山本周五郎のレビュー一覧
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(山本周五郎ファンではなく、少年小説好きの感想です)
表題作「少年間諜X13号」に感じる寒々しさ、一種の凶気は果たして意図的な皮肉なのだろうか。
それとも「"時代の熱狂"」に流されたものなのだろうか。
「少年間諜~」では少年兵たちが自らの命を捨てて戦う。
主人公率いるのは死を厭わない少年兵だけの部隊だ。
「一人残らず死ぬんだ」は主人公が仲間を鼓舞する言葉である。
また後年「特攻」と呼ばれる、捨て身決死の戦術も描かれる。
狂気と熱気。愛国ありきの理不尽と無茶。始終それが続く。
「でも戦前ならそんな感じなのでは…?」と思われるかもしれないが、本作とほぼ同年(昭和9年)に書か -
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頭がよく経師屋としてもうでのたつ栄二と不器用て愚直なさぶの青春の描いた作品。
無実の罪をかぶった栄二のひねくれ加減が半端なく、意固地なまでに復讐心に囚われてしまうが寄場での人の親切に触れ次第に大人になっていく様は現代の若者の頑固さと幼さ、人との関わりを通して成長していく道筋と何ら変わりはないなと思いながら読んだ。
栄二を好いているおのぶが「亭主が仕事にあぶれたとき、女房が稼いでどうして悪いの、男だった女だっておなじ人間じゃないの、この世で男だけがえらいわけじゃないのよ」と仕事がなく女房のおすえに内職をさせていることをぼやいた時にいった言葉も女性である私には印象的な言葉だった。 -
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山本周五郎の短篇小説集『あんちゃん』を読みました。
『編傑作選4 しづやしづ』、『花杖記』に続き、山本周五郎の作品です。
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妹に対して道ならぬ行為をはたらき、それを悔いてグレていった兄の心の軌跡と、思いがけぬ結末を描く『あんちゃん』。
世継ぎのいない武家の習いとして、女であるにもかかわらず男だと偽って育てられた者の悲劇を追った『菊千代抄』。
ほかに『思い違い物語』『七日七夜』『ひとでなし』など、人間をつき動かす最も奥深い心理と生理に分け入り、人間関係の不思議さを凝視した秀作八編を収録。
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昭和10年 -
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菊千代抄を読んだ。
1945年に第二次世界大戦が終わった。
この小説が発表されたのは1950年。
小津安二郎の「東京物語」は1953年。
なぜここで俺「東京物語」を持ち出すのかというと、戦争を引きずった作品だからだ。
菊千代抄は、武家の物語だ。最近のトレンドであるLGBTがテーマでもある。
敗戦後、時代の空気は重かったのだろうか。もしくは、終戦後、ある種の開放感があったのだろうか。
菊千代が江戸にいた時代を戦時中に置き換えるなら、地方に移動した時代は戦後ではないか。暮らしは不自由だが、メンタルは自由に生きられたのかもしれない。
戦争が終わって、人は自由になった、という気持ちが、本作にはこめられ -
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購入済み
周五郎短編集としては中庸
周五郎ファンです。数多くの著作を読んでおります。短編集では、「おさん」「人情武士道」「雨の山吹」「繁あね」などが秀作を掲載しております。この「花匂う」に掲載の短編は周五郎としては、そこそこの出来の短編を集めております。初めての場合は、先述の短編集から選ばれることをお勧めいたします。(完)
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山本周五郎の短篇小説集『一人(いちにん)ならじ』を読みました。
ここのところ、山本周五郎の作品が続いています。
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合戦の最中、敵が壊そうとする橋を、自分の足を丸太代りに支えて片足を失った武士を描く表題作等、無名の武士の心ばえを捉えた14編。
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1940年(昭和15年)から1957年(昭和32年)に発表された作品14篇が収録… 『花の位置』だけは、時代小説ではなく、現代小説です。
■三十二刻
■殉死
■夏草戦記
■さるすべり
■薯粥
■石ころ
■兵法者
■一人ならじ
■楯輿
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山本周五郎の短篇小説集『あとのない仮名』を読みました。
『日日平安―青春時代小説』、『松風の門』、『栄花物語』に続き、山本周五郎の作品です。
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腕利きの植木職人が職を捨て、妻子を捨てた理由とは? 笑って泣ける傑作8篇。
江戸で五指に入る植木職でありながら、妻とのささいな感情の行き違いがもとで、職を捨て、妻子も捨てて遊蕩にふける男の寒々とした内面を虚無的な筆致で描いて、周五郎文学に特異な位置を占める最晩年の傑作「あとのない仮名」、夫婦の変らぬ愛情を、枯死するまで色を変えない竹柏に託した武家ものの好編「竹柏記」ほか、「主計は忙しい」「桑の木物語」「 -
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山本周五郎の長篇小説『栄花物語』を読みました。
『日日平安―青春時代小説』、『松風の門』に続き、山本周五郎の作品です。
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非難と悪罵を浴びながら、意志堅く改革に取り組んだ老中田沼意次を描く感動の歴史長編。
徳川中期、農村が疲弊し、都市部の商人が力を持ち始めた転換点。
老中首座の重責を担う田沼意次は、貧者への重税、賄賂政治、恣意的人材登用と非難にまみれていた。
――悪政の噂は本当なのか。
出所はどこなのか。
絶望の淵にあっても、孤独に耐え、改革を押し進めた田沼意次という不屈の人間像を新しい視点から描く傑作歴史長編。
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山本周五郎の短篇小説集『松風の門』を読みました。
『日日平安―青春時代小説』に続き、山本周五郎の作品です。
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幼い頃、剣術の仕合で誤って幼君の右眼を失明させてしまった俊英な家臣がたどる、峻烈な生き様を見事に描いた“武道もの”の典型「松風の門」、しがない行商暮しではあるけれども、心底から愛する女房のために、富裕な実家への帰参を拒絶する男の心意気をしみじみと描く“下町もの”の傑作「釣忍」、ほかに「鼓くらべ」「ぼろと釵」「砦山の十七日」「醜聞」など全13編を収録する。
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1940年(昭和15年)から196 -
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そういう身体、そういうこと、ってどういう体のどういうことだ?
と思いつつ読み進めたところ、うーん
記憶も心もどこかへ吹っ飛んで、完全なるあへあへ状態になり、わからない男の名を呼んでしまうとか言う女の「からだの癖」だと。
いやこれ普通に考えれば演技だし、本当とすればある意味脳の欠陥だし。
これを小説にしてしまって、世の男たちは「こんな女がどこかにいるのだ」と憧れちゃうわけで、まあねー周五郎もしてやったりのニタニタかもしれんけども。
別にそんな体でなくたって、忘れられず人生を狂わしてしまう異性は存在すると思うのよ。むしろそこに限定する設定にすれば書く場合には簡単かもね、なんて穿ったことも思いました