山本周五郎のレビュー一覧

  • 日本残酷物語 1

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    「逝きし世の面影」へのカウンターとして。
    炭鉱と女衒、後半のこの二つが印象深い。前者は人を人とも思わない労働環境に逞しく生きる女性が、後者はこれまでとは逆に人を使う側のある意味立志伝的な面白さがあった。
    読むのに時間がかかりすぎたが、その分考えることも多く得るものもあった。

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    2015年01月08日
  • 小説 日本婦道記

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    千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。

    良作。
    松の花、墨丸、心に残る。

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    2015年02月08日
  • ひとごろし

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    ネタバレ

    裁判ものチックな「改訂御定法」が秀逸である.なぜ一介の侍に180両も貸し付けるのか,主人公が明らかにしようとしているのは何なのか?
    表題作の「ひとごろし」は,いかにも山本周五郎的なこっけいもの.

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    2014年12月13日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    上中下巻を読み終えたのでまとめて感想を書くとする。

    江戸歴史物は似た名前が多く、言葉遣いが独特で、その時代の町の様子を思い描かなければならないことから敬遠していた。現代小説よりはやはり読み進めるのがゆっくりであったが、どんどんと町や屋敷の様子が想像され、なによりも現代とは違う心持ちや人々の動きが目の前に広がって来るようだった。

    伊達藩の家臣船岡館主・原田甲斐は「伊達騒動」の中心人物として史実上に存在する。極悪人の烙印を押され、息子孫も死罪、お家断罪になっている。しかし、山本周五郎は"歴史の反証"から甲斐がなぜそのような事を起こしたのかを構想した。

    作中の甲斐は、家中の

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    2014年12月13日
  • 松風の門

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    一度読みたいと思っていた山本周五郎の短編集。時代ものが中心だが、一つだけ現代ものが掲載されている。どの話にも、忠義、孝心、覚悟、家族愛、友情、知恵などが盛り込まれており、読んでいてとても気持ち良い。師走に読むに相応しい、日本的なものの良さ、美しさが感じられる。

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    2014年12月07日
  • 青べか物語

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    浦粕での日常と様々な人々の物語であり、東京のごく近くでもこのような光景があったのにはなかなか想像がつかなかった。千葉・浦安にいた作者はどこまで実際の人を描いたかわからないが、にくめない「留さん」はモデルの人がいたと感じた。

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    2014年11月27日
  • ちいさこべえ 3

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    今回はなかなか良かったんじゃないでしょうか!! ヒロインのあの子(名前忘れた)と主人公のやりとりに正直なところ感動いたしました…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    どんなやりとりだったかは残念ながら忘れてしまったのですけれども(!)、ともかくなかなか記憶に残るシーンだったかと…忘れてしまいましたけれども(笑)

    ヽ(・ω・)/ズコー

    確か血の繋がっていない、けれども一緒に暮らしている子供たちとのやりとりだったかと存じますが…うーん、ま、どんな子供に対しても「躾」というのは大事、ということなのでしょう…きっと。

    子供たちをうまく叱れない大人(僕を含む)が増えているような気がしてならない現代です

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    2014年11月15日
  • 大炊介始末

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    さまざまな趣向の作品を集めた短編集。全10編のうち、以下印象に残ったものをピックアップ。

    「よじょう」・・・どうしようもないヘタレ男・岩太が、乞食の真似事をしているだけなのに父親の仇を討とうとしていると周りから誤解されてしまう。それだけでも面白いのだが、仇を討つ相手はあの宮本武蔵。力の象徴である武蔵や仇討ちそれ自体へのシニカルな視点が素晴らしい。
    「大炊介始末」・・・武家モノ。将来を嘱望されていた大炊介が、18歳の秋に自身に関するある秘密を知ったことから自暴自棄に陥ってしまう。この時代にこんな秘密を知ったらと思うと大炊介に同情してしまう。まったくもって悲劇としか言いようがない。
    「こんち午の

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    2014年11月14日
  • 虚空遍歴(下)

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    「人間の真価は、その人が死んだとき、なにを為したかで決まるのではなく、彼が生きていたとき、なにを為そうとしたか−である」と言うのが、作者の人生観だそうだが、まさにそれを現した作品であると思った。

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    2014年11月12日
  • 大炊介始末

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    以下、短編ごとに感想。
    ひやめし物語:武士の時代のひやめし食いは制約強すぎて大変そう。
    山椿:オチは読めたが良い話。人は生まれ変われるものですな。
    おたふく:誤解って怖いね。いい話ですんでよかった。
    よじょう:武士の誇り(というか仇討ち)に対する皮肉。
    大炊介始末:感情移入がしづらい。イイハナシナノカナー?
    こんち午の日:血<義理
    なんの花か薫る:最後がひどく切ない。
    牛:この短編集の中で一番とぼけた感じ。平安時代。
    ちゃん:ザ・大衆文学。好き。
    落葉の隣:誤解って怖いねその2。やりきれない。

