関口英子のレビュー一覧

  • 「幸せの列車」に乗せられた少年

    Posted by ブクログ

    少し不穏な空気を感じながら読み進めたが、主人公の少年が北部の家族から愛されて大切にしてもらっていたことに安心しました。実の母と自分の町から離れる道を選ぶことになった心の苦しみはいかほどなのか。子どもにそんな過酷なことを強いる社会や時代に心が痛みます。
    友人の少年のようにどちらも得ることができた人生もあったのではないか、と思わざるを得ません。
    最後に、母の死と甥を通してわだかまりを解消し希望を持つことができたことに救われました。
    以前読んだ『帰れない山』の翻訳者と同じ方だと知り、もっと関口さんの訳書を読みたくなりました。

    0
    2022年11月25日
  • マルコヴァルドさんの四季

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『梨の子ペリーナ』の再話者となっていたイタリア民話編纂の巨匠イタロ・カルヴィーノ氏の手掛けた児童書。

    ズバーブ商会の倉庫の人夫として働くマルコヴァルドさん。
    思いついた妙案を熟慮せずに行動に移してしまい、いつも期待していたのとはちょっと違う結末(どちらかというと失敗)にたどり着いてしまう。
    妻とたくさんの子どもらを抱え、かつかつな暮らしを送りながらも自然を愛でる心に溢れ、人並みな欲はあるけれど後先見ずに突き進んで窮状を脱せない様は返って善良さが滲み出ていてにくめない。

    そんなマルコヴァルドさんの春夏秋冬季節にひとつのエピソードを5周繰り返す形での連作短編集。

    比較的あっさりとはしているが、へんてこエピソード達の間に、「おいおい。。。」といった呆れや忍び笑いあり、人間の心の浅ましさを垣間見るものあり、ときには一抹の切なさを感じるものありと玉手箱的作品。
    挿絵がいい感じ。

    0
    2022年11月23日
  • 「幸せの列車」に乗せられた少年

    Posted by ブクログ

     本を読めば、国語が得意になるとは思わないが、知識は豊富になる。
    戦後のイタリア、貧しいナポリから、比較的豊かな北の都市へ連れられていった子どもたち。そこでたとえ豊かな生活が送れたとしても、実の親と引き離された事実は、子どもたちの人生に瑕疵を残す。
     戦争は、今だけでなく、未来にも暗い影を残すことを私たちは忘れてはならない。

    0
    2022年11月19日
  • すごい物理学入門

    Posted by ブクログ

    新聞のコラムとして投稿した記事をまとめたもの。平易な文章で宇宙や量子力学の最前線を紹介してくれている。前著のすごい物理学講義を読んだ後だからか、大まかな内容だなと感じたけど初手としてはその魅力に触れる意味で最適かなと。

    最終講義が秀逸。著者の学問の意味、自然科学と人文学の垣根を超えたシンクロなんかを諭してくれて、人間の好奇心、探求心は果てしないし心が躍る。そう、未知のことへの挑戦は人間の性なのだ。人間も自然のほんの一部、自由意志なんてものはないのではという不安を、自然の一部である脳ニューロンの決定という自然の法則に従っている限り自由なのだと。読んでいると浮遊感がすごい。スピノザの一元論(汎神論)にも言及しており、ここにも人文学と自然科学の融合が垣間見れる。
    「統合情報理論」にも食指を伸ばすしかなくなるな。知識欲がリンクして、これこそが学ぶ楽しみですね。

    P130
    いいえ、そうではありません。私たちを形づくっているものの何ひとつとして、自然の法則に従わないものはありません。・・・私たちが自由であるいうとき、・・・それはつまり、私たちの内部にある、脳のなかで起こっていることによって私たちの行動が決定づけられており、外部から強要されたののではないということです。「自由である」とは、なにもなにも私たちの行動が自然の法則に左右されないということではなく、私たちの脳の中で作用する自然法則に従っているということなのです。

    とはいえ、ループ量子重力理論なんてものを自分で語れるくらいに理解できるのは、もっと専門的な書籍に挑戦するしかないのでしょう。
    ”P146「世界に対する新しい視野」を身につけること”は一朝一夕ではか叶わないが、在野の人間として愚直に真摯に歩んでいきたいと勇気づけられました。

    0
    2022年11月13日
  • 13枚のピンぼけ写真

    Posted by ブクログ

    最初は血気盛んな言葉で、すぐ戦争は終わると考える。
    いつだってそうだ。
    しかし、現実は違う。一般人も犠牲になり、自国の軍人からも謂れのない罪で投獄され、家や仕事や食べ物を失い、命を失うような思いをする。
    そのような、現実が描かれている。

    物語の中での救いは、強い女性たちや困っている人を助けようとする司祭さまや人々。

    最後は未来に向かって進む姿で終わって良かった。

    0
    2022年11月01日
  • マルコヴァルドさんの四季

    Posted by ブクログ

    期待以上におもしろかった!

