きが、プーチンの登場によって、国民の不満を封殺しながら徐々に引き戻されていく中で、危機感を感じ、第二次チェチェン紛争では命の危険に晒されながらチェチェンに潜入して、ロシア国内には明らかにされていないロシア軍の蛮行と政府の欺瞞を暴いてきた。
    それは、ロシア国内においてさえ、彼女を危険に晒す生き方だった。
    そして、2006年10月7日、

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    2024年03月17日
  • 弟は僕のヒーロー

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    テレビで紹介されていた映画が面白そうだなと思っていたところ、原作本があったので読んでみました。

    ジャコモと特別な弟、ジョバンニを中心に、家族や友人との生活を、飾ることなく等身大で綴られていました。ジャコモがジョバンニについて、苦悩や葛藤を抱える中で、家族や友人との関わりを通して成長する姿がとても爽やかで、優しい気持ちになれるお話でした。

    共感したフレーズはたくさんあるのですが、3つ挙げるとしたら、

    ・兄弟を愛するということは、愛すべき誰かを選ぶことではなく、ふと気づいたら自分で選んだわけではない誰がが隣にいて、その人をそのまま愛すること
    ・作者は僕たち自身のはずだ。そして、僕らの物語がど

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    2024年03月17日
  • 弟は僕のヒーロー

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    家族愛、友人愛が素晴らしかった。こんなに思いやりがある家族が羨ましいと思ってしまった。

    ハンディキャップを持つ人の周囲は不幸ではなく、予想の斜め上に行く行動により周りを明るくすることを知り、改めてハンディキャップを持つ人への私の考え方が変わるきっかけとなる非常にいい本でした。

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    2024年02月25日
  • 神を見た犬

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    『タタール人の砂漠』で有名なイタリアの作家であり画家でもあるブッツァーティの短編集。『タタール人の砂漠』と同様、幻想的と評される作風で不条理さや不安感、安定のなさ、不思議、奇跡などを描く。それは現実的ではないがゆえに逆説的にリアリティをともなっている。本人はカフカ的と呼ばれることを嫌がっていたようだけれど、作風的にはカフカのようで、この世の何ともならなさを描くことに卓越している。
    映画監督フェリーニとの映画制作も構想されていたようだけれど、実現はしなかったとのこと。フェリーニの作風も夢や幻想に仮託しながら無意識や奇跡などを描くものであり、親和性はあると思われるだけに実現しなかったのが残念。同時

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    2024年01月21日
  • 「幸せの列車」に乗せられた少年

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    戦後のイタリアの事実をもとにした作品。「幸せの列車」に乗って本当に幸せだったか、改めて幸せとはなにか考えたくなる。

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    2023年11月16日