山本周五郎のレビュー一覧

  • 柳橋物語

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    柳橋物語を読むうちに、主人公の運命が薄々分かってきて苦しくなりました。早く結末が読みたくて仕方がなくなります。幸太の男気に胸がとても締めつけられ、その時の切羽詰まった状況が押し寄せてきました。地震や火事が起きても少しずつ生きていこうとする江戸の人々が印象に残りました。

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    2013年11月20日
  • 山本周五郎中短篇秀作選集 2 惑う

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    他の短編集で「おたふく」を読んで気にいっていたのだが、3部作のうちの一つだったんだ。
    おしずさんにそんな悲しい境遇だったなんて知らなかった、幸せになってよかった。
    私もおしずさんのように、不幸を明るく笑いとばせる人間になりたいなぁ。

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    2013年11月13日
  • 天地静大(下)

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    激動の時代にありながら、主人公の透は自分の学問を守りぬくことを改めて決意する。
    『たとえ時世がどう変わろうとも、この山河は動かない』
    『そうだ、人間が苦しんだり悩んだり、殺したり愛し合ったり、権力の争奪に狂奔したりしているとき、山河はいつも変わらず、このように静かに、重おもしくしっかりと存在しているんだ』

    地震で親を亡くした子供達へ愛情を注ぐ”なお”の存在は、普遍的な人間の温かさと、人として時代にブレずに持つべき大切な価値観を訴えかける。

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    2013年11月10日
  • 天地静大(上)

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    幕末の東北の小藩、中邑藩を舞台にした歴史小説。
    佐幕派か王政復古派か、激動の世の中での若者たちの生き方を描く。
    主人公の杉浦透は、ノンポリを貫き学問に打ち込もうとするが、世の中の流れを無視するわけにはいかない。
    時代背景、舞台設定が興味深い。

    以下引用~
    「投げられた石の波紋が、しだいに水面をひろがってゆくように、時代の動きが隅ずみへ、しだいに広く、どこでも浸透してゆくんだ。
    この動きから逃れることはできない、この波動を乗り切るか、押し流されるか、沈んでしまうか、何れにしても避けることはできないだろう」

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    2013年11月02日
  • ちいさこべえ 1

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    実は「ミネタロウ」氏になってから初めて読んだ作品。
    やっぱり好き。独特の間と変なギャグ。
    と、なんかモヤモヤするなんともいえない雰囲気。
    長髪髭もじゃで顔の見えない茂次と、横顔や後姿で顔の見えない時のりつのサラサラと音がしそうなボブが良い。

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    2013年10月26日
  • ちいさこべえ 1

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    連載を読んでいる。ミネタロウ以降,作画がとても丁寧になり一つ一つのコマが作品足りうるように意識しているかのようだ。それはとても静的な雰囲気を持っている。読んだら終わり,という漫画を脱却していこうとしているのかもしれない。画を所有したいという,浮世絵以来の漫画の原型にあった価値を再度立ち上がらせようとしているのだろうか。

    しかし峯太郎期にあったグルーヴを捨て去ってしまうのは少しもったいない。

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    2013年10月08日
  • 樅ノ木は残った(中)

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    中巻では主人公の原田甲斐のキャラクターがより明らかになってくる。
    くびじろ(大鹿)との対峙の場面では、孤独に身を置きながら(それゆえ)、強い信念を持ち続ける甲斐の心情をよく表しているともいえる。

    最終巻(下巻)に向けてサスペンス的に物語は進行していく。

    以下引用~
    ・「人間は壮烈であろうとするよりも、弱さを恥じないときの方が強いものだ」

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    2013年09月28日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    「伊達騒動」を題材とした歴史小説。
    当時も政治の世界はドロドロとしていて、その中で信を貫くことがどこまで通用し状況を変えられるのか。
    お家騒動から当時の幕府と藩との関係、藩政治の仕組み等、勉強になる。
    単に勧善懲悪の小説ではないところにこの小説の面白さがあるのかもしれない。次巻が楽しみ。

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    2013年09月17日
  • 夜明けの辻

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    短編集。冒頭の『嫁取り二代記』が好き。この人のヒューマンコメディは素朴で最高。クスクスと笑ってしまう。 

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    2013年09月14日
  • 町奉行日記

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    山本さんのBESTとは言いませんが、なかなか良い本です。
    特に10の短編が発表順に並んでいるのが興味深い。戦前の如何にも青少年向けの作品から、円熟期にかかる昭和30年過ぎまで、周五郎さんの成長ぶりがよく分かります。
    本当に山本さんは成長し続けた作家さんで、短編の出だしを少し読むと何時頃の作品か判ります。例えば勧善懲悪を描く場合、初期は言葉で直接に声高な善を主張し、少しするとストーリの中で明快な勧善懲悪を描きます。そして最後には、時に悪が跋扈し善が虐げられるままで物語は終わり、余韻の中で「それでも善が・・」と語っているようる作品集です。また「滑稽もの」が多いのも特徴的です。
    新潮文庫の周五郎さん

