関口英子のレビュー一覧
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ネタバレブッツァーティは初めて読むが、非常に良かった。
幻想的、と帯には書いてあったが、どちらかと言えば、昔話の様な雰囲気があり、不思議な気持ちになる。
だが、様々な強迫観念や死への恐怖と生への執着(とまではいかないかも知れない)、そして理不尽さが描かれている。
表題作について。
神を信じない村に現れた、不思議な犬。
彼と狡猾なパン屋の男、隠修士を中心にして、人々の間に疑心暗鬼が広がっていく…
その互いを探りながらの駆け引きの様子がとても良かった。
結局、神を信じず、口からは罵倒の言葉が出るような人々でも、知らぬ内に深層では信じている、みたいな話が面白かった。
どれも面白い話ではあったが、特に7階、グランドホテルの廊下は秀逸。
ただ、小さな暴君はひたすらに胸糞が悪かった。
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Posted by ブクログ
アルバニアに住む7歳の少年ヴィキは、母と5歳の妹ブルニルダとともに、1年半前にイタリアに出稼ぎに行った父の元へと向かう。長距離バスに乗り、密航業者のゴムボートで命がけで海を渡り、列車に乗って、やっとの思いでミラノの父に会えた。ところが、父に案内された家は沼地に立つバラックで、電気も水道もなく、トイレは下水の流れ込む運河の縁だった。不法滞在者の彼らは、警察に見つけられたら1度目は財産没収、2度めにはそれに加えて強制送還になる。ヴィキたち家族の、逃亡者のような生活が始まった。
実際の体験談をもとに、過酷な環境下にありながらも、学校生活に救いを見出し、家族と力を合わせて困難を乗り越える移民少年の姿を、少年自身の回想で綴った物語。
*******ここからはネタバレ*******
あまりにも過酷な旅と生活に胸が痛む。
(道徳的には)何も悪いことをしていなくても、外国人で、不法滞在者ということで、警察に怯え、犯罪者と誤解され(すれ違うときにハンドバッグを守る仕草をされる)、困ったときにも公的助けを求めることができない。
故国では常に開かれている神の家、教会さえも、ミラノでは、貴重品があるからと閉められてしまう。
唯一の救いは学校で、すべての子どもを受け入れるべきという教育省の通達により、イタリア語をほとんど理解しないヴィキも通うことを許され、そこでは温かく理解ある教師のもと、皆と平等の生活を楽しむことができた。
また、彼らがずぶ濡れで浜にいたときに助けたミケーレとルチア夫妻の優しさと勇気も胸を打つ。いくら女性と小さい子たちだったとはいえ、言葉の通じない、ひどい姿をした人たちを助けることを躊躇しなかった。
身近にアルバニアの不法滞在者がいたから驚かなかったのかも知れないが、簡単にできることではない。
最後の、記者の取材を受けたヴィキの記事が市の有力者の目に留まったおかげで母に仕事と滞在許可証が与えられたところは、突然でうまく行き過ぎ感もあるが、児童書だし、実話が元になっているので、これで良いと思います。
辛い経験は7歳のときのものだが、回想している彼は中学2年生になるところ。厳しい場面も多いので、中学生以上の読書をオススメします。
今回は大ヒットが出ないなと思っていたら、この本と出会いました。やっぱり、事実に裏打ちされた物語は説得力が違います。
岩波書店のSTAMP BOOKSは、骨太な作品が多いですね。
故郷を捨てなくてはならない外国人労働者の気持ちを、普段彼らを見かけるときに慮ることができない自分自身も、見つめながら読みました。
ミケーレとルチア夫妻のようになれたら……。 -
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「天地創造」神と天使が生物をつくりあげる際、人間は不恰好で厄介ごとを生み出すと却下となるが...
