【感想・ネタバレ】赤ひげ診療譚のレビュー

あらすじ

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”と呼ばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は事あるごとに赤ひげに反抗するが、赤ひげの一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「さぶ」に続いて、青空文庫での山本周五郎作品。
「さぶ」と同じように、人情味あふれる話で、時代を超えて、正しく生きることを教えてもらいました。
しかも主人公は作品名の「赤ひげ」ではないところも「さぶ」と同様でした。
またいつか著者の作品を読みたいと思います。

0
2020年12月17日

Posted by ブクログ

素晴らしい本だと思います。
始めは、文章の流れを掴むのに苦労しましたが、本筋を理解できた後は物語の勢いに圧倒されながらも、大変感動しました。

0
2020年01月04日

Posted by ブクログ

考えてみたら、山本周五郎の著作を読むのは初めてだった。何十作も発表されているし、文学賞の名前にすらなっているのに。
もともと時代小説は好きだが、本書はとにかく面白かった。何がいいって、難しい当時の言葉も少なく、読みやすい。舞台は江戸時代の江戸。ストーリーは、見習いを終えたばかりのプライドの高い医者の卵が、養生所という貧しい人にほぼ無料で医療を施すところで働くことになり、最初は渋々であったが、先輩医師や患者とのやり取りを通じて成長していく、というもの。
人間の本質に迫る。養生所の所長の医者は、生まれながらに悪人などいない、貧しさや境遇や無知がそうさせるのだ、という考え方。主人公登は、様々な患者を診ながら、どう思うか。
さすがに、うまいな~とうならされた。これから、山本周五郎の小説をもっと読みたいと思う。

0
2019年11月18日

Posted by ブクログ

三船敏郎主演映画「赤ひげが」があまりにも面白かったので原作を読んだが、映画も凄かったけど原作はもっと凄かった。読んで良かった。

0
2019年02月05日

購入済み

新出去定と保本登

赤ひげは子供の頃に映画で見た三船敏郎の演ずるイメージしか覚えていなかったのですが突然思い立って原作を読んでみました。あちこちの医療コミックなどで「赤ひげ」が引用されていますが原作の新出去定は人間臭い頑固オヤジだがやはり保本登が惚れ込むほどの人物でした。終りの方で「医は仁術などではない、現実は風邪さえ治せない」と言っていましたがその通り。彼は決しておごらない。カネのために医学部へ行こうという連中は心を入れ替えてこういう人物になってほしいと切に願いたい。無理かw

0
2018年10月02日

Posted by ブクログ

宮部みゆきの小説「淋しい狩人」を読んでいた時にエピソードの一つに登場した本で、すごく印象に残ったので取り寄せ読んでみることにした。
一言で言い表すならば、傑作ですね。
この本が出版されてから半世紀以上経過しているが、作品の魅力は全く衰えていない。
おそらく今後数十年たっても読み継がれていく稀有の傑作小説だろう。


主人公である医学生 保本登は、長崎遊学から戻ったばかりで医学を出世のための手段としか見ていない。
また、許嫁がいたが遊学中にほかの男と駆け落ちしてしまい、このことが彼の心に影を落としている。
彼が赴任した小石川養生所には、赤ひげと呼ばれる名物医長がいる。
赤ひげは一見して無頼漢のような雰囲気をもつが、高い知性と高度な医療技術そして人生の酸いも甘い理解している稀有の男であり、日夜世の下層で生活する街の人々の診療に邁進している。
当然、主人公の保本はこの赤ひげに最初反発するが、次第に彼のものの考え方に傾倒していき彼自身の人格も次第に人として成長していく。

全部で八篇の短編からなる本書は、赤ひげと保本が様々な境遇の町の人を患者として診療する過程で、その人々の生活が明らかになっていくという形式で、現代的に言えばサイコスリラーのはしりの様なものから、胸が張り裂けそうになる悲恋の話、ちょっとおかしな話等バラエティーに富んでいる。
しかし、どの話にも共通するのが、現代よりはるかに生活が厳しかった江戸時代の下層の人々の生きざまのリアリティーであろう。
フィクションであるが、あたかも実際に存在した人々のように感じられる。
善良なもの、悪人、弱いもの、苦しんでいる者、様々な人間がいて存在するが、作者の彼らへの眼差しは優しい。

