あらすじ
深川の小さな娼家に働く女“おぶん”の、欺かれることを恐れぬ一途なまごころに、年上の“おひろ”の虐げられてきたがゆえの不信の心が打負かされる姿を感動的に描いた人間賛歌「つゆのひぬま」。そのほか、江戸時代を舞台にした作品7篇に、平安朝に取材し現代への痛烈な批判をこめた「大納言狐」、現代ものの傑作「陽気な客」を加え、山本周五郎のさまざまな魅力を1冊に収めた短篇集。
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「武家草鞋」
「みんな、金、金、金・・・だ。この世は腐ってる。世間全体が欺瞞と狡猾の組み合わせだ!」と、伝三郎はこの世に絶望し、死を求めて深山に入る。
が、老人と娘に助けられ、一緒に暮らすうちに生きる力を取り戻す。草鞋を作り始めたところ、「丈夫だ」「長持ちする」と大評判になる。しかし、またしても、世間の荒波が伝三郎をおそう・・・!
山本周五郎が昭和20年10月に著した傑作!!
(九州大学 大学院生)
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「つゆのひぬま」とは「露の干ぬ間」である。 深川の小さな娼家に働くおぶん不幸な過去を持つ良助を客にとる。 年かさの娼婦おひろは、労咳の浪人の夫と子供をかかえている、と自分の身の上話を作り上げ、金をためるのに励んでいる。 おひろは、客との間に真実の愛は育つはずがない、といい、またそうなってもならないと決めている。 おひろにいわせれば「どんなに真実想いあう仲でも、きれいで楽しいのはほんの僅かの間、露の干ぬまの朝顔、ほんのいっときのこと」なのだ。 おぶんにそう忠告するのだが、おぶんはそれでもだんだんと良助を待つようになる。 ラストシーン、大洪水で屋根の上にとり残されたおひろとおぶん。愛情に不信感をもっていたおひろは、助けにきた良助の真実の愛にガツ〜ンと一発くらわされるのだ。 自分のためた全財産をおぶんの懐に押し込み、おぶんを良助の船にのせ「・・・・つゆのひぬま・・・・といったのは取消してよ」と、一人屋根に残る。 おひろはこの先どうなるのかもわからないが妙にすがすがしいのだ。 私の場合、結婚して28年もたった(もった?)のだからつゆのひぬまというわけではないかも。。。。。しかし、人生そのものはあっという間、つゆのひぬまですね。
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「つゆのひぬま」とは「露の干ぬ間」である。
深川の小さな娼家に働くおぶん
不幸な過去を持つ良助を客にとる。
年かさの娼婦おひろは、労咳の浪人の夫と子供をかかえている、と
自分の身の上話を作り上げ、金をためるのに励んでいる。
おひろは、客との間に真実の愛は育つはずがない、
といい、またそうなってもならないと決めている。
おひろにいわせれば
「どんなに真実想いあう仲でも、きれいで楽しいのはほんの僅かの間、
露の干ぬまの朝顔、ほんのいっときのこと」
なのだ。
おぶんにそう忠告するのだが、おぶんはそれでも
だんだんと良助を待つようになる。
ラストシーン、大洪水で屋根の上にとり残されたおひろとおぶん。
愛情に不信感をもっていたおひろは、助けにきた良助の真実の愛に
ガツ〜ンと一発くらわされるのだ。
自分のためた全財産をおぶんの懐に押し込み、
おぶんを良助の船にのせ
「・・・・つゆのひぬま・・・・といったのは取消してよ」
と、一人屋根に残る。
おひろはこの先どうなるのかもわからないが
妙にすがすがしいのだ。
私の場合、結婚して28年もたった(もった?)のだから
つゆのひぬまというわけではないかも。。。。。
しかし、人生そのものはあっという間、
つゆのひぬまですね。
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昭和二十年初頭から三十年初頭にかけての周五郎の作品集です。
周五郎さんが大きく脱皮するのが二七年頃といわれていますので、それを挟んだ数年になります。幾つかの作品は脱皮前とは言うものの、その中でも優秀な作品が選ばれているのでしょう、全体としての質は高く感じられます。
とはいえ、やはり後ろに行くほど、例えば”水たたき”などの作品は、構成も複雑で、物語としての深みは増すようです。
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「武家草鞋」「つゆのひぬま」がよかった。「つゆのひぬま」は、昔吉永小百合と長谷川裕美子、松山政路というキャストでドラマになっていて、それをCSでみて読んでみた。
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戦後から、昭和30年をすぎた頃の作品。この頃の作品はおもしろく、良くできている。「武家草鞋」「凍てのあと」「つゆのひぬま」が良かった。13.5.9
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非常に面白かったです。
江戸の市井に住む人間の哀歓がこんなにもうまく書ける作家はもう出ないんじゃないでしょうか。正統派歴史小説です。
筋の一本通ったうつくしい物語たちでした。
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亡父の蔵書より。
初山本周五郎。氏の名は作家としてよりもネスカフェのCMでまず耳にした。
かつてはなにがあろうともこの種の作品を手に取るような読み手ではなかったが、機会があれば読むくらいの活字廃にはなったようである。
近頃強いて読むようにしてみた文学作品も、題材そのものには興味がなくとも、文章の美しさやおもしろさで惹かれることもあると知った。本書も、そのように読めた。
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就職してじっくり小説読む暇もなくなってから、
すっかり周五郎の短編ばっかり読んでます。
古本屋で順番も気にせず適当に買ってきてるんだけどどれ読んでも面白い。
今回読んだ中では「妹の縁談」が良かった。
前に読んだ「おたふく」と同じ話で男性から女性に視点を変えたお話。
冷静と情熱のあいだみたいな。あれは青しか読んでないけど。
好きな話だったから別視点の話が読めたのは嬉しかった。
武家もの、町人ものいろいろ入っててバランス良くまとまってました。
ただ、やっぱ周五郎の現代物はあんまりハマらない。
歴史ものの中で浮いてるからだとは思うんだけど何でかなー。
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なるほど「大衆文学」というにふさわしい、受け入れやすい・解りやすい・面白い文学である。山本周五郎デビューであったが、なんとも面白く、一気読みしてしまう。テレビドラマのような、受け入れやすいストーリーと人物描写のなかに、深い人間愛が感じられて、なるほど世間の評価の通り、山本周五郎の中毒性のすっかりハマってしまう作品群である。特に「武家草鞋」は最高にカッコイイ。