    おもしろさの方向性で言えば、「サザエさん」のようなおもしろさだ。
    登場人物たちの思考や行動が容易に予想できて、その結果も予想できてしまう。
    「あ~あ、またあんなことして、もう、サザエは。」みたいな。

    この本では、マルコヴァルドさんの春夏秋冬に関する短いお話がたくさん収録されていて、四季が何周もする。
    四季が何周もするのに、マルコヴァルドさんは懲りない。まったく懲りない。
    毎回、「マルコヴァルドさんか家族がなにかを見つける・思いつく→大喜びでそれにくいつく→うまくいかずにがっかりする」という展開だ。

    個人的にとくに愉快だったのは、
    スーパーの話(家族でスーパーに行ったけどお金がなくて何も買えないから、カートを押して買わない商品を入れることを楽しむ・・・)
    洗剤サンプルの話(こども達が洗剤サンプルを大量にあつめて売ろうとしたが・・・)
    バスを乗り過ごす話(マルコヴァルドさんが知らない停留所で降りてしまい、目的のルートに戻るために四苦八苦・・・)

    0
    2022年09月10日
  • 神を見た犬

    Posted by ブクログ

    帯には「奇想」とあるが,童話や寓話のような話が多い.またキリスト教の影響が色濃いなあ.といっても,敬虔ではなく皮相的.

    0
    2022年08月20日
  • すごい物理学入門

    Posted by ブクログ

    カルロ・ロヴェッリといえば、ベストセラー「時間は存在しない」の天才物理学者
    個人的には「科学とは何か」に次いで2冊目

    こちらは「世界一わかりやすく美しい『七つの講義』」が売り文句
    対象者は一応(ワタクシのような)初心者向け

    ついつい備忘録を書きたくなるが、本書はそんなことより圧倒的な何か大切要素が詰まっており、
    未だかつて体感したことのない不思議な感覚の理系書籍である
    何が凄くてベストセラーとなったか…について、私なりの分析を踏まえご紹介したい

    まず一番驚くのがものすごく凝縮されているのにも関わらずしっかり伝わる凄さ…だ
    そう、ギュッと凝縮しているのにバンバン伝わる
    素晴らしくコンパクトにまとまっている(文庫本としても全く厚くない)
    そして「量子力学」や「一般相対性理論」などの複雑難解な物事をこれほど柔らかくほどいて説明できるというセンスはお見事
    なんだかまるでエッセイでも読んでいるような緩めの心構えで大丈夫なのだ(理解できているかは別だがイメージと概要は掴める)

    一つ例を挙げてみる
    アインシュタインの理論が理解できなくても、以下の内容は理解できる
    〜アインシュタインによって、宇宙は爆発とともに誕生し、空間は出口のない穴に沈みこみ、時間は惑星に近づくほどゆっくり流れ、果てしなくひろがる星間空間は海面のように波立っているという、驚きに満ちた世界のようすが記述された〜
    神秘的で美しく、イメージが湧くはずだ

    そして理系の本なのに、著者が誰であるか全く見えないようなお堅い教科書的な書ではなく、彼の個性がきちんと見える
    だからといって、昨今にありがちな「いかに理系の苦手な方にも受け入れてもらえるか」に力を注いたような涙ぐましい努力が見え隠れする書とは全く違う(笑)
    いくつかの詩を挿入させたり、(先日読んだ某書では清少納言を絡めておられた…ような)文系要素を押し込んできたり、
    はたまた小説家を気取った著者のプライベートが語られたり(ありがたい反面、ちょっと無理があるなぁと感じることも…でも別にクレームではございません)

    しかしながらカルロ・ロヴェッリの場合、哲学的でセンスの良さが光り、揺れのある感情さえも物理学の中で大切にする…
    恐らくユーモアと愛情に溢れた人物なのではないだろうか
    そしてこれは私の偏見なのだが、イタリア人らしさをしっかり感じることができる
    (読みながら「ベーネベーネ」と何度も偉そうに頷いておりました)
    このような心に響く科学の本があるとはちょっと驚き

    世の中の仕組みを知る
    自然を知る、世界を知る、宇宙を知る…
    すなわち己を知ることに繋がる
    そうすることで何か人間としての生き方さえも学べ、この地球で生きるための義務や姿勢さえも感じることができる
    広く深く
    押し付けがましくなく
    自然なのに圧倒的な…(ちょっと盛り上げすぎだけど)
    そんな魅力的な内容であった

    ただ、「一般相対性理論」とは何ぞや…というピンポイント知識の為だけの書籍としては物足りないのでそういう期待をして読む本ではないかな
    そこを求める人にはちょっと満足できないかも

    とりあえず次の「すごい物理学講義」も読んでみたい


    0
    2022年08月06日
  • 古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活

    Posted by ブクログ

    紀元115年、トラヤヌス帝治世下における古代ローマの1日を再現し、その社会構造や人々の生活について解説。
    まさに古代ローマの街中を見て回っている感じで、知的好奇心を満たしてくれる一冊だった。
    人々の間の格差や都市の過密など現代社会にも通じる問題があったことや、古代ローマの社会では奴隷の存在が基盤となっていたことなど、勉強になった。なお、古代ローマでは尿で洗濯していたというのが一番驚いた。

