山本周五郎のレビュー一覧

  • 月の松山

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    あんまりピンと来なかったです、正直申し上げまして。
    一番気になったのは「荒法師」。意識高く時代を生き抜くってことはこれだけの作家をもってしても至難だと痛切に感じます。解説でそうではないと主張していた旨の記載がありますが、無理筋ですもん、素直に考えると。それだけに凡民は慎重に過ぎることはなんだろうと思います。

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    2021年05月08日
  • 雨のみちのく・独居のたのしみ

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     ①たいせつなのは「生きている」ことであり、「どう生きるか」なのである。こんにちを充分に生きる、こと以外に人間の人間らしいよろこびはないのだ。②人間は五十歳を越すころから、ようやく世間の裏表や社会構成のからくりや人間感情の虚実を理解できるようになる。③健康法とは「しかじかかくかくのことをする」というのでなく、毎日どのようにくらすか、ということではないかと思う。④男というものは、ときどき「おれはこんなばかな人間だったのか」と思って冷や汗をかくものだ。山本周五郎「雨のみちのく 独居のたのしみ」1984.12発行

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    2021年04月19日
  • ならぬ堪忍

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    ★3.5かなぁ、どの作品にも起伏がしっかりついていて読みやすい。
    戦前の短編集ということですが、表題作の発表時期を考え合わせるとこの作家の心根はどこにあるか?は想像するに難くなく。

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    2021年04月02日
  • 四日のあやめ

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    昔人の日常や非日常。
    退屈と思えば退屈。だけど、今も昔も人情は変わらず。
    書かれたのが昭和20年代というのも感慨深い。

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    2021年02月11日
  • 正雪記(下)

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    由井正雪。時代は関ヶ原合戦後、大阪の陣、島原の乱を経て、大名の取り潰しもあり、世の中には、浪人が溢れていた。由井正雪の乱とは何だったのか。幕府はなんとでも言う事が出来たのであろう。
    この世の中に対し、由井正雪は、何を訴え、成し遂げようとしたのか。
    大作であり、読み応えある一冊でした。

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    2021年01月22日
  • 正雪記(上)

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    由井正雪。一介の染屋職人の倅から始まる。書物、勉強が好きで、広く修行して、なにごとにも怖れないちからをやしない、一人諸国をさすらう。
    志をもち、堂々と歩みを進めていく姿に驚きました。引き込まれますね。

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    2021年01月19日
  • 戦国物語 信長と家康

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    初山本周五郎作品。 手始めに読み易い題材の短編集を手に取った。 やはり読み易くこの時代の価値観に好感が持てるのが時代物の良い所か。 周りから見た信長、家康の人間性が描かれていて又一話一話の物語がとても読後感が良い。 少し時間が空いた時にさらっと読むにはもってこいの作品。 他の有名どころの作品は難解そうなイメージがあるがいつかチャレンジしようと思う。

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    2020年10月21日
  • 五辯の椿

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    時代背景や設定を変えていろんなドラマなどで見る話だと思った。親子の情愛や男女の肉欲、当時の時代背景による女性の取り扱いの不当さ、復讐が描かれていて、あらすじをあまり知らずに読み始めたらなかなか苦しい気持ちになった。
    しのさんには手を汚さず幸せになって欲しかった…

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    2020年06月28日
  • 寝ぼけ署長

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    地方都市の警察署に赴任してきた署長が数々の事件を解決していく様子を、近くで見ていた主人公が回想している。いつもぐうぐう居眠りしている署長は「寝ぼけ署長」と呼ばれ無能だと評判も立つほどだったが、赴任中の犯罪事件の数も少なく貧民をはじめ住民たちからの信任も厚い。
    署長は常に貧しい人たちの味方側に立ち、権力者やお金持ちに対する視線は厳しい。

    「犯罪は懶惰な環境から生れる、安逸から、狡猾から、無為徒食から、贅沢、虚栄から生まれるんだ、決して貧乏から生れるんじゃないんだ、決して」

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    2020年05月24日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    仙台藩主・伊達綱宗は幕府から逼塞を命じられた。放蕩に身を持ち崩したからだという。明くる夜、藩士四名が「上意討」の名の下に次々と斬殺される。疑心暗鬼に陥り混乱を来す藩政に乗じて権勢を増す、仙台藩主一族・伊達兵部と幕府老中・酒井雅楽頭。その謀略を見抜いた宿老の原田甲斐はただひとり、藩を守る決意をする。


    会社の方から上中下巻3冊を一気にお借りした。
    私は時代小説がめっぽう苦手なのだが(ToT)

    読めないと返せばよかったが、せっかく貸して頂いたのでほんの少しでもと読み始めてみた。

    大の苦手の時代小説なのに、、、
    漢字は読めないし、言葉もわからない。
    1つ1つ調べながらだったが、これがどうにもや

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    2020年05月17日
  • 柳橋物語

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    若い頃山本周五郎の世界が大好きだったことを思い出し、20年振りにもう一度読み始めた。
    幸薄い人達が下町の人情に支えられて生きる張合いを見つけながら懸命に生きる姿を描く小説は、歳をとってから読むととても重い。
    私はもうすっかり価値観の違う世の中に生きていて、読んでいると歯がゆく、もどかしく、心が重くなるけれど、日本人としての美徳の根拠はここにあるような気がする。
    最後のオチに心救われた気がした。