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    2016年06月19日
  • ながい坂(下)

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    ネタバレ

    下巻の初めは刺客から身を隠すために
    新畠や長屋での生活を余儀なくされるものの、
    後半はとにかく物事が良好に進む進む。

    ただ、表立った危機を感じさせないのは
    主人公である主水正の慎重かつ
    機会を計る上手さ故であるともいえるだろう。

    それ故、後半は切り合いのような物理的な戦いはなく、
    政治的な駆け引きが続くばかりとなり、
    スカッとする爽快感はなかった。

    様々な苦労や経験をして成長していく主人公が、
    親兄弟や子供に対する
    シビアかつドライな考え方や
    昔の恩師の死に目に素直に会いに行こうとしない
    潔癖さを最後まで変えないのが
    不完全さを出していて却って良い。
    どうせ自分に報いが返ってくるだろうか

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    2013年08月25日
  • 栄花物語

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    歴史上は悪評のある田沼意次が、評価の高い人物として描かれていて、しかも無理がなくしっくりくる物語となっている。自分の好きなことをしないと良い人生とは言えないとする一方、人との関わりの中で、また日常の環境の中で生きている、ということをモチーフとしている。13.8.13

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    2014年03月11日
  • 日本残酷物語 1

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    気が滅入って読むのが辛い本でしたが、決して遠くない日本の現実物語でした。忘れてはいけないと思います。

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    2013年08月06日
  • 雨の山吹

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    「彩虹」「恋の伝七郎」「山茶花帖」「雨の山吹」「いしが奢る」が良かった。
    江戸を背景とした物語の雰囲気が好き。味があって温かみもある綺麗な恋愛話。

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    2013年07月31日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    【100冊目】私の大好きな山本周五郎の作品。伊達騒動に新解釈を加えた山本周五郎の代表作品。

    悲劇的な結末が待っているからこそ、周五郎の「生」への賛歌が際立つ。
    死ぬことより生きることの方が何倍もつらいはずだ、という周五郎の哲学に胸を打たれます。

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    2013年12月12日
  • 風流太平記

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    花田三兄弟のそれぞれの個性がおもしろい。特に三男の万三郎の明るさと人を信頼する面が清々しい。13.7.27

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    2013年07月27日
  • ながい坂(上)

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    ネタバレ

    徒士組頭の父を持つ小三郎(後の三浦主水正)は、
    自分たち親子の普段使う橋が取毀された様子、
    そしてそれに対する父の対応を目の当たりにし、
    その時から年相応の子供ではいられなくなった。

    所謂成り上がりものの話だけれども、
    主人公の成り上がりのための動機が
    なんとも直感的で衝撃的。

    大人になってからは
    妻との確執や藩内の権力者達の陰謀、
    過去の事件の謎が複雑に絡み合い、
    更には得体の知れぬ刺客との戦いもあって
    様々なエンターテイメント性を持っている。

    仲間も増えていくのだが、
    一方で裏切り者の存在も発覚する。
    そんな中で主人公の三浦主水正は
    果たして人格者であり続けることができるのか。

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    2013年07月21日
  • 正雪記(上)

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    由井正雪。通説で言われる人物像を切り崩す。圧倒的な筆致力と深みのある内容。前半は島原の乱までの浪士との触れ合いを描く。周五郎の時代歴史小説はやはり群を抜くな〜。

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    2013年07月20日
  • ならぬ堪忍

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    山本周五郎の戦前の作品を集めた短編集。
    意外と読みやすく一日で読めます。
    世間の風聞などは信を置くに足らぬとする山本周五郎の考えがよくわかる。「樅の木は残った」の源流を見出す作品もあり、また人間の言動というのは、実は深いし、一面を見るだけではわかるものではないと思わされます。
    山本周五郎の作品は深くて本当にいいです。
    鴉片のパイプは、山本周五郎はこんな作品も書くのかと驚きましたが、いや表現が素晴らしい。肉薄し、息のむ感じでした。

    浪人走馬灯の
    「命のない一塊の道具が、人間の運命を狂わせる、それがむやみに腹立たしかったのです。」

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    2013年06月26日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    伊達藩に対する幕府の陰謀にただ一人立ち向かった原田甲斐の話。
    描き方が人情深く、ただそのことだけでなく、いろんな角度から「人間」というものを浮かび上がらせる感じがします。すごく静かな感じで書かれていて、原田甲斐も多くは語らないのですが、小説自体の書き方も静かな、でも重厚、それでも寄せ付けないような感じではなく、惹きつけるような感じ。

    山本周五郎とのことで、重く難しいイメージはありました。確かに最初は人名が違う名前で書かれたりして、覚えるのが大変でしたが慣れてくるとすいすい読めます。

    中も楽しみです。

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    2013年06月27日