最後に保本は重大な決断をし、自らの人生を有意義なものにしようとする。
そこに至るまでの彼の人としての成長は見ていて心地よかった。
今後百年でも読み継がれてほしい本である。

0
2018年01月02日

Posted by ブクログ

・あらすじ
幕府の御番役というエリートコースを歩むべく長崎遊学から戻った青年が貧者を相手に治療を施す小石川養生所の医師「赤ひげ」に呼び出され、見習い勤務を命ぜられる。理想とかけ離れた現実に、青年は激しく反発するが、赤ひげの真の医師としての信念、最下層の悲惨な境遇の人々との触れ合いを通し、青年は医師として、一人の人間して大きく成長してゆく。
・感想
話の骨子としてはヒューマンドラマにありがちな設定とも言えるが、読み終えた後に本が付箋だらけになり、自然と分厚くなっていた。ついつい拾いたくなる(使命感すら覚える)台詞がこの本にはたくさん詰まっているのだ。山本周五郎の作品には思わず身が震えるような台詞がぽろっと忍ばせてあるのは読者ならご存知の通りだが、とりわけこの本はそれが多い。本作の舞台が底の底とも言える最下層の人々にスポットライトが当ててあるからかもしれない。「赤ひげ」こと新出去定は、この世の最低最悪の場所とも言えるところで立派な医師をしている。助けたところで見返りはない。患者から感謝の言葉ではなく罵声を浴びることさえもある。パトロンである幕府は、下層の実情には目もくれず予算をカットし自分達に回す。くそったれ。そんなサイテーな世界にいながら赤ひげが医師であり続けるのは何故だろう?それは彼が医師だからだと思う。病で苦しんでいる人がいれば助けるのが医師の使命である。単純である。単純だけれど実行に移すのは難儀である。とりわけこんな環境ならなおさらだ。それだけに胸を打つものが大きい。人間嫌いになりそうになるが人間は素晴らしいものだ、と山本周五郎の作品を読む度に感じる。聖人とも称せる赤ひげは余りに理想的な人物かもしれないが、自分が人間嫌いにならずに済んだ事に感謝したい。

0
2017年08月23日

Posted by ブクログ

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され医員見習い勤務を命ぜられる。
貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。
ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く。

0
2016年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1964年発売
時代物だからではなく
少しも古くささを感じない。
それどころか
出てくる人々の人也が
今現在でも通じる
常識と情を持ち合わせており
少しの違和感も無い。

ページ的には少しも多くない本なのに
一人の若い医師がしっかりと
成長していく様が生き生きと書かれており、
鬼籍に入ってもなお
の残る作家の表現力は
素晴らしいと改めて感動した。

0
2016年07月22日

Posted by ブクログ

江戸時代に実際に存在し、病気の治療だけでなく貧困民の生活保護までカバーしようという志の下建てられた「小石川養生所」。そこで無骨ながらも、病気だけでなく社会悪や人の心の弱さにまで目を向けようと奮闘する赤ひげ先生の姿は、現代にも通じるところが多々あると思いました。

0
2016年02月14日

Posted by ブクログ

男と女の愛憎の話し、人間の悲哀が書かれ、診療のはなしが主体と思ったが大違い。人間の業の深さを感じさせる。非常に感銘深い良書。

0
2015年11月30日

Posted by ブクログ

まどろっこしくて、高校時代に『樅ノ木は残った』を挫折して以来、何故かしら山本周五郎とは全然縁がなく、現在に至っていた。
しかし、齢五十を越えて読む山本周五郎は実に心地佳い。
そうか。山本周五郎は、若造の高校生なんぞが読んではいけない、それなりの人生経験を持つ大人のための小説だったのだ。

0
2014年10月04日

Posted by ブクログ

山本周五郎の連作時代小説『赤ひげ診療譚』を読みました。
『寝ぼけ署長』、『五瓣の椿』に続き、山本周五郎の作品です。

-----story-------------
給与は最低。
昼夜のべつなくこき使われる。
けれど“赤ひげ”先生こそ本物の医者だ!

