山本周五郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ昭和の作家さんですが、既に歴史の教科書に出てくる方の印象の強い山本周五郎氏、の作品。
平たく言うと、江戸時代の武家の孟母特選集、といった作品。
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昨今の多様性の時代には、これはもう学術的視点なくしては読めないというのが第一の感想。自分の気持ちを殺して、国の為、家の為、上司の為、夫の為、この為に尽くす女性の話の数々。
解説によると昭和17年から21年に渡って書かれたとのことですので、まさに国家総動員の時代の作品。ひとつひとつはいわゆる美談の類と言えなくもないのですが、時代背景などを読みこめばやっぱり煽動的に使われた気がします。
家の夫が上司の為に命を賭すとなればもうパワハラと遺族に訴えられるし、妻が気持ちを偽って夫に尽くしたらこれまた周囲が焚きつけてモラハラと言われるでしょう。
先般の巨人軍監督の件もあったとおり、家庭や地域は、私的な個人的ないざこざを自浄できる容量・要領を持たない・失いつつあることが分かります。
逆に本作の女性たちは、家庭や地域という小さな集団のなかで自分を貫く自由を獲得していたともいえましょう。
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ということで、教科書・受験国語以外では初の山本周五郎作品でした。
どなたかのブログで見かけて興味を持ち読んでみましたが、山本氏の次の作品は…、まあ機会があれば、ですかねえ。
なお、山本氏は唯一の直木賞受賞辞退者とのこと。諸々の理由があっての辞退だとは思いますが、そういう思い切ったことができるのは凄いなと感じました。 -
Posted by ブクログ
春田龍介君は中学2年生ながら、学校中での秀才、頭の良さと言ったら、先生でも時々、彼の質問には答えにつまるくらいだった。
そんな龍介君が弟子となった拳骨(メリケン)壮太と共に悪漢に立ち向かう。
物理博士の父が開発した無燃料エンジンの機密を盗む黒襟飾組、白堊館で起きた射殺事件、潜水艦の失踪、黄色ダイヤの頸飾の盗難、黄色毒矢を放つスパイとの対決、満州での匕首党との猛攻
解説によるとこの本は山本周五郎氏が売れる前に「稼ぎ原稿」として書いたものとのこと。
中学生が拳銃を所持して車で走り回る、なんて荒唐無稽なことが描かれてるけど、少年探偵団に焦がれた私としてはハラハラドキドキで楽しかった。
さすが!
龍介君はちょっと鼻につくけど、メリケン壮太の奮闘や妹の文子ちゃんの頑張りで相殺?
スパイとの攻防戦で彼が必死になってく様子も熱い。満州での暴れっぷりはやり過ぎな気も。
スパイものより、首飾りの盗難とか射殺事件の方がホームズっぽくて好きかな。 -
Posted by ブクログ
周五郎って一冊読むと、もう一冊続けて読みたくなりますよね。というわけで、これ。
「喧嘩主従」武家物ですね。そこはかとないユーモア。こういう上司だと仕えがいもあるというものだが……。また、この主であるからこそ従が生きるというもの……ふう。なかなかこうはいきますまい。
「山茶花帖」武家の夫婦を描いた作品も周五郎には多いと記憶している。これがけっこう好きなのであるよ。男はかくの如く剛直でないとね。
「雨の山吹」表題作。この味わいってのはもう少し年をとらねばほんとうのところはわからないのだろうか?悲哀の種類がぼくにはきっと頭でしか判ってないのだね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ山本周五郎は初読。
伊達騒動自体もよく知らず、「たぶん原田は死ぬんだろうな」と思いながら読み始めた。各巻にひと月ずつ費やしたのは、そもそも時代物に疎く、知らない単語が多すぎたせい。上巻は最近の版で関係図や注釈があり助かったが、中下巻は昔の版で何も頼りにできず、難しい単語はスマホで調べながら読んだ。(私と同じような人には、本ごとにメモが記録できる『読書メモ」というアプリがおすすめ)
そんなわけで完読まで3ヶ月かかったのは、主人公の原田甲斐が延々粘って動かず、周囲も細かい事件はあるものの大きな事態は動かず、下巻のラスト50ページくらいでいきなり急展開するため。延々と続く心理描写に辟易とする日が続いた。
が、原田が最期に残した言葉とその後の「乱臣・原田」としてお家取り潰しの歴史を思うと、本来の原田は今の日本人にはない清さと温かさを併せ持つ魅力的な人物だし、「そう生きるしかない」忍ぶ悲しさが静かに伝わってくる。名作といわれる所以がわかった。
…という感想を抱かせるほど、山本周五郎のフィクションの人物造形の巧みさに参った!
そしてラストの宇乃の描き方は…あそこで官能描写を入れなくてもよかったのでは。そこだけ後味が悪く残念だった。