生み出しちゃったね。
「アインシュタインとの約束」アインシュタインがある路地で死の天使に会う。今は重要な発明の最中だと1ヶ月、死を延ばしてほしいと願う。三回延ばし、ある発明を完成させた。その発明に死の天使=悪魔は喜ぶ。
あの発明ですね。
「神を見た犬」修道士についてきた犬は、修道士が死んだ後、不信心な人々が住む村に降りてくる。そして村中を歩き回り、人々の行動を見つめるのだった。
お天道様はいつも見ている。
最初は面白かったものそれぞれ、書き記そうと思ったのですが、読み終わったら次を読みたくなって、中途半端に。
聖人の出てくる話が好き。
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御伽噺・イタリア風味。シュールリアリズム系の短編集かと思ったら、予想よりずっと優しい世界だった。根っからの悪人はほとんどいないし、多少意地悪な人間も死ぬことはなく災難に逢う程度。そして善人は必ずささやかな幸福を掴むことができる。ロダーリは確かに児童文学作家ではあったが、それ故に彼の作品はただの子供騙しでは終わらない。彼は戦前からファシズムを批判し、戦時中もレジスタンスとしての地下活動を続けてきた。自国が過ちを犯していると理解する、社会への優れた先見性を持つ作家だったのだ。そんな彼が書く、やさしくユーモアに溢れた文章の中に込められた現代社会への痛烈なアイロニーは、確かに現代を生きる私たちの胸にも強く響いてくる。
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Posted by ブクログ
短編集で不条理を描いたもの。星新一に系統は似てるけどそれをもっと文学的にしたような。人の持つ社会的心理から返って個人が苦しんでしまう様な様を描いたものが多い。
1. 天地創造。キリスト教ネタがいくつかあって分かりにくいものもあったけど、これはシンプルで、地球にある一切は神によってデザインされたとされるが、こんな裏話があったのではないかという話。作者がいかに人間を醜いと思ってるかが一作品目で分かる構成なのが良い。
2. コロンブレ。親や世間の謂れを真に受けて信じ込んでしまった為に人生を棒に振る寓話。
3. アインシュタインとの約束。偉人に勝手に性格をあてて描くのは何だか気持ち悪かった。
4. 戦の歌。これは本当に訳がわからなかった。解説が欲しい。国は一体何処と戦っているのか?なぜいつまでも戦争は終わらないのか?歌は何を言っているのか?
5. 7階。これも訳がわからないと言えばそうだが、書いてあることをそのまま読めば分かるし、面白かった。それは不名誉なバロメーターであるが主観的な評価であり、またあらゆる言い訳に負けて、ずぶずぶと最高級の不名誉を負ってしまう話。
6. 成人たち。キリスト教を知らないので聖人が何かよく分からなかったけど、仏みたいなもんだろう。そんな聖人の中でも人間的な悩みがあるという話
7. グランドホテルの廊下。急に話が小さくなった。人間臭さを描いた笑い話
8. 神を見た犬。表題。神を信じない村の人たちだが、ふとしたきっかけで一匹の犬を恐れてしまう話。宗教臭い。
17. 病院というところ。これはすごく好き。これが病院というところなのだ。
19. クリスマスの話。いい話。
21. 戦艦トート。これだけすごく長い。内容の割に。 -
Posted by ブクログ
上手くいかないから不幸なのではない、貧しいから不幸なのではない、それだから不幸なのだと思ってしまう考え方が不幸なのだ。ブッツァーティの小説は読者に主人公の人生の最後に立ち会わせそれを問いかける物語だ。一元的な物の見方を否定し物事に違う観点を与える。10代の頃彼の長編「タタール人の砂漠」で頭をガツンとやられた。それと同じ感覚がこの短編集にも詰まっている。謎の怪物コロンブレに殺されまいと逃げ続けた男の話、護送大隊をたった一人で襲撃しようとする年老いた山賊の話。ラストですべての不幸が幸福に代わり、幸福が不幸に入れ替わる。この世界のことはすべて脳内で起きている。他人の視点は何の意味もない。自分の人生が幸福か不幸かは誰が決めるのか。自分の脳が決めるのだ。ザックスナイダー監督が私のお気に入り映画「エンジェルウォーズ」で伝えたかったのもそれだと思うがリアルな映像ゆえに成功したとは言い難い。でもテーマは同じ。自由への鍵はそこにある。
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Posted by ブクログ
感想は、「たのしい!おもしろい!変!」
そんな短編集です。
ユーモアがあって、ついにやにやしながら読んじゃう。
一気にだいすきな本になりました。
また数年後に読み返したい。
とにかく突拍子もない本なんです。
設定も、展開も、キャラクターが考えることも、台詞も。
予想もつかないことが起きる。
作者のロダーリは、とっても想像力豊かで、発想が自由で、人と違う視点から物事を見られる才能を持っていたんだなあと感じます。
何事も、決まった形に収まらない。
そんなところが夢があって、
わくわくして、
各所に散りばめられたユーモアに笑っちゃって、
でもぴりりと風刺も効いた本です。
とっても素敵。世界を楽しくさせてくれる本に出逢いたい人にオススメします。
今、わたしの最上級の褒め言葉をこのレビューに詰め込んでます。