関口英子のレビュー一覧

  • 古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活

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    これは面白い!

    古代ローマの生活はどのようなものだったか? それをこの本では早朝から夜更けまで、ローマ市内を散策するという体裁で、疑似体験できる構造になっている。作者のアルベルト・アンジェラはテレビの教育番組に関わっていたらしく、だからこそ、このような奇抜でありながら好奇心を満足させてくれる本を書くことができたのだろう。

    ローマで行われていたほぼ全てのこと、衣食住、エンターテイメント、政治、経済、建設、セックスに至るあらゆるものが題材として取り上げられている。この本を読めば、古代ローマの人々がどのような世界に生き、サービスを教授し、悩み苦しんでいたのかが良く分かる。参考資料としても一級であ

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    2013年05月10日
  • 猫とともに去りぬ

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    イタリアの児童文学作家によるファンタジー短篇集。
    ユーモアたっぷりで不思議な世界観の中に
    アイロニーとナンセンスが散りばめられています。
    表題作の「猫とともに去りぬ」がお気に入り。
    読後に心がフッと軽くなります。
    こういう素敵なお話にはもっと若い頃に出会っていたかったな。

    長新太さんの絵本が好きな方ならきっとはまります。

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    2013年05月11日
  • 古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活

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    文句なく星5つです!!!

    西暦115年のローマの街を24時間、超優秀な歴史ガイドとタイムスリップして探索できる。

    こんな贅沢な旅体験が出来ます。

    久しぶりに夢中になって読み進めてしましました。

    古代ローマ人の風俗、風習などがリアルに分かるのもとても楽しいのですが、なんといっても細緻にわたる建築の描写がGOOD!!

    特に第42章のトラヤヌス浴場の描写が最高です。

    単純素直に「古代ローマ人ってなんて贅沢なんだ、羨ましい!」と思わず唸ってしまいました。

    1900年も前の世界を「今、ここ」の感覚で読めるこの本は、著者の古代ローマ世界への「愛」そのものなんだろうな。

    歴史、建築好きのすべ

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    2013年04月15日
  • 月を見つけたチャウラ~ピランデッロ短篇集~

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    光文社古典新訳文庫にハズレなし。いきなりの表題作「月をみつけたチャウラ」の息をのむラストショットの見事な詩情は無論、「手押し車」の予想外のオチはちょっと凄い。鬼気迫るとはまさにこのことだ。スプラッタな無差別殺人描写を、狂気の描写と勘違いしている凡百の作家もどきは、全員この「手押し車」を100回以上黙読すべきだ。この哀しみと滑稽とさらに凡庸(!)を基盤にした恐怖の描写は、そうそう味わえるもんじゃないw すばらしい。

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    2012年12月18日
  • 神を見た犬

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    人間臭い、気軽な神が登場し、日常から非日常へと知らぬ間に誘われ、ときには残酷なオチをつける。
    日本の読者なら、少し長い星新一を読んでいる気分になるのでは。

    非常な日常観察力(グランドホテルの廊下、小さな暴君)、純粋な想像力の飛翔(呪われた背広)、人生の危うさ(マジシャン)という本を読む楽しさを思い出させてくれる本。すごくいい。

    描写も非常に綺麗(神を見た犬、戦艦《死》)。

    解説も気がきいている。
    「映像的な幻想と現実とが交錯し、両者が入り交じった特有な世界における、はかなさや哀しさにみちた美。そこでは、現身の人間と死せる者とが別れの挨拶を交わし、実在の戦艦が幻の戦艦に攻撃をかけるのだ。」

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    2012年11月25日
  • 月を見つけたチャウラ~ピランデッロ短篇集~

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    青森っぽい喩えで言うなら、スルメのような本です。よく読まないと(何度か読み返したりしないと)、その奥深さがわからない…

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    2012年11月24日
  • 古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活

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    平易な語り口とあいまって、古代ローマ(紀元115年)がまるで目の前に広がっていくようなヴィヴィッドな描写が素晴らしい。
    映画「テルマエ・ロマエ」がもうじき公開されるが、予備知識としてこの本を読んでいると、さらに楽しめるかも。もっとも、4映画がどこまできちんと時代考証をして作られているのか、という問題はあるのだが…(笑)

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    2012年04月21日
  • 神を見た犬

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    モノトーンの哀切きわまりない幻想と恐怖が横溢する、孤高の美の世界22篇。日常的、現実的な事柄を摩訶不思議な幻想的な世界として描き出す独特の世界観。漫画家でもある著者の文章の運びがまるで漫画の1コマ1コマを見ていくように進んでいき、読み手の想像力を膨らませてくれます。少し宗教色が強いお話もあるけれど、人の恐怖や不安を幻想的に描き、しっかりオチもあるので読んでて面白い*

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    2012年04月04日
  • 天使の蝶

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    化学者で作家のプリーモ レーヴィ短編集。科学者としての知識が微妙に醸成され、ブラックユーモアでクスリとしてしまう独特な世界観を持ったお話揃い*

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    2012年04月04日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    大人が読んでも楽しい童話集。
    結末が3つ用意されているところがまた面白い。子どもと接してきたロダーリだからこそ、未来に期待する気持ちが大きいのかもしれない。

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    2011年10月16日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    オーソドックスな昔話に近い標題作からタクシーが宇宙を飛ぶSF系まで、様々なテイストの作品が詰まった短編集。老人や子供、ピノキオ、犬など主人公も幅広いです。
    各作品に3つずつエンディングがあり、並置される事でそれぞれの特徴がより明確になっているような。日常の中の非日常が、ユーモラスに描かれてます。

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    2011年10月14日
  • 猫とともに去りぬ

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    自由だなあ、好きだなあ!

