【感想・ネタバレ】母、アンナ ロシアの真実を暴いたジャーナリストの情熱と人生のレビュー

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Posted by ブクログ

アンナ・ポリトコフスカヤ
ロシアにおいてプーチンのチェチェン紛争を取材し、プーチンを痛烈に批判していた女性ジャーナリスト。
80年代、ソ連のペレストロイカの進む中でジャーナリストとなったアンナは、ソ連が崩壊し、ゴルバチョフ、そしてエリツィンへと引き継がれた民主化の動きが、プーチンの登場によって、国民の不満を封殺しながら徐々に引き戻されていく中で、危機感を感じ、第二次チェチェン紛争では命の危険に晒されながらチェチェンに潜入して、ロシア国内には明らかにされていないロシア軍の蛮行と政府の欺瞞を暴いてきた。
それは、ロシア国内においてさえ、彼女を危険に晒す生き方だった。
そして、2006年10月7日、自宅アパートのエレベーターの中で射殺死体となって発見される。
これは、アンナの娘であり、放送局に勤めて、反体制的な報道番組を担当していたヴェーラが、家族としての母アンナ、そして同じジャーナリストとしてのアンナについて、書いたもの。

そこ、ここに、自由が保障されない国で、国を批判する事の危うさ、権力の恐ろしさを感じとれる話が出てくる。

一方で、その権力に、自分が見た事を報道するという方法で対抗していた女性の強さ、意志の強さに驚く。
ヴェーラが母の言葉として挙げているフレーズが、ジャーナリストとしての真髄であり、アンナという人の生き方そのものだと感じる。
「勇敢でありなさい。そしてすべての物事を然るべき名前で呼ぶのです。『独裁者』は『独裁者』と。」

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2024年03月17日

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