【感想・ネタバレ】町奉行日記のレビュー

あらすじ

着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。藩中での失敗事をなんでも〈わたくし〉のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短篇小説の絶品『寒橋』。ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など全10篇を収録。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

生きているとたくさんの辛いこと、悲しいことがあるけれど、そこに勇気を持って乗り越えた時、あたたかな愛に包まれるのだと感じた。
人の奥底に眠る善意を信じたいと思う。

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2024年02月03日

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時代劇、人情モノ中心の短編集。一つ一つの話がキッチリしていて、短話にもかかわらずそれぞれに満足感があった。主君亡き後の謀反の顛末を書いた「土佐の国柱」、着任後に出仕しない町奉行が何をしていたか「町奉行日記」、落語を意識してる作りの「わたくしです物語」など。通勤中に読み進めたが、続きが気になって行き帰りが非常に楽しみだった。

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2018年08月30日

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ネタバレ

10編の短編が収められているが,いつものように胸をすくようなどんでん返しで一杯である.山本周五郎の小説に惹かれるのは,人間の業の深さを描きながら,必ず希望も見せてくれるからではなかろうか.有名な「さぶ」もそうだったが,主人公が傲慢で,他人をねたみ,自分の不幸を全て世間のせいにしているのが,成長する,というのもお決まりのパターンですね.
実は「どら平太」の原作となった「町奉行日記」は個人的には今ひとつで,少し山本周五郎らしくないように思う.

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2014年10月21日

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「きかせられないラジオ」村山アナ推薦の「わたくしです物語」目当てに購入。この話も面白かったけど、他の短篇も楽しい。「土佐の国柱」表題作「町奉行日記」がお気に入り。これが昭和27年の作品とは!

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2011年11月04日

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大衆小説を扱っている色々な雑誌に掲載された短編を集めたものです
内容がすばらしいです。特に文章が巧妙だったり、ストーリーに意外性があったりする訳ではありませんが、非常に好意の持てるキャラクターと人間味あふれるストーリーに惹かれます。「惹き付けられる」といった強い感じではなく、ふわふわと、「あぁ、うまそうな匂いだなー」みたいな(解かりにくいかなあ...)
実際の世の中に、この本の中に出てくるような人はそういないとは思いますが、別に作者は楽観的な、または安易な考えからそのような人物を登場させたのではなく、そこに彼の希望やメッセージを託したものだと、僕は思いました

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2009年10月04日

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映画にもなった表題作は良かった。
一度も奉行所に出勤しない小平太が、裏取引の巣窟を掃除する物語。誰が味方で、誰が敵か推理しながら楽しめた。
奉行所の役人の日記と通常の物語が入れ子で展開するのも新鮮な手法でした。

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2009年10月04日

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山本周五郎って言えばラストのどんでん返しでしょ!という人が知り合いにいますが、ほぉそーなのかと思って読んでみたら本当にどんでん返しの連続で面白い!こーゆー江戸を舞台にしたようなの敬遠してたけど、かなり笑えて泣けていい話満載です。わたしは「わたくしです物語」が一番のお気に入り♪

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2009年10月07日

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10の短編からなる、短編集。
それぞれの登場人物の生き様が、切なくて格好良いです。
涙腺の弱い人は泣けるので注意。

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2009年10月04日

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僕の書棚の一番、手に取りやすい場所にあるのが山本周五郎です。
何を言いたいかは判るでしょうか?
僕にとって、そんな存在です。

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2009年10月04日

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山本周五郎の短篇小説集『町奉行日記名』を読みました。
ここのところ、山本周五郎の作品が続いています。

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着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。
藩中での失敗事をなんでも〈わたくし〉のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。
娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短篇小説の絶品『寒橋』。
ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など全10篇を収録。
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1940年(昭和15年)から1960年(昭和35年)に発表された作品10篇が収録されています。

 ■土佐の国柱
 ■晩秋
 ■金五十両
 ■落ち梅記
 ■寒橋
 ■わたくしです物語
 ■修業綺譚
 ■法師川八景
 ■町奉行日記
 ■霜柱
 ■解説 木村久邇典

『晩秋』と『落ち梅記』、『寒橋』の3篇は再読、残りの7篇は初めて読みました… その10篇の中でイチバン好きなのは『晩秋』ですね、、、

自刃した父の恨みを果たすため、冷酷な奸臣と言われた老臣・進藤主計を狙う娘・都留の葛藤が描かれており、クライマックスにおける二人の縁側での対決が清々しいんですよねー このような事態で為政者は、どのように振る舞うべきか… 政治家の皆さんの見本にしてほしいですね。