    ロアルド・ダール的なものも感じるけど、
    もっともっとすかっと自由な気がする・・・
    ロアルド・ダールがイギリスの霧を感じさせるとしたら、
    こちらは、イタリアのからっとした空気を思わせる。

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    2019年01月16日
  • 天使の蝶

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    イタリア作家の短編集。抜きん出た寓話性で人間や社会を抉り取る。が、あまりに滑稽で皮肉が効いている語り口はストーリーが排除されていて、読み手が物語に入って感動したり、考えさせられるという作風ではないので、最初は取っ付きにくかった。
    しかし、徐々にこの作家の作風に馴染むに連れて、その深みに引き込まれていく。読み終えた今となっては断言出来る。紛れもない傑作短編集。必読!

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    2010年05月01日
  • 天使の蝶

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    鶏が検閲をしたり、天使を作ろうとして鳥の化物ができてしまったり、創世記でヒトを作ろうとしているときの会議の様子やケンタウロスや車の性についての話、営業マン・シンプソン氏によって勧められる不思議な機械。。化学者でもあり、アウシュビッツを生き延びた著者によるものであるからなのか、科学的で自由な発想で書かれているのだが、どことなく皮肉めいている。あまり読んだことはないんだけど、星新一や渋澤龍彦のような感じもした(個人的に)。

    4,5話くらいあるシンプソン氏の機械の話は、本全体を読みすすめていくと楽しみになってくる。今度はどんな機械が出てくるのだろう・・・と。シンプソン氏が出てくるものでは「完全雇用

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    2009年10月04日
  • 天使の蝶

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    人類は天使になる途中のネオテニーである、という仮説のもと行われた残酷な人体実験をめぐる表題作ほか、ブラックユーモアに満ちた幻想SF短篇集。


    今の気分に合っていて一気に読んだ。シンプソン氏という営業マンが登場するシリーズが楽しい。藤子AでもFでもあるような、アシモフやフレドリック・ブラウンを思いだすような、漫画的でライトな読み味が懐かしい。
    シンプソン氏が売りつけてくる機械は、2025年から見るとハッとするほど正確に未来を予見している。ChatGPTそのものみたいな〈詩歌作成機〉、原子レベルから複製できる3Dコピー機〈ミメーシス〉、他人の思考と感情まで体感させてくれるVR装置〈トレック〉など

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    2025年11月27日
  • 命をつないだ路面電車

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    不条理な事ばかりで憎しみと恐怖が渦巻き、重苦しく辛い日々を生きる中で親切な人もいたことに少しでも希望を感じた。
    悲しくても人生は続き、それでも生きていかねばならない。「お願いだから人生を悲劇で終わらせないで」という母の言葉が胸に響いた。

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    2025年08月31日
  • 命をつないだ路面電車

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    実在の人物から著者が長い時間をかけて話をきき、子ども向けに書いた物語。ホロコーストものだけど、舞台がイタリアで、オーストリアやドイツとはまたずいぶん状況が違っていたのだということがわかる。
    エマヌエーレ少年が乗りこんで2日半ぐるぐる回った路面電車の運転手さんがなんともやさしくて救われる。ユダヤ人をかくまったら自分にも累が及ぶかもしれないのに、マフラーを貸し、お弁当をわけ、トイレ休憩もさせてくれて。まっとうな大人がいるっていうことが、子どもにとってどれだけありがたいか、児童書を読むとたびたび感じる。

    第二次世界大戦は「日独伊三国同盟」ってすごく単純化したものを教わっていたけど、そんなに簡単じゃ

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    2025年06月26日
  • オリーヴァ・デナーロ

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    困難を乗り越えようとする主人公の姿
    複雑な感情を抱えた母親
    不器用ながら芯の強い父親
    人物の描写がいい
    できれば若い女性に読んで欲しい
    試してみませんか

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    2025年05月10日
  • オリーヴァ・デナーロ

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    オリーヴァを見守る家族愛、特に無口な父の姿に
    感動した 今日の女性の権利は昔からあった根強い風習、伝統、しきたり、法律などとの戦いから勝ち得た女性の生きる姿であり万国共通なのだなぁと感慨深い

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    2025年04月28日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    短編集。表題のバラとハナムグリは、一族でタブーとされることを嗜好する若い虫が、親にも打ち明けられず、隠そうとする話。それほど凝った作品でもなく、どこかにありそうな話。
    面白いのは「怠け者の夢」。仕事中も自分が主役のアクション妄想に耽って、仕事には真剣味がない(でも、入れ込まないので仕事ができる)。優秀な部下の査定を手を抜くので、その人は出世が遅れる。
    好きな女性の前で、彼女と結婚し子供まで持っていることを夢想しながら、その夢想に夢中になっているので本人には生返事をしていて、現実には恋が実らない。が、実は本人は幸せなのではないか。
    これはオタクの理想では?部下の取り扱い以外は現実に仕事ができて、

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    2025年03月26日