あらすじ
理不尽と闘った一人の女性の勇気の物語。
1960年代、シチリアの保守的な小村。「女は水差しだから、割った人のところにもらわれていくもの」と母親に擦り込まれた少女オリーヴァは、初潮を迎えてからは「純潔を守るため」に、地元の風習と母の教えに従い男子との交流を避け、学校も辞め家のなかで過ごしていた。しかし裕福な菓子店の息子に目をつけられ、16歳の誕生日に誘拐され性暴力を受けてしまう。当時の刑法第544条により、加害者の男はオリーヴァと結婚することで罪が放免されることになる。結婚を迫る男や周囲からの圧力に追い詰められるオリーヴァ。やがて友人や支援者との励ましに自分の本心に気づき、法廷でこの理不尽に「ノー」を突きつけることを決意する。
『「幸せの列車」に乗せられた少年』のベストセラー作家が実話に想を得て描いた、一人の女性の勇気と尊厳の物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とても良かった。特にエンディング。
「女は水差しだから、割った人のところにもらわれていくものなの、と母さんは言う。」という冒頭からしびれた。
男である弟は気にせず、人と話し、外に出かけ、好きなことができる。一方女性は、こうあるべきと言う制限をつけられ、頭が良いことが必ずしも良いことではない。
償い婚に、1981年まで本当にあった刑法など、現代を生きる一女性としては、頭に来る話だ。
ケーキ屋さんでオリーヴァが言った言葉が少しばかり心を軽くしてくれた。
「20年前、あなたが私に無理矢理持たせようとしたものを、自分の稼いだお金で買いに来たの。私が何を手に入れたかですって?選択する自由を手に入れたわ」
ひとりがノーといったところで変わらないことはたくさんある。それでも社会を変えていくには、バトンを繋いでいくかのように、少しずつみんなで声を上げたり、支持したりしていく必要があるのだと感じた。
Posted by ブクログ
困難を乗り越えようとする主人公の姿
複雑な感情を抱えた母親
不器用ながら芯の強い父親
人物の描写がいい
できれば若い女性に読んで欲しい
試してみませんか
Posted by ブクログ
オリーヴァを見守る家族愛、特に無口な父の姿に
感動した 今日の女性の権利は昔からあった根強い風習、伝統、しきたり、法律などとの戦いから勝ち得た女性の生きる姿であり万国共通なのだなぁと感慨深い
Posted by ブクログ
抑圧に従う不幸と、抗う不幸どちらも存在するということ。
なぜ声を上げなければいけないのか、声を上げる女性に対して、社会は考えたことはあるのか。
時代も国も違うけれど、現代にも同様に無理解と差別に傷つけられ苦しむ女性はたくさんいるのだと思う。
Posted by ブクログ
「ノー」ということがどれだけ大変なことだったのか思い知らされました。
決して自分に非はないのに、自分に非があったかのように扱われるオリーヴァ。
今の私より幼いのに理不尽という言葉で言い表せられない場面が続いて、胸が痛みました。
それでもなお、闘おうとするオリーヴァの強さに驚きました。彼女は謂れ無い誹謗中傷を受けても、それでも自分の信念を曲げずに闘う道を選んだ。それは正解かは誰にもわからない。
納得のいかない結果に終わったとしても、1人の女性が「ノー」と言った記録は残る。後に続く女性がきっといる。オリーヴァのしたことは、他の女性にとっても希望になったのではないでしょうか。
日本でもいまだに性被害にあった側の立場が弱いことがある。それでも「ノー」と言い続けることが必要なのだと思いました。
全ての女性に読んでほしい本だと思います。