山本周五郎のレビュー一覧

  • 日本残酷物語 1

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    以前から気になりつつ、ようやく読めました。

    日本、というものが、分かるようで分からない。
    この本を読めば、一端でも掴めるかと思ったけれど、余計に混乱してしまったかもしれない。
    読み終わったばかりで、頭の中で処理されるのに時間がかかりそうです。

    ただ、読む価値はある。と、自信を持って言える一冊でもありました。

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    2015年09月15日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    読み終わった第一声の感想は、静かな男性はかっこいい。
    主役の原田甲斐は、悪人として有名らしいが、私はそういった演目を知らずに読んだ。
    この本では、悪人どころか、どこまでも自分を耐え忍び伊達家に尽くす忠臣。

    伊達家の内部崩壊を狙う、幕府から延びる魔の手。
    盟友2人と約束をし、原田は敵の懐に入って、切り崩す役を演じ尽くす。
    そのあまりの飄々ぶりに、盟友からも疑念を抱かれることもあり、また仲良かった面々にも背かれ、その仲間が犠牲となって死ぬのを黙って見過ごしたり、盟友に先立たれたりとすごく辛い役柄である。

    感情はあまり表情に出ず、冷静でありすぎるため、彼に恋愛感情を持つと辛い男性だと思った。

    また、すごく人間関係が複雑。名前を覚えておかないと、誰がスパイだとか、この話はわざと相手方に筒抜けになる様にこの人を伴ったのではないかなどが分からなくなる。私は相関図を書いた。
    そして、敵方の主従が探り出したことを話し合う場面が折に触れ出てくるが、誰が話しているかを明記していないので、最初はドキドキする。推理小説のようにどうなるの?という楽しみがあった。

    伊達政宗の話を読んでからすぐだと、その頃からの存命の方が出てくるのでわかりやすい。また、3代目の家光までは政宗を厚遇していたのに、その変わりように、やはりというか徳川幕府の怖さを感じた。同時に、仙台はそれ以降は特に目立った藩主もなく、政宗の人間的魅力で保たれていた藩で、それも目をつけられる要因ではないかとも思い、いかに政宗の魅力が輝いていたかも感じた。

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    2015年08月25日
  • ちいさこべえ 4

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    嫌いではないよ。

    むしろ大好物。

    独特な「間」をコマ割りで表現し、独特なカット割りが味を深める!

    しかし、独特だからこそどんな人に勧めればいいのか非常に悩む...

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    2015年08月17日
  • 月の松山

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    疲れたときは山周。「人間を信じよう」って気になるよ。初期の作品で、類型的な感じはあるけどやっぱり泣ける。

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    2015年08月09日
  • ちいさこべえ 1

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    でてくる小物や服装やなんやかやが、やたらめったらオサレで望月ミネタロウかわゆー♡と思ってしまったのでした。

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    2015年06月14日
  • 小説 日本婦道記

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     先日、山本 周五郎 氏による「小説日本婦道記」を読み終えました。
     会社の同僚の方のお勧めでお借りして読んでみました。こういう形で手に取る本は、通常の私の視野の外になるものなので、楽しみも増しますね。
     1958年出版の本ですが、タイトルの「婦道」という言葉は新鮮です。
     実を言えば、山本周五郎氏の作品を読むのはこれが初めてでした。もちろん、有名な時代物の作家であることは知っていましたが、この作品は確かに面白いですね。
     今更ながらではありますが、いろいろな意味でとても新鮮なインパクトがありました。

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    2015年05月23日
  • 赤ひげ診療譚

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    現代でも響く内容だった

    映画が気になった。

    畳は湿気を塵埃の溜まり場、畳替えや掃除をしないとかえって不潔、板敷きはその点が大丈夫。痛いが。

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    2018年11月25日
  • 深川安楽亭

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    『あすなろう、だなんてね』

    私は好きだった。意地悪じゃない時代小説は大好きだ。如法闇夜のとこの世は。

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    2015年05月04日
  • 松風の門

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    山本周五郎を立て続けに読んでるのだが,僕の好きなのは下町物より武家物だな.ただし本書の中での一番のお気に入りは「鼓くらべ」である.鼓くらべで相手を打ち負かすことしか頭になかった娘が本当の芸術の意味に気がつくおはなし.「醜聞」は武家物なのだが,話の骨幹は実は「鼓くらべ」と同じである.