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長・新出去定の元、医員の見習勤務を命ぜられる。
不本意な登は赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。
傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く医療小説の最高傑作。
-----------------------

文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1958年(昭和33年)3月号から12月号に連載された作品… 江戸時代中期の小石川養生所を舞台に、長崎で修行した医師・保本登と、実在した江戸の町医者・小川笙船(おがわ しょうせん)をモデルとする「赤ひげ」こと新出去定(にいできょじょう)を主人公として、患者との葛藤を描いたヒューマンストーリー8篇が収録されています。

 ■狂女の話
 ■駈込み訴え
 ■むじな長屋
 ■三度目の正直
 ■徒労に賭ける
 ■鶯ばか
 ■おくめ殺し
 ■氷の下の芽
 ■解説 中田耕治

小石川養生所の“赤ひげ"と呼ばれる医師と、見習い医師との魂のふれ合いを中心に、貧しさと病苦の中でも逞しい江戸庶民の姿を描く、、、

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる… 貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。

傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作……。

若き医生・保本が医師として、人間として成長する姿を描いた物語なのですが、師である赤ひげも完ぺきな意思ではなく、自分の力の及ばないことに悩みながら怒りながら奮闘するんですよね… そのあたりのバランスが良くて愉しめましたね、、、

そんな中でイチバン印象に残ったのは、オープニングを飾る『狂女の話』ですね… 保本が絶体絶命の危機に陥りますが、危ういところを赤ひげに助けられるミステリ仕立ての展開、オープニングに相応しい内容でしたね。

泣きそうになったのは『鶯ばか』ですね… 貧困の辛さ、悲哀、生きていることの意味等々、考えさせられるエピソードでした、、、

一家心中で助けられた母親が語る言葉、

「子供たちは死んでくれました、うちの人とあたしの二人なら、邪魔されずにいつでもどこでも死ねますからね、子供たちが死んでくれて、しんからほっとしました――こんなことを云っては悪いかもしれませんが、どうしてみんなは放っておいてくれなかったんでしょう、放っておいてくれれば親子いっしょに死ねたのに、どうして助けようなんてしたんでしょう、なぜでしょう先生」

「生きて苦労をするのは見ていられても、死ぬことは放っておけないんでしょうか――もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょう、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか、そういう望みが少しでもあったんでしょうか」

胸がつまされて、何て答えて良いかわからないですよね… 示唆に富んだ作品でした。


以下、主な登場人物です。

新出去定(にいで きょじょう)
 主人公。通称「赤ひげ」。
 小石川養生所の責任者である壮年の医師。

保本登(やすもと のぼる)
 もう一人の主人公。
 長崎で医学を学び江戸へ戻ってきたばかりの青年医師。

森半太夫
 小石川養生所の見習い医師。
 生真面目で、新出を尊敬している。

お雪
 小石川養生所の賄所で働く。森を慕う。

津川玄三
 小石川養生所の医師。登と入れ替わりで養生所を出る。

保本良庵
 町医者。登の父。

保本八重
 登の母。

天野源伯
 公儀の表御番医。ちぐさ、まさをの父。

天野ちぐさ
 登の元許嫁。

天野まさを
 ちぐさの妹。

おゆみ
 狂女。小石川養生所にて隔離されている。

お杉
 女中。おゆみの世話役。

竹造
 小石川養生所の小者。

0
2022年08月06日

Posted by ブクログ

山本周五郎全集11
長崎遊学から戻り、御目見医になると思っていた保本登が連れてこられたのは汚らしい貧民に医療を施す小石川養生所。
戸惑いながらも医員見習いとして赤ひげと呼ばれる新出去定に仕えるうちに世の中の底辺に生きる貧民の生きる姿や本当の善と悪を知り、医は仁術ということを学んでゆく秀逸な物語。

