あらすじ
「この物語、年代を問わず全ての女のためにあるのかもしれない。そして、本気で女を愛せる男たちのためにも」(あさのあつこ・巻末エッセイより)。「待っているわ・・・・・・」明日上方へ旅立つ男からの告白に幼い感傷で応えてしまったおせんが、その一途さゆえに歩むこととなった苛酷な生涯を描いた恋愛小説の傑作「柳橋物語」、万年補欠とも称すべき武家の四男としての人生を堂々とまい進する青年とその家族の物語「ひやめし物語」、あまりの世間しらずに幽霊たちもたじたじ・・・・・・講談調の滑稽譚「風流化物屋敷」。人間の諸相を巧みに、鮮烈に描き出した三篇を収録。(エッセイ/あさのあつこ、編・解説/竹添敦子)
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Posted by ブクログ
コミュニティの中での、ウワサと思い込みで、大きく人生を左右されてしまう。 情報ツールが発達していなかった、江戸の下町の話だが、情報ツールが発達している、今でも、ウワサと思い込みに悩まされているのは変わらない。 と思わさる。
Posted by ブクログ
柳橋物語を読むうちに、主人公の運命が薄々分かってきて苦しくなりました。早く結末が読みたくて仕方がなくなります。幸太の男気に胸がとても締めつけられ、その時の切羽詰まった状況が押し寄せてきました。地震や火事が起きても少しずつ生きていこうとする江戸の人々が印象に残りました。
Posted by ブクログ
山本周五郎さんの本、衝動買いしました
主人公・おせんが、勢いでしてしまった夫婦約束・・・
この後から、数々の災難、苦難がおせんにふりかかるが
周りの助けも受けながら懸命に生きていく様を描いた話でした
おせんは幼くして父母を失い、祖父と慎ましく暮らしていたけれど
年頃になり、幼なじみの庄吉から
「上方へ稼ぎに行くが戻るまで待っていて欲しい」言われ、
待っていることを約束してしまいます
そして待っている間に起きた火事から逃げる際に
拾った赤ちゃんを我が子のように育てることになって
それを上方から戻った庄吉は知ることになる・・・
そしてそれは彼女の不義理ととらえられ・・・
運命のいたずらと言うには少し違和感を感じるけど
それでも負けずに生きていくおせんの強さには感心だし、
そのおせんを何かと助けてくれる人の存在は
読んでいる側もありがたく思えたし
そんな人の存在があるのだからおせんは
決して不幸なんかではなかったと思いました
最後におせんは亡き幸太と、捨て子だった幸太郎で
心でつながった家族を形成しようとしている様子には
とても潔さ、爽やかさを感じました
Posted by ブクログ
若い頃山本周五郎の世界が大好きだったことを思い出し、20年振りにもう一度読み始めた。
幸薄い人達が下町の人情に支えられて生きる張合いを見つけながら懸命に生きる姿を描く小説は、歳をとってから読むととても重い。
私はもうすっかり価値観の違う世の中に生きていて、読んでいると歯がゆく、もどかしく、心が重くなるけれど、日本人としての美徳の根拠はここにあるような気がする。
最後のオチに心救われた気がした。