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    2015年04月05日
  • 彦左衛門外記

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    数ある山本周五郎作品の中でもとびきりの異色作

    裏表紙のあらすじを読むと、「抱腹絶倒の異色作」なんて書いてあったので滑稽ものなのだろうなと思って読み始めました。有名な長編作では人の生きる姿勢を問いかけるような真面目な作品が多い山本周五郎ですが、短中編の中には風刺の効いた作品や笑えるような作品もかなり多いです。ただ、そんな中でもとびきりの異色作でした。

    解説にも指摘がありました。

    たぶん『彦左衛門外記』に接した多くの山本周五郎ファンは、おやっとはじめ思われたに違いない。これは自分が愛読し、なれ親しんで来た、いつもの山本周五郎とは違うと。

    まさにその通り。周五郎作品を読んでる人ほど感じる違和感。ファンや世間のイメージを完全にぶち壊しにいく姿勢が見て取れます。
    こういう挑戦的とも言えるような作品を書く小説家はたまにいらしゃいますが、ファンの間でも評価が分かれたりしますよね。個人的には好きなことが多い。この作品も違和感ありつつも楽しすぎて一気に読んでしまいました。

    異色たる要素はいくつかあるのですが、大きな仕掛けは2つ。

    ■歴史の虚構性の指摘

    タイトルの彦左衛門とは大久保彦左衛門のこと。
    「天下のご意見番」というフレーズを聞いたことのある方もいらっしゃるかと思いますが、大久保彦左衛門がその元ネタです。

    徳川家康の直臣として仕えた旗本。戦国の徳川の歴戦で奮戦、勲功を上げた武将であり、一介の旗本武士にすぎないながら、家康からの信頼も篤く、生まれながらの将軍・3代家光にもしばしば意見をした、という伝説的な人物です。

    話の主人公は彦左衛門の甥の数馬。一目惚れをした大名の娘・ちづか姫につりあう身分を目指すため立身出世を試みることにした彼は、戦国武士の生き残りであった伯父の彦左衛門に目をつけ、彼の歴戦獅子奮迅の戦記を捏造し、「天下のご意見番」としての家康のお墨付きを偽造するという手段を実行します。
    ちづか姫との結婚のためのみに実行した方策だったが、いつのまにか周囲を巻き込んだ大事になり、、、というのが大筋。

    大筋というか、もう本当にそれだけの作品です。
    天下のご意見番という伝説的なエピソードを持つ人物は、どのようにして作り上げられたのかということを、相当に無茶苦茶なばかばかしいエピソードで暴露しにかかるのです。伝説的な人物は真実つまらない人間であったし、つまらない思いつきから簡単にできあがってしまうものであると。

    何が真実かではなく、真実だと思いたいものに傾いてしまう

    これは世の常人の常なのであって、当時の社会に対しての皮肉としての意味もあったのでしょうし、同時に、人生いかに生きるべきかというような重厚なテーマを扱う作家としてのイメージで見られがちになっていた当時の周五郎イメージに対する皮肉という意味もあったのでしょう。

    ■物語への侵入

    歴史エピソードのトリックをあばく、という大胆なテーマを持つ本作品ですが、もう一つの仕掛けがあります。
    それは、作品内への作者の登場、です。

    司馬遼太郎作品にはよく作者が登場します。小説の舞台となっている場所を訪れた時の作者本人のエピソードを紀行文的に語る感じです。タクシーの運転手とこんな会話をした、だとか。

    本作品における周五郎本人の登場はそれともまた違います。一登場人物として、物語の中に侵入し、登場人物たちと会話するのです。小説を書き進めていくための取材といった雰囲気でインタビューともつかないような会話やモノローグをします。

    面白いのは、登場人物とのやりとりに腹を立て、その登場人物の存在を消してやろうか、というような物騒なメタ発言まで飛び出すところ。

    つまり、この作品は先に指摘した通り大久保彦左衛門という伝説的人物の虚構性をあばく作品でありながら、そのあばきの物語自身すらも物語である以上根本的に虚構であらざるを得ないという告白をしているということです。二段構えの暴露。


    ■江戸初期のカオスを表すいいかげんな登場人物

    仕掛けの面白い小説ですが、登場人物たちもなかなか魅力です。良い意味で雑な感じがして。雑というかいいかげんというか。だいたい立身出世の方策が偽造というあたりからしてかっこいい物語ではないし、ちづか姫との恋も、敵の陰謀もどれもまじめになりきろうとしないのです。

    なんて適当な小説なんだ、と指摘することもできるでしょうが、むしろ時代背景を表すにはとてもよい方法なのではないかと考えます。

    江戸時代も中後期になると文化的にも洗練されていきますが、江戸初期はまだまだ戦国の粗野で乱雑な雰囲気を引きずっているのですよね。町民の日々の暮らしもまだ落ち着いていなかったり、太平的雰囲気がなんとなく醸成され始め職業的アイデンティを失いつつあった武士階級の不安が行きどころを見失っていたり、なんとも言えないカオスがあったのだと思います。カオスだからこそ伝説的エピソードの入り込む余地もたくさんあったのだろうし、人々のカオスを表すにはこのぐらいいいかげんな登場人物たちが調度良いのだろうと思います。

    ■以上

    といううことで、だいぶ面白い小説でした。
    周五郎ファンはぜひ読むべし。
    周五郎読んだことない人は、この一冊だけ読んでも面白いですが、十分に楽しむためには"真面目な周五郎"を一冊でも二冊でも読んでからこの本を手にしたほうが良いでしょう。