0
2022年02月20日

Posted by ブクログ

「話を聞いてこい」という去定。身体ばかりではなく心の病もある。
「いま富栄えている者よりも、貧困と無知のために苦しんでいる者たちのほうにこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、本来の希望が持てるように思えるのだ」@去定。「もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょうか、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか」@おふみ。
江戸時代の設定ですが、程度は違えど今の時代でも変わらないような気がします。

0
2021年07月04日

Posted by ブクログ

2018年の春くらいから、気分的には1年半くらい続いていた仕事上の繁忙期が終わりました。
虚脱。そして、けっこう嬉しいです。
読んだ本のメモも長らく途絶えていました。そもそも本を読むこともかなり減っていました。



「赤ひげ診療譚」山本周五郎 1958年 新潮文庫。
2018年の12月頃に仕事の都合で再読。
大昔から思っていたのですが、山本周五郎というと人情べたべたな小説家だと思われているかもしれませんが、
きちんと読んでみると時折実に胃液が逆流するほど残酷で素晴らしかったりします。
でも、いまどきそもそも山本周五郎を知らない人も増えていることと思いますが。ちょっともったいない。
ただ、好みもありますが、横山秀夫さんではないけれど、やはり大まかは短編の方が鋭い。
長編になると、甘さというか、センチメントが隠しきれなくなる傾向もあります。

ちなみに「赤ひげ診療譚」は1965年に黒澤明&三船敏郎で映画化されていて、国際的な賞も取っています。
何より山本周五郎が映画を見て「原作より面白い」と言ったという言い伝え?があるそうです。
まあ、マスコミ向けの気持ちもあったのかも知れませんが、僕は正直、映画「赤ひげ」はあんまり良いとは思えないんですよね。
我慢して見れば、さすがだな、すごいな、という箇所はいくつもあるのですが、ちょっとこのあたりから黒澤明さんの監督作品は、急速に「名作っぽい感じだけど、面白くない」という芸風に高まって?行きます。映画史的には、黒澤が三船を撮った最後の作品、というだけでも何かしらかの大きな意義があると思いますが。

0
2019年11月28日

Posted by ブクログ

長崎での遊学を終えて江戸に戻った主人公の保本登は、小石川養生所で医員として勤務させられる。「赤ひげ」と呼ばれる新出去定のもとで、貧しい人たちへの医療活動を通じて人間として成長していく。

0
2019年06月28日

Posted by ブクログ

山本周五郎、円熟の娯楽作。ミステリー仕立ての各編も読ませるが、通して読むと保本登の成長譚としても楽しめる。赤ひげが随所に見せる医術観は、異常とも言える領域に到達しつつある現代医学に警鐘を鳴らしているようだ。

0
2018年12月21日

Posted by ブクログ

黒澤明の映画をはじめ何度もテレビドラマになった「赤ひげ」。江戸の貧しい人たちのために医療を捧げる強面の医者、新出去定(にいで・きよじょう)を中心とした小石川療養所の物語だ。長崎留学から戻ったばかりの若き医者、保本登が、去定先生(赤ひげ先生)を見ながら医者の仕事に目覚め成長していく。当初は医師としての出世を目指し貧しく忙しい診療所を嫌っていたが、次第に患者の心の声を聞くようになっていくのが心地よい。

0
2018年08月23日

Posted by ブクログ

赤ひげが理想化され過ぎているが・・・
沖縄にもゴロゴロいる投薬オンリーの藪医者の方々に是非読んで頂きたいものです。

0
2018年06月30日

Posted by ブクログ

映画にもなった作品です。貧しい庶民の苦しさと富裕層の豪奢な生活のコントラストが、医者の目を通して克明に浮き彫りにされます。心に響く作品です。

0
2018年01月26日

Posted by ブクログ

17年秋にBSプレミアムで船越英一郎、中村蒼でドラマ化。赤ひげって話は前から知ってたけど、読んだのは初めてで、赤ひげが主役と云うより登の成長物語って初めて知った。