自らの命を賭けて反対勢力の一味を集めて謀反を図ることにより、反対勢力の一掃を謀る老職・高閑斧兵衛を描いた『土佐の国柱』と冤罪と知りつつ藩政を立て直すために黙って罪をかぶるという忠義に殉じた武士・金之助を描いた『落ち梅記』も、『晩秋』と同じく、己を犠牲にして侍としての筋を通す厳しく美しい物語… このジャンルは感動しちゃいますね。

行きずりの武士に託された50両を届けることにより報酬だけでなく、人間同士の信頼を知ることになる『金五十両』と、娘婿の過ちを義父が背負ってあの世に逝くことで夫婦が救われる『寒橋』の市井ものもイイ味があり、印象に残りました。

痛快なこっけい物の『わたくしです物語』と風刺性の濃いこっけい物の『修業綺譚』は、落語を観ているような雰囲気で愉しめましたね。

やくざな相手に対し徹底した軟派政策により解決を図る町奉行の活躍を描いた『町奉行日記』も痛快で心地良い読後感が味わえました、、、

好みの作品が多く収録されていたのでトータルで満足度の高い一冊でしたね… 山本周五郎の作品は、読み始めると、やめられないとまらない魅力がありますねー 次も読んでみようと思います。

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2022年11月08日

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表題作はいかにも映像化されそうな感じ。
人物・背景設定の面白さ・痛快さもそうだけれども、この作家が持つ読み手に対するイメージ喚起力は相当なもの。
実際にクロサワという映画史に残る巨匠への影響力を考えれば分かるというもの。

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

山本さんのBESTとは言いませんが、なかなか良い本です。
特に10の短編が発表順に並んでいるのが興味深い。戦前の如何にも青少年向けの作品から、円熟期にかかる昭和30年過ぎまで、周五郎さんの成長ぶりがよく分かります。
本当に山本さんは成長し続けた作家さんで、短編の出だしを少し読むと何時頃の作品か判ります。例えば勧善懲悪を描く場合、初期は言葉で直接に声高な善を主張し、少しするとストーリの中で明快な勧善懲悪を描きます。そして最後には、時に悪が跋扈し善が虐げられるままで物語は終わり、余韻の中で「それでも善が・・」と語っているようる作品集です。また「滑稽もの」が多いのも特徴的です。
新潮文庫の周五郎さんの歴史・時代小説はあと1冊でコンプリートです。

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2016年06月19日

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この短編集、やたらと「汚れ役を自ら買って出る」
登場人物がでてくる話が多い。

追い腹のための手段、藩の政治を良くする為、
息子夫婦の仲の為…。
理由は様々だけれども、汚れ役を自覚しつつも
その姿勢を突き通す人々には感動せざるを得ない。

「わたくしです物語」…他人の責任を負うのは果たして
相手のためになるのかといわれたら微妙。
解説見て初めて登場人物の名前のもじりに気付く。

「修業綺譚」…女の人って怖いね。新しい形のSM(笑)

「町奉行日記」…主人公は町奉行という役職に就きながらも
治安の悪い城下町の郊外へと遊びに向かい、
奉行所に一度も通うことなく結果的に家臣の悪習を正す。
これぞ大衆文学って感じの話で好き。

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2011年02月16日

Posted by ブクログ

「偽悪」というコトバがありますが……。
正しいことを行うために、あえて悪者になる生き方。
そんな人生が、いくつもつづられた短編集です。

もっと器用に、人々に愛され感謝されながら、
スルスル生きたらいいじゃない!
と歯がゆさを感じつつも、
かっこいいなぁ……と思ってしまうのです。

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2009年12月02日

Posted by ブクログ

晩秋はちょっとお気に入り。わたくしです物語もお気に入りだな。町奉行日記もいいやね。町奉行日記は役所広司で映画化されたが、ドラマで渡辺謙主演の方が好きだな。いかりや長介が書役で出ているのもいいやね。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

みだりに罰してはならぬ、体を斬ることは出来ても心中の逆意までは斬れない。我に向かって石を投げるのは、前の領主を追慕する心からで、これを善導し撫育すれば、やがては我のためにも、不惜身命の民となるであろう。刑罰を厳にしただけでは、決して国は治まるものではないぞ。

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2017年10月12日

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・土佐の国柱
・晩秋
・金五十両
・落ち梅記
・寒橋
・わたくしです物語
・修行綺譚
・法師川八景
・町奉行日記
・霜柱

土佐の国柱、晩秋、落ち梅記、寒橋は自分を犠牲にして誰かを助ける、組織を守るというような作品だ。ハメットのガラスの鍵を思い出すが、頭を使って危機を乗り越えることよりも、死んで散るという方向に向かっている。
その中にあって町奉行日記はひょうひょうとした主人公が頭脳で藩の危機を救う。最後は切り合いがあるのかと思ったが静かに終り、逆に印象的だった。

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2017年10月10日

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