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    2015年03月15日
  • 人情裏長屋

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    人情物って言うのでしょうか、江戸時代、長屋が舞台の短編集

    亡き妻の面影をおって生きている孫次郎さんのお話「おもかげ抄」が良かったかなぁ

    変な幽霊と同居するお話や、捨て子を育てるお話など、色々あって楽しめました

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    2015年01月29日
  • 人情武士道

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    山本周五郎入門。
    しぐれ傘収録。いつの時代にも義理人情がある。
    武士のように毎日を真剣に生きているだろうか。

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    2015年01月08日
  • 日本残酷物語 1

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    「逝きし世の面影」へのカウンターとして。
    炭鉱と女衒、後半のこの二つが印象深い。前者は人を人とも思わない労働環境に逞しく生きる女性が、後者はこれまでとは逆に人を使う側のある意味立志伝的な面白さがあった。
    読むのに時間がかかりすぎたが、その分考えることも多く得るものもあった。

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    2015年01月08日
  • 小説 日本婦道記

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    千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。

    良作。
    松の花、墨丸、心に残る。

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    2015年02月08日
  • ひとごろし

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    ネタバレ

    裁判ものチックな「改訂御定法」が秀逸である.なぜ一介の侍に180両も貸し付けるのか,主人公が明らかにしようとしているのは何なのか?
    表題作の「ひとごろし」は,いかにも山本周五郎的なこっけいもの.

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    2014年12月13日
  • 松風の門

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    一度読みたいと思っていた山本周五郎の短編集。時代ものが中心だが、一つだけ現代ものが掲載されている。どの話にも、忠義、孝心、覚悟、家族愛、友情、知恵などが盛り込まれており、読んでいてとても気持ち良い。師走に読むに相応しい、日本的なものの良さ、美しさが感じられる。

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    2014年12月07日
  • 青べか物語

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    浦粕での日常と様々な人々の物語であり、東京のごく近くでもこのような光景があったのにはなかなか想像がつかなかった。千葉・浦安にいた作者はどこまで実際の人を描いたかわからないが、にくめない「留さん」はモデルの人がいたと感じた。

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    2014年11月27日
  • ちいさこべえ 3

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    今回はなかなか良かったんじゃないでしょうか!! ヒロインのあの子(名前忘れた)と主人公のやりとりに正直なところ感動いたしました…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    どんなやりとりだったかは残念ながら忘れてしまったのですけれども(!)、ともかくなかなか記憶に残るシーンだったかと…忘れてしまいましたけれども(笑)

    ヽ(・ω・)/ズコー

    確か血の繋がっていない、けれども一緒に暮らしている子供たちとのやりとりだったかと存じますが…うーん、ま、どんな子供に対しても「躾」というのは大事、ということなのでしょう…きっと。

    子供たちをうまく叱れない大人(僕を含む)が増えているような気がしてならない現代ですから…この巻は突き刺さりましたね、胸に。

    おしまい…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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    2014年11月15日
  • 大炊介始末

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    さまざまな趣向の作品を集めた短編集。全10編のうち、以下印象に残ったものをピックアップ。

    「よじょう」・・・どうしようもないヘタレ男・岩太が、乞食の真似事をしているだけなのに父親の仇を討とうとしていると周りから誤解されてしまう。それだけでも面白いのだが、仇を討つ相手はあの宮本武蔵。力の象徴である武蔵や仇討ちそれ自体へのシニカルな視点が素晴らしい。
    「大炊介始末」・・・武家モノ。将来を嘱望されていた大炊介が、18歳の秋に自身に関するある秘密を知ったことから自暴自棄に陥ってしまう。この時代にこんな秘密を知ったらと思うと大炊介に同情してしまう。まったくもって悲劇としか言いようがない。
    「こんち午の日」・・・豆腐屋の婿に入った塚次だったが、3日目に妻が家出してしまう。残された養父母を守るために一人奮闘する塚次だったが、家出した妻と無法者の男が家を乗っ取りに現れて…。ラスト近くの対決シーンがものものしい。
    「なんの花か薫る」・・・娼妓のお新は、追われていた若侍の房之助を匿ったことをきっかけに馴染みとなる。身分の差によって結ばれることのないはずの2人だが、お新も周りも徐々にその気になっていき…。文庫版の解説にある通り、オチを含めて完璧な短編だと思う。

    職人としての矜持が前面に出た作品が多いが、寄せ集め感がなきにしもあらずかな。いつもの周五郎節を味わうには不足はない。

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    2014年11月14日
  • 虚空遍歴(下)

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    「人間の真価は、その人が死んだとき、なにを為したかで決まるのではなく、彼が生きていたとき、なにを為そうとしたか−である」と言うのが、作者の人生観だそうだが、まさにそれを現した作品であると思った。

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    2014年11月12日