0
2017年10月22日

Posted by ブクログ

医療問題以前に、人間の心や貧困の改革がなければ、その問題は解決しない。そう思った。
所詮、人間の生命力次第で医療はなんの力もない(そんな感じだったかな)という言葉は正しいと思ったが、同時に、死にゆく病というのは生命力ではどうしようも出来ないとも思った。

0
2017年01月25日

Posted by ブクログ

保本登が赤髭先生こと去定のもとで貧困家庭の現状を見て学んでいく。養正所という貧民でも利用できる医療機関で勤めることでいろいろな家庭環境にある患者と接し御目見医師を目指していた登の考えに変化が生まれていく。貧しいということだけでいろんな病気になりやすいし生きていくのも辛いし時代なんて関係ないんだなと、そういう人たちを救済するために小石川養正所があり多くの人を治療していくのが今後自分も見習わなければならない精神だ。

0
2025年02月24日

Posted by ブクログ

大長編「樅ノ木は残った」しか読んでなかったので、有名な「赤ひげ」を読んでみた。
赤ひげ先生と見習い医保本登の関係がよい。

0
2022年10月01日

Posted by ブクログ

江戸時代の無料診療所で、性的児童虐待により精神不安になった患者、親に売られて売春婦として働く少女の性病治療、赤ひげ先生に感化されて上昇志向の若手医師が幕府の医師を断り、働き続けるこたなど。
悪い人でもその中から良い部分を引き出さなければなど庶民の社会生活や人間感情を描いている。

0
2019年09月27日

Posted by ブクログ

善悪の区別が難しい人間性を味わい深く綴る、一編。赤ひげ務める小石川療生所に勤務することになる安本登の心の変化と赤ひげの人間性をテーマにしながらも短編としても共に興味深く読める。人間、善と悪にはしっかり区別できないほど複雑ではあるがもって生まれた個性は普遍であるとも語られるところに共感する。少々癖のある文体で、狂女おゆみの件等語られることなく最後が少しあっけないのが気になった。

0
2019年03月31日

Posted by ブクログ

何を今更という感じもありますが、突如周五郎を読みたくなって、久しぶりの再読です。
周五郎さんの円熟期の作品であり、かつ映画やテレビ番組にもなった有名な作品です。
やはり周五郎です。全体に暗いトーンながら、その底に暖かさを感じさせる物語です。
けれど、今回読み直してみて、やや説教臭さが気になりました。多くは赤ひげの独言としてつぶやかれるのですが.
”あえて言わせている”という感じなのです。
評価が低くなるのは再読のせいかもしれません。また、周五郎=高得点という私の図式の中で、この作品に少し違和感を覚えたせいかもしれません

0
2017年11月16日

Posted by ブクログ

主人公の心情の変化を引き起こす、赤ひげ先生の懐の深さ、人間らしさすてきでした。

狂女の話と、三度目の正直の話が印象的でした。

昭和34年の作品ということでしたが、社会的に恵まれない人々の心情や、奉仕の心など、古く感じることはありませんでした。

0
2015年12月16日

Posted by ブクログ

100刷を超える世代ほ超えて読み継がれた秀作である。清貧な名医「赤ひげ」新出去定に呼び出された遊学から戻った保本登の診療にまつわるあれこれの話である。『三度目の正直』『徒労に賭ける』が特に良かった。貧しさ、正義、因業、欲望、愛欲が作者の巧みな筆で生き生きとまざまざと描かれている。作者の没年のあとに生まれたのが残念である。これも因業か。

0
2015年10月23日

Posted by ブクログ

赤ひげのもとで働くことになった傷心の青年医師。彼のひねくれた心が次第にほぐれていく様子が面白い。患者の話をひたすら聞いて、赤ひげ先生の思いを聞いて、医者の仕事は聞くことが大事なんだな。

赤ひげ先生は、罪はその人自身ではなくつきつめれば貧困のせいだという。
だけど、最後に登も言っていたが、どんな環境にいたって人間として立派な人もいれば、裕福でも最悪な人柄の人もいる。

最後の2人のやりとりがまたいい。これからも2人言い合いながら診療を続けていくんだろうな、もっと読みたいなと思った。

0
2014年09月05日

「歴史・時代」ランキング