山本周五郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めての山本周五郎。「柳橋物語」「むかしも今も」の2篇。
「柳橋物語」が宝塚の「川霧の橋」という演目の原作ということで手に取りました。丁度月組新トップコンビお披露目が博多座で公演してるところ。
「柳橋物語」
庄吉が上方へ発つ前におせんに言った「待っていてくれるか」という言葉は呪いのようにおせんを縛り付けて、本当におせんを愛してくれていた幸太を遠ざけてしまった。それでもつらい思いをしながらもおせんが生きてこられたのは、庄吉を想う気持ちあってのことで、庄吉も決して悪人というわけではなく、人生ってタイミングとめぐりあわせだなぁ…っとしみじみしてしまった。最後はおせんが幸太の真の愛情に気付いてくれてよかった。喪ってから気付いたというのがなんとも切なくて泣けるけど…。幸太がまたいい男なんだわこれが。
「むかしも今も」
直吉がもはや聖人レベルで良い人すぎた。でも、周りにかけた情はちゃんと直吉に返ってきて、情けは人の為ならずだなぁと思いました。柳橋とは違い、直吉のまきに対する献身的な愛情は実を結び、幸せな未来を思わせる結末には心が和みました。 -
Posted by ブクログ
自分の勘に頼ってはならない、理論や他人の説に頼ってもならない、自分の経験にも頼るな、大切なのは現実を見ることだ。自分の目で、感覚でそこにあるものを観、そこにあるものを掴むのだ、正雪はある老人から学んだ。
本書は徳川幕府開府後の間もない頃、まだ巷には西軍の残党や、幕府の基盤を強固にするため大大名の改易などにより浪人となった者が溢れていた頃である。
浪人者は今日食べるものにも事欠く暮らしで困窮していた。そんなもの達の暮らしを立てようと由井正雪は立ち上がった。といっても、謀反を企てるのではなく、幕府の内側から変わってもらおうと、浪人者を変な騒動に巻き込ませないように、苦辛しながら言葉で世の中を変えていこうとした。
そんな正雪を幕府がそのままにしておくはずはない。なんとか罪を着せて葬ろうとする。それでも正雪は正攻法をとり、決して逆上しなかった。
結局は、幕府に無実の罪を着せられてしまうが、本当に正雪は謀反を起こそうとしたのか、それは分からない。ただ、それまでの正雪の生き方を鑑みると最期まで、信念を貫き通したことだろう。このような小説をきちんと残していくことが、後に残されたもの、小説家の使命なのかな。ありがとう周五郎さん。
全二巻