    0
    2022年06月29日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

    Posted by ブクログ

    物語の結末を創造する。
    学校の授業で是非受けたかった。
    作者の3様の終わりのパターンを分析するだけでも、自分の想像の殻を破る助けになりそうだ。

    0
    2022年04月24日
  • すごい物理学入門

    Posted by ブクログ

    前提知識がなくても自然界の物理法則の概要がなんとなくはイメージできるようになる本。
    物理学をしてこなかった人からしたら世界の見え方がガラッと変わるだろう。
    本書の言葉でもあるが、「科学は見方」である。
    理系アレルギーみたいな人にとっては難しい理屈や数式に拒否反応があるのかもしれないが、科学とは視覚的なものであり、見方が身につくことで豊かになるものだと、感じさせてくれる。
    物理学から更なる感動を得るために、もっと勉強していきたいと思えました。

    0
    2022年03月31日
  • 猫とともに去りぬ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ファンタジー短編集。表題作は、飼い猫として暮らせる道があることを羨むべきか、猫でなければ家に居場所もないことを嘆くべきか、どうにも悩ましい。非現実をさも当然のようにすらすら描かれ、頭の柔軟性が試された。とっぴな空想の中に現実社会への皮肉も読み取れ、執筆された当時のイタリア社会が気になるところ。もはや児童文学の枠を越えていると思うが、どの話もロダーリのユーモアに溢れ、最後まで楽しく読めた。

    0
    2022年03月24日
  • ぼくたちは幽霊じゃない

    Posted by ブクログ

    生まれ育った祖国を離れ、言語も文化も違う国へ命懸けで渡る、、、それがどれだけ辛いことか、、、
    よく「難民を乗せた船が転覆」というようなニュースを目にするが、それは氷山の一角で、世の中には私たちの知らないところで命懸けで生きている人が本当に沢山いるんだと思う。

    0
    2022年03月19日
  • すごい物理学入門

    Posted by ブクログ

    いやループ量子重力理論についてはまったく知らなかった。ひもが主流なのだと勘違いしていた。
    細かいところは全然わからないが、量子論の自然な拡張に思える。

    0
    2022年01月11日
  • すごい物理学入門

    Posted by ブクログ

    現代物理学や量子重力理論について解説されている本。同著者の他の本と比べると、易しくてパパっと読めるエッセイ風の解説書だが、人間とは、意識とは、自由意志とは、などもテーマに取り上げられていて、興味深かった。

    0
    2022年01月01日
  • 猫とともに去りぬ

    Posted by ブクログ

    なんだか不思議な世界に誘われる短編集。
    家族共々魚になってベネチアの運河を泳ぎ回ったり、ヤマハのバイクと結婚したり。。
    一見キテレツな短編だが、皮肉や風刺がきいていて、イタリアってこんな土壌もあるんだと。
    ロダーリは、イタリアでは教科書にも載っているぐらい有名な作家。

    0
    2021年10月29日
  • ぼくたちは幽霊じゃない

    Posted by ブクログ

    アルバニアからイタリアへと命がけで渡ってきたヴィキたち家族。
    不法移民の生活を七歳の少年の目で描くため、理由がわからなく突きつけられる不遇さへの恐怖が際立ち、不安や疑問が膨らむ。
    つらい境遇の中での家族の温かさに心救われる。

    0
    2021年10月01日
  • すごい物理学入門

    Posted by ブクログ

    『時間は存在しない』のカルロ•ロヴェッリ。
    解説では、リベラルアーツ的な知の在り方を考えさせられたというようなことが書かれていたが、読んでいると最近読んだ哲学書との重なりが見えてきて、面白い。

    自由意思とは何か。
    まさか物理学の本でもこの問いに触れるとは思わなかったのだけど、ある本では「偶然性」と述べていたように、この本の言葉を使うとすれば「確率」の一つなのかもしれない。

    一般相対性理論と量子力学の世界の見え方?の違いも、面白い。なのに、両方それぞれもっともらしく、またその考え方があったから、進んだものがある。

    「世界の圧倒的な傑作といえるものは、いずれもその真の素晴らしさを理解しようと思ったら、一定期間の修業を積むことが求められます。努力をすれば、純粋な美という褒美を手にできるだけでなく、世界に対する新しい視野もひらけるのです」

    0
    2021年08月24日
  • 戻ってきた娘

    Posted by ブクログ

    妹のちょっと舌足らず的な喋り方が(訳し方?)とてもすんなり入ってきてこの小説のアクセントになっていて、すごく好き。
    個性的な兄妹や環境、主人公の心情が痛いほど伝わってきてこの作者と訳者の他の作品も読みたくなった。

    0
    2021年08月18日
  • すごい物理学入門

    Posted by ブクログ

    数式や難しい話は全くなし。
    だけど理論の概略はわかる。
    難しいことを易しく語るのは非常に大変だからこういう本は貴重。

    0
    2021年02月28日