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    2020年05月08日
  • 青べか物語

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    山本周五郎氏の自伝的小説といわれる。確かに、一人称の物書きの視点で書かれている。
    物語は、江戸川河口近くの地域が気に入って数年移り住んだ「先生」が、現地の人々とのやり取りや生活を描いたもの。手漕ぎボートのようなぼろ船を売りつけられ、それが青べかと呼ばれて地元の子にからかわれる。川岸に絵を書きにいったり、聞いたエピソードを小説に仕立てたりして、ほとんどは実際に著者が体験した実話のようだ。最後に、30年後に同じ土地を訪れてみた感想があり、興味深い。
    各小話は3ページほどと短く、独特の言葉遣いにも読むうちに慣れてくる。が、なかなか感情移入もできず、なにしろ地元の人が良く言えばしたたか、悪く言えば隙を

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    2020年01月09日
  • 五瓣の椿

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    国仲涼子主演の時代劇を見たのが最初だった気がする。
    会得した手管で男たちに復讐する娘の話。
    法では裁けないなら私が裁く、昔からよくあるテーマだけど、やっぱり裁いて復讐してあースッキリした!とはならないよね。
    自首するって言ったのに、耐えきれずというか間違っていたと悟り自害するあたりにモヤモヤ。まぁそのまま平然と日常生活に戻られてもモヤモヤなんだけど。

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    2019年10月28日
  • 赤ひげ診療譚

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    江戸時代の無料診療所で、性的児童虐待により精神不安になった患者、親に売られて売春婦として働く少女の性病治療、赤ひげ先生に感化されて上昇志向の若手医師が幕府の医師を断り、働き続けるこたなど。
    悪い人でもその中から良い部分を引き出さなければなど庶民の社会生活や人間感情を描いている。

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    2019年09月27日
  • ならぬ堪忍

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    山本周五郎の前期作品集
    発表順に収録されていて、最初の1,2作は「ふーん山本周五郎が昔書いたやつか~」という以上の面白みは…ない… 3作目あたりからおなじみの山周的ストーリー構成になっていると思う
    だいたい武士の話で出てくる主人公ほぼイケメン、ヒロインは美女!いや、いいんだけどさ…

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    2019年08月07日
  • 一人ならじ

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    この作家が上手いのは百も承知。
    それよりもこの短編集、ある程度時系列に並べたことによって、その時々の作家の立ち位置的なものがあぶり出された感あり。
    もしかすると編者はそれを狙っていたのかもしれないけれども、山本周五郎と言えども、追い詰められたのか、それとも鈍感だったのか、生きるとはそういうことか、と思わざるを得ず、好きな作家ではあるものの、読んでいて息苦しさを覚えることも否定できず。
    平和時代の戯言かもしれないけれど、それでも、だからこそ厳しい姿勢が必要かなと。

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    2019年07月15日
  • 人情武士道

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    御用人の佐藤欽之助は、妻を通して琴の稽古友達だった女から、夫の仕官の世話を頼まれる。その女が、かつて縁談を申し込んで断られた和枝であることを知った欽之助は、思いがけない行動で依頼を果たす……。

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    2019年06月26日
  • 小説 日本婦道記

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    某友人が、この2月にお子さんを出産されました。その時に、お医者さんから出産記念にもらった本だそうです。

    出産祝いに山本周五郎? どんな内容なんだ? 妙に気になりました。

    短編集です。古き佳き夫婦関係の物語がつづられています。
    武士の矜持の中での、こまやかで深い互いの思いやり。「婦道」と言うと凄いけど、女性の立場からつづられるからこういうタイトルなだけで、男にも女にも思い当たる内容ですね。

    思いのほかひらかなが多く、例えば柔らかい鉛筆ですらすらと書いたというような文体。穏やかで読みやすく、内容とともにじわっと浸透してくるいいお話の数々でした。

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    2019年06月10日
  • 一人ならじ

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    時代が映す日本。
    戦中に描かれた美学が、今も変わらない真実に思えるのは興味深い。
    薯粥と柘榴が秀逸。

    「一途不退転の働きをするのには、日常の生き方が大切だ、百石の侍に出世することよりも、足軽として誰にも劣らぬすぐれた人間になれ」

    その通りである。

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    2019年05月21日
  • 五瓣の椿

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    この作品では、いつものというか、自分の中のイメージとは違う山周。舞台設定はおなじみの江戸なのだが、お話がかなりぶっ飛んでいる。

    復讐劇なのですが、リァリティには少々欠けます。ということで、個人的には、山周の作品としては水準よりやや下の作品のような気がする。

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    2019年04月28日