山本周五郎のレビュー一覧
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昭和15年の『松風の門』から昭和39年の『醜聞』まで。武家もの、滑稽もの、下町もの、現代ものと色々な作品が集まった短編集です。
明らかに少年少女を対象にした、初期の表現も直接的で、世相を反映し修身的な(修身的ラノベ?)作品が、次第に間接的で深みを持った表現に進化し、さらに善悪を超えた「性」を飲み込むような如何にも周五郎さん的な人間洞察に至る過程が良く判ります。
特筆的なのは、時代小説の中でレスビアンを題材にした『薊』。時制を複雑に交差させて、何とも言えない雰囲気を醸し出します。
最も私の好きな周五郎さんらしいのは『釣忍』。人情物の傑作の一つでしょう。 -
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ネタバレ17篇からなる短編集。
「笄堀」
忍城対石田三成。真名女は城主である夫の留守を守っていた。兵のほとんどを夫が率いていってしまったため、残された僅かな兵、女や領民を指揮して堀を作る。密かに真名女自身も作業に加わり、そのことで領民達の結束が強まった。決意を語る真名女の強さが美しい。
「忍緒」
真田信之の妻、松子は夫の留守中に尋ねてきた舅の昌幸の入城を拒みとおす。霧の朝、親子で見送る姿が切ない。
「襖」
粗暴で気性が荒いと評判の西村次郎兵衛のもとに阿市は嫁ぐ。日頃の振る舞いを抑えさせるための婚姻だとして、次郎兵衛は阿市に心を許さない。だが戦が迫り、彼女の心を知り…。北風と太陽のような話。阿市の、 -
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周五郎さんの文庫本はほぼ全て持っているつもりなのですが、調べてみるとやはり何冊か漏れてます。ついでに揃えようと買った本の中の一冊です。
おそらく再読なのですが、周五郎さんにハマったのは結構若いころ。内容はすっかり忘れています。
タイトル通り『柳橋物語』と『むかしも今も』の2つの中編からなる一冊です。どちらも二人の男性と一人の女性の恋を描いた町家物作品です。男性はどちらもキリッとした目端の効く男と、人は良いが少々愚図なその友人。山本さんですから、同然、後者と女性が中心になります。ただ、結末は大きく違います。
それぞれ昭和21年と24年の発表作。周五郎さんで言えば、まだ円熟期前と言えるでしょう。充 -
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ネタバレ短編集。
「恋芙蓉」
伊達政宗の長沼城攻めが舞台。朱兜隊隊長の勘三郎は従妹の小菊を嫁にしたいと思っていたが、小菊と親友の鞆之助とが恋仲にあることを知る。恋敵である鞆之助を政宗の元へと使者として走らせることで命を救い、それを知った鞆之助は戦場へと取って返すが…。
「孤島」
大阪へと向かう船旅で、欣之助・夏江兄妹は仇討ちの相手である栖崎十次郎に出会い、下船したら決着をつけることにする。しかし船は台風によって難破し、三人は無人島へと流れ着いた。支え合い生活していく中で十次郎は夏江に密かに思いを寄せる。だが世間に戻れば彼らとは共に生きられないという現実に十次郎は救助船を見つけるや、腹を切る。
「非