山本周五郎のレビュー一覧

  • 赤ひげ診療譚

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    善悪の区別が難しい人間性を味わい深く綴る、一編。赤ひげ務める小石川療生所に勤務することになる安本登の心の変化と赤ひげの人間性をテーマにしながらも短編としても共に興味深く読める。人間、善と悪にはしっかり区別できないほど複雑ではあるがもって生まれた個性は普遍であるとも語られるところに共感する。少々癖のある文体で、狂女おゆみの件等語られることなく最後が少しあっけないのが気になった。

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    2019年03月31日
  • 児次郎吹雪・おたふく物語

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    山本周五郎(1903~1967)著「児次郎吹雪・おやふく物語」、1955.10刊行。妹の縁談、湯治、おたふくの3部作が収録されています。おしず、おたかの姉妹、時代は変わろうとも、こんな姉妹と所帯をもった男性はきっと幸せだろうなと思いました(^-^)

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    2019年03月18日
  • 栄花物語

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    田沼意次とその息子を始めとする、武家や戯作者、花魁たちの群像劇。

    この作品内の田沼意次は清貧という言葉がよく似合う。あと、ワーカホリックという言葉も(笑)

    将軍が狩りに向かうくだりあたりから、役者も揃い場が盛り上がっていく感じだったが、後半は読んでいる側としては気分が落ちていった。

    信二郎、保之助の幼馴染コンビと、田沼親子の間で悩む内容が多少異なるため、もう少し共通のテーマや対比があったほうが物語がまとまって気持ち良かったかと。(単純に読み込みが足りなくて見つけられてないだけかも…。)

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    2019年02月28日
  • 赤ひげ診療譚 1 狂女の話

    購入済み

    面白く拝読しました。

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    2019年02月10日
  • ちいさこべ

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    人間の悲哀を描いた、中短編四作を収録。

    どの作品も“生きる”」という、ある意味苦行のような事に耐えて乗り換える者、耐えらない者など、登場人物それぞれの生き方が独特の文体で綴られています。
    中でも、「ちくしょう谷」は、人間の尊厳について、考えさせられた作品でした。

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    2019年02月09日
  • 周五郎少年文庫 黄色毒矢事件―少年探偵春田龍介―(新潮文庫)

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    周五郎が「稼ぎ原稿」として意に沿わぬながら少年少女向けに執筆をした作品。確かに少年向けの文体で、著者が別人かと思うほど見まごうたが、昭和の活劇の匂いがプンプンして結構楽しめた。なぜ中学2年生が車を乗り回すのだ。2018.11.15

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    2018年11月15日
  • 暗がりの弁当

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    20181109 山本 周五郎の小説から想像がつかない内容のエッセイ。本人の事を知りたかったらエッセイを読むのが良いと思った。日々、何を感じてどう思って過ごしているのか?小説家だけに素直には信じられないが表現の細やかさは小説家だからだと思う。相撲解説がすごいと思った。

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    2018年11月10日
  • ながい坂(下)

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    ネタバレ

    人生という長い坂道を歩いていく。

    主人公の三浦主水正は、ちょっと完璧すぎるかな。
    ラノベの主人公っぽさがある。笑

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    2018年11月02日
  • ながい坂(上)

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    ネタバレ

    時代小説はふだん読まないので,新鮮。

    「人間というものは……自分でこれが正しい、と思うことを固執するときには、その眼が狂い耳も聞こえなくなるものだ、なぜなら、或る信念にとらわれると、その心にも偏向が生じるからだ」(91頁)

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    2018年10月17日
  • 完全版 日本婦道記(下)

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    戦時中に書かれたものがほとんどである短編を集めた下巻。尽忠報国、銃後の守りを訴えるような内容が多く、時代の風潮が感じられるとともに鼻白む思いも。

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    2018年08月05日
  • 白石城死守

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    武士として大事なもの、護るべきもの、そして武士の行き方などについて書かれた短編集。
    教訓を書くのではなく、物語の中にあるべき姿をしっかりと練りこんであるので、余すことなく内容を味わうことができる。
    それぞれの短編が、余すところなく面白い。

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    2018年07月12日
  • 小説 日本婦道記

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    武家社会に生きる女性の教訓集。
    直木賞に選ばれたとはいえ、後期の作品のような筆者の筆の冴えはあまりみられなかった。

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    2018年03月17日
  • 赤ひげ診療譚

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    何を今更という感じもありますが、突如周五郎を読みたくなって、久しぶりの再読です。
    周五郎さんの円熟期の作品であり、かつ映画やテレビ番組にもなった有名な作品です。
    やはり周五郎です。全体に暗いトーンながら、その底に暖かさを感じさせる物語です。
    けれど、今回読み直してみて、やや説教臭さが気になりました。多くは赤ひげの独言としてつぶやかれるのですが.
    ”あえて言わせている”という感じなのです。
    評価が低くなるのは再読のせいかもしれません。また、周五郎=高得点という私の図式の中で、この作品に少し違和感を覚えたせいかもしれません

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    2017年11月16日
  • ならぬ堪忍

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    時代背景もあるのでしょうが、軍国主義/葉隠れ武士道の匂い濃い作品群です。
    まだ文体も固まって無い。ストーリーが直截的で含みが無い。言い立てれば多くの欠点があります。それも晩年の周五郎作品を知っているせいでしょう。この人は晩年になるほど良くなって行った人ですから。時代背景と周五郎と言う名を差し引いてこの短編集を見れば、飽かずに一気に読み通せ、そこそこの出来なのだと思います

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    2017年11月16日
  • 町奉行日記

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    みだりに罰してはならぬ、体を斬ることは出来ても心中の逆意までは斬れない。我に向かって石を投げるのは、前の領主を追慕する心からで、これを善導し撫育すれば、やがては我のためにも、不惜身命の民となるであろう。刑罰を厳にしただけでは、決して国は治まるものではないぞ。

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    2017年10月12日
  • 町奉行日記

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    ・土佐の国柱
    ・晩秋
    ・金五十両
    ・落ち梅記
    ・寒橋
    ・わたくしです物語
    ・修行綺譚
    ・法師川八景
    ・町奉行日記
    ・霜柱

    土佐の国柱、晩秋、落ち梅記、寒橋は自分を犠牲にして誰かを助ける、組織を守るというような作品だ。ハメットのガラスの鍵を思い出すが、頭を使って危機を乗り越えることよりも、死んで散るという方向に向かっている。
    その中にあって町奉行日記はひょうひょうとした主人公が頭脳で藩の危機を救う。最後は切り合いがあるのかと思ったが静かに終り、逆に印象的だった。

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    2017年10月10日
  • 五瓣の椿

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    法と善悪の判断の違いを感じる小説だった。善悪や価値観は時代によって変わるものもでもあると思うが、おしのの行動を後押ししながら読んでいた。
    途中はスリルのある展開もあり、価値観について色々考えさせられながらも、ストーリー展開に引き込まれた作品だった

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    2017年03月14日
  • 五瓣の椿

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    これは正直、苦手でした。いきなり長編の「さぶ」とか「樅の木」ってのもハードル高いかな、と思ってこっちから入ったけど、逆効果だったかもしらん。もっと山周作品を!とあまり思わなんだ。五人への復讐がテーマだけど、そもそも復讐行為がやや見当違いに思えるし、それが殺人までいってしまうのも極端な気がするし。あと、五人が五人、結構似たような経過を辿るから、長い作品でもないのに、途中から飽きてくる。最後の決着もバチッと決まった!とは思えず、最後まで自分的には消化不良気味。悔しいです。

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    2016年11月09日
  • 寝ぼけ署長

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    最初は、
    ぇ、いけてない!!
    と思った。
    読むのを止めようかとすら思った。
    なぜって、なんというか、語り口調が落語調というか、昔話・イソップ童話調というか、だし、何やらまどろっこしい感じがしたから。

    あの、小さいときに読んだ、怪傑ゾロリとかがあるようなシリーズの、どろぼうの表紙の本とか、そういう感じだな。
    なんていうか、ただの勧善懲悪というよりも、少し教育的要素と言うか道徳的な要素を含んだお話でした。

    でもまぁ、読み進むにつれて、悪くないな、と思いました。
    こういう小説って、最近あんまりないよねー。
    (なんと発行年が1981年で驚きました。笑)

    社会を助けるとは、ですね。

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    2016年10月04日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    まだ序盤ではあるが、主役:原田甲斐による、”語らない”言動・“忍ぶ”行動から『覚悟』が早くも読み取れる。 どこまで背き、貫き通すのか。じっくり見届けたい。

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    2016年03月28日