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    2014年11月04日
  • 虚空遍歴(下)

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    これは辛い小説だなぁ。

    主人公の中藤冲也は武士の身分を捨て、浄瑠璃という芸の世界に生きることを選ぶ。

    彼の作る端唄は独特の節まわしを持ち江戸のみならず、遠国でも持て囃されるような才能の持ち主であったが、それに奢ることなく冲也節という新たな芸術の完成だけに専念する。

    これと決めた道に突き進む人生。成し遂げるべき仕事を見定めた覚悟。すさまじい気迫で生きる男の生きざまを描いたお話。です。

    非常に辛く、あまりに辛いんだけど引き込まれる話だった。

    この強烈な読後感はどこから来るんだろう。

    結論から言ってしまえば、このお話はハッピーエンドの物語ではない。苦労の末に念願の冲也節を打ちたて、努力は

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    2014年10月13日
  • つゆのひぬま

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    「武家草鞋」「つゆのひぬま」がよかった。「つゆのひぬま」は、昔吉永小百合と長谷川裕美子、松山政路というキャストでドラマになっていて、それをCSでみて読んでみた。

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    2014年09月08日
  • ちいさこべ

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    ちいさこべ目当てで買った、が、ちいさこべ以外の3作品がそれぞれ新鮮に楽しめた。初めは文体が読みにくいと思ったが慣れると苦にならない。あとの三作品は現代とほぼ変わらぬ文体、読みやすい。時代小説にはハッピーエンドがつきものと思っていたが、こういうのもあるんだ。

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    2014年09月02日
  • 青べか物語

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    浦粕町の、決して上品ではないが懸命に生きる人々の姿がよかった。
    特に好きなのは「家鴨(あひる)」の章である。増さんが自らの行いを悟ったところが、すごくよかった。

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    2014年08月19日
  • 日本残酷物語 1

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    「昔の日本は牧歌的で良い時代だった」「最近の世の中はイヤな事件が増えている」という考えの対極にある事実・歴史を口承で記述している。

    初版は1959年に刊行された。宮本常一、山本周五郎などの複数の執筆者が、日本全国の市井の辛苦に満ちた人生をヒアリングした記述。

    各地方の方言で語られる、窮民、殺戮、略奪、乞食、堕胎、鉱山で働く女性、遊女、女衒、飢饉などに関するストーリーは迫力がある。

    とりわけ、盲目の馬喰の一代記「土佐檮原の乞食」、山梨の上野原の「おせいばあさんの話」、明治時代のシンガポールを本拠地に活動していた「女衒 村岡伊平治伝」は面白い。

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    2014年08月07日
  • 酔いどれ次郎八

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    ラストの現代(戦前)ものは入れなくてよいというか不要。興趣も削がれるし出来も良くなく、読後感が落ちる。それ以外は流石という感じの江戸ものの短編集。ちょっと読みやす過ぎる感もあるけど、これもまた一味ですな。

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    2014年08月03日
  • 小説 日本婦道記

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    現代にはない夫婦や生活のあり方なのに、スラスラと読め心打たれました。松の花、梅咲きぬ、糸車、風鈴、墨丸が好きです。最後の二十三年は終わり方が…でもこれも一味違ってていいです。特に風鈴は、良い言葉があり、声に出して読みじっくり味わいました。

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    2014年06月06日
  • 生きている源八

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    秀作多し。

    新女峡祝言
    立春なみだ橋
    豪傑ばやり
    いきている源八
    虎を怖るる武士

    特に後半はどれも良かった。

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    2014年06月04日
  • 日日平安

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    一介の浪人が藩の騒動を飄々と片づける標題作。他の短編は人の根底にある真実の悲しみや、ささやかな喜びを描いていて、型にはまった武士道とかより惹きつけられる。

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    2014年04月28日
  • 山彦乙女

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    江戸三代将軍の頃に役人の家に生まれた安倍半之助は、幼い頃に叔父から甲府の武田にまつわる不思議な話しを聞いた。その叔父は甲府で行方を失った。武田家の再興をもくろむみどう家の長女、天真爛漫な妹、再興の為の財宝、江戸役人生活を嫌って甲府に逃げる半之助。それらがひとつのロマンをつくる。文中に語る半之助の言葉は、山本周五郎の人生観か。

